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グルメな夫、ジョクジャカルタ駅で汗をかく

インドネシアはどんどん自動車が増え、ソロ、ジョクジャカルタ間は常に渋滞している。高速道路はまだ建設中で、当分、状況は悪化の一途をたどるだろう。
ジョクジャカルタの新空港はジョクジャカルタ市街からはるか南の海岸近くに建設された。空港までソロから車で行くと何時間かかるかわからない。新空港は幸い電車でアクセスできる。ソロ・バラパン駅からジャカルタ行きの電車に乗ってジョクジャカルタ中央駅で下車。ジョクジャカルタ中央駅で空港線の電車に乗り換える。

ジョクジャカルタ国際空港駅の時刻表

問題は、切符だ。インドネシアの電車の切符はオンラインで予約、購入する時代になっている。デジタル時代に乗り遅れている人間にとってはハードルが高いが、やるしかない。切符の予約は1週間前からできるので、すでに始まっている。ちょうどお正月だったが、ゆるりとしている場合ではない。

まず、ソロ、ジョクジャカルタ間を走る急行列車の予約ができるアプリ、KAI Accessをダウンロードして、アカウントを登録した。電車を探すのは簡単で、朝8:12にソロ・バラパン駅を出発するBANGUNKARTAという電車に決めた。いちばん安い22万ルピア(およそ2000円)の席はほぼ埋まっていて、一番高い30万ルピア(およそ3000円)の席はガラガラだった。荷物があるので、ガラガラな方をクレジットカードで購入。登録したeメールに切符に引き換えるバーコードが送られてきた。同時に、アプリの中の「マイ・チケット」にも同じものが表示された。

ジョクジャカルタ中央駅からジョクジャカルタ国際空港駅までの切符を購入する別のアプリKA bandarもダウンロードしてアカウントを登録。クレジットカードで決済すると、切符はやはり登録したeメールにバーコードが送られてきて、「マイ・チケット」にも同じものが表示された。ソロ、ジョクジャカルタ間と距離は同じくらいなのに、値段は2万ルピア(およそ200円)、と十分の一である。政府が補助金で価格を抑えているのだという。

インドネシアの空港線の予約アプリ。インドネシア語と英語のどちらかで表示できる。

最大の山場を越え、ジョクジャカルタ中央駅での乗り換えはなんとかなる、と楽観していた。しかし、事態は全く甘いものではなかった。
ジョクジャカルタ中央駅は人でごった返し、ポーターがなかなか見つからない。やっと見つかったポーターはお年寄りだった。ベテランなのだろう、と思って後をついていくと、出口には向かわず、空港線待合室に向かう。
「たしかに、空港線に乗り換えるんですけど、通行止めのバンドがありますけど・・・・」
しかし、通行止めのバンドをそばにいた若い職員にはずさせて、お年寄りのポーターはどんどん進んでいく。そして空港線の改札口に着いた。そこにいた若い職員は目をパチクリさせた。乗客が改札口を通るために来るべき側と反対側に私たちが現れたからである。
その時になってやっと、本当は出口をでて、空港線の入り口から入らなくてはならないことがわかった。私たちはお年寄りのポーターを励まして、もと来た道を引き返した。出口は全く逆の方向にあり、ものすごく大回りをして空港線の入り口にたどり着いた。

ごった返すジョクジャカルタ駅構内。空港線の案内表示が見える。

空港線の切符はeチケットになっていて、バーコードを直接改札のバーコード読み取り口にかざす。先ほど目をパチクリさせた若い職員に、座席指定はどのタイミングであるのか尋ねると、また目をパチクリさせて、「自由席ですよ」と教えてくれた。
空港線は満席だった。全員に席はあるはずだけれど、全自由席なので、例の通行止めのバンドがはずされるやいなや、乗客は電車に殺到した。荷物を運んでくれる人はいない。自分で荷物を持ってプラットホームに登る階段をえっちらおっちら登り、とりあえず目の前の席に座った。

あ~あ、ソロ・バラパン駅で電車に乗った時とは天地のちがいだ。
ソロ・バラパン駅には若いポーターがいて、機械でバーコードを座席指定の切符に引き換えるのを手伝ってくれ、ゆっくりとプラットホームまで荷物を運んでくれ、乗る車両が止まるところを教えてくれた。座席はゆったりとしていて、ふかふかで、フットレストもついていた。車両の後ろには警備担当と思われる若者が立っている。トイレがあったので、利用してみた。重いドアを警備担当の若者が開けてくれた。中はきれいで、手を洗う液体石鹸はとてもいい匂いがした。
あ~あ、それなのに、とんでもなく混みあうジョクジャカルタ中央駅は、必死に生き延びなくてはならないカオスのようだ。

ソロ・バラパン駅のエントランスホール。お正月飾りではなく、クリスマスの飾り。
ソロ・バラパン駅に到着するバグンカルタ号。

ジョクジャカルタ国際空港駅に着くと、ほとんどの乗客はあっという間に去って行った。荷物もなく、身軽な人々は空港見物の人々なのだ。その人たちにもまれ、荷物をもってモタモタしていたら、若いポーターが目にはいった。彼に荷物をあずけ、空港の入り口まで案内してもらった。新しい空港はとにかく広い。そして、ジョクジャカルタの街や王宮を思わせるデザイン、水の王宮を模したデザイン、高貴なバティック文様を取り入れたデザインなど、ジャワ文化のショーケースのような空港である。お店もたくさんあって、時間がいくらあっても足りなさそうだ。

ジョクジャカルタ国際空港到着ロビー出口を鉄道駅側から見下ろす。出口の壁にはバティック文様をあしらい、両側の白い門とプールは「水の王宮」と呼ばれる王のための水浴場を模している。
ジョクジャカルタ国際空港の出発ロビー入り口に向かうところ。

空港の出発ロビーに入る前に、COVID19対策アプリPeduliLindungiを見せた。ワクチンを3回接種していることを登録しておけば、それを証明できるアプリだ。登録に3か月かかったが、グリーンの画面を提示するとスムーズに空港に入ることができた。アプリの使い方は実地に使って習得したが、次にインドネシアを訪れる時も同じアプリだろうか???
いや、いや、アプリも何も必要なくなっているのが一番いい。

COVID19対策アプリPEDULILINDUNGIの画面


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