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決別

10分ほど悩んでから
豚骨ラーメンの博多天神に入った

一口すすると
10年以上も前のことたちが
ものすごいスピードで
頭の中を駆け抜けていった

あの頃
私はなんの希望もなく
息をしているだけだった

でも、吉祥寺の飲み屋や
カフェなどをめぐって
古くて小さなアパートに帰ることが
唯一の安らぎだった

だから
仕事においては
命令されているくらいでちょうど良かったし
未来のことなんか
何にも考えていなかった

ただ、もう
食べ物の味も分からないほど
心がボロボロだった

あのあと起きた出来事やご縁が
心も体も治してくれたから
いまの私がいる

そして
何も考えず生きることが
どれほど怖いことか知ったから

考えよう
見よう
と意識して、生きている

何も知らない
何も考えない私とは
もう決別したんだ

豚骨ラーメンをすすりながら
そのことを
確かめたかったのかもしれない

だいじょぶ
私はちゃんといまを生きてるね
ラーメン、おいしい

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