JOPT20:TOKYO

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ポーカー始めて1年余りの若輩者が、507名の頂点に立ちトロフィーを手にすることに。

一体あの場で何があったのか。


皆様初めまして。としと申します。

ポーカーギルドやJOPTのインタビューを受ける機会に恵まれました(そちらは別途アップロード内容をご覧ください)が、そっちでは時間がなくて触れられなかった部分も含め、覚えてる限りではありますが当時の内容を振り返ってみたいと思います。

といいつつあまりハンドのことは触れず、その場の空気や印象中心に書いてみようかと。

かなり長文になってしまいましたが、宜しければ最後までお付き合いください。

プロローグ。

まずそもそもの話は2月に遡ります。

東中野の3BETというお店でトナメに出ていたら、幸運にも2枠保証に滑り込んでインチケしました。

取ったはいいけど、JOPT…?

3BETのオーナー、ドンさんがこの前(19:TOKYO)3位だった、ってことくらいしか知らず、規模も内容も全く把握してなかった自分。

3枠MAXだから、取れたならあと2枠目指してみれば?と言われ、ならばとサテライト狙ってみますがそんなうまいこと行くわけもなくことごとく飛び、飛び、飛び。

気づけば4月も終わりに差し掛かり。結局1枠のまま。しょぼん。

1枠って出る意味あるんですかね?って聞いてみたら全然問題ないし、ブラインド50分と長い大会だからダイヤモンドには向いているんじゃない?とのこと。ふむ。

※ダイヤモンド:自分のレンジからいつしか付けられたニックネーム。もちろん意味はその名の通り「世界一硬い」。

とは言え3枠MAXの僅か1枠。なんか早々に飛んでその後手持ち無沙汰になるのもなぁ…とあまり乗り気ではなかったのですが、誰かが言った一言が心に突き刺さります。

「今回の会場竹芝だよ。」

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竹芝。

竹芝といえば竹芝桟橋。(ぇ)

実は小学生から大学までほぼ毎年船で伊豆諸島に行っていた自分。その船の発着場が竹芝桟橋。

そんなこともあって、竹芝という単語だけでテンション急上昇。

(GWにお散歩がてら竹芝行って、一日ポーカーやって帰ってくるのもありかもな)

我ながら単純ですが、その一言で参加を決意。

真面目な話、会場が竹芝じゃなかったらそもそも参加してたか怪しかったわけで、ある種始まる前から数奇な運命の幕は開いていたのでした。

いざ竹芝。

月日は流れ来たる5/4。11:00の開始時刻と、19GFに参加してたエ○ウさんからの「10:40に会場入れば間に合うよ」とのアドバイスをうけ浜松町に降り立ったのは9:15。これなら竹芝桟橋に1時間以上は滞在できます。

もはや自分の中では竹芝桟橋に行くことが目的でありポーカーはおまけ、と言わんばかりに徒歩5分の会場を颯爽と通り過ぎ目的地へ一直線。

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暑くもなく寒くもなく。潮風と波の音が心地よい、まさに至福の時間。

このまま半日くらい過ごしたかったのですが、残念ながら幸せな時間はあっという間、無常にもスマホから鳴りだす無機質なアラーム音。

時刻は10:30。

しょうがない、このままだと竹芝桟橋お散歩日記で終わっちゃうし、そろそろ本題入れと怒られそうなんで向かいますかね。

ということで会場着いたのが予定ぴったりの10:40。既に受付には長蛇の列。

知り合いとも合流し、すげえな、これみんな参加者か、なんて話しながら並んでたのですが。

…なんか進むの遅くね?

気づけば時計の針は11:00を過ぎている、にもかかわらずまだ受付のゲートまでは100人くらいの列。

○トウさん、話違うじゃん。

結局受付を済ませて着卓したのが11:30。2時間近く前に駅着いておきながらなんで30分も遅刻やねん。

先行き不安になりながらとにもかくにも自分にとって3回目のトナメDAY1、そして初のJOPTが始まったのでした。

DAY1。

会場着くまでにどんだけ回りくどい展開にするんだよ、と言われそうですが(ごめんなさい)、とにもかくにも開始です。

座ってシートカードを渡し、他のプレイヤーに「お願いします」と言い…終わる前にディーラーが一言。

「BB、アンティお願いします」

100-100とはいえビッグインかい。受付の件といいさらに先行き不安。

大丈夫かとおもいつつ確認したファーストハンドは97s。

お世辞にもいいとは言えませんが、とりあえず守ってみましょうかね、なんて思った直後、フロップに落ちたのはA、K、さらに2ダイヤのクラブなし。はい、もういいです。

自分の400点は5秒でいなくなりました。

その後も(自分じゃなくても入らんわ)と言わんばかりにハンドは来ず、BB守っては取られ、を3回くらい繰り返していたのですが。

ふととある事に気づきます。

(みんなBB守ってなくね?)

いくら硬いとはいえ、アンティもあるしさすがにBBくらいは守るでしょと思っていた自分にとってはかなり意外な展開。みんなが守らないなら俺もいーや、とばかりにその後はあっさりBB放棄。とりあえずひたすらハンドを待ちます。

その間にもテーブルではいろいろなことが。

同じ人にAA、KK、AAと3連続で入りしかも全部割られ。(かわいそすぎる)とか思ってたら今度その人がフル<クワッズで全弾回収し損失補填。

えぐ過ぎない?なんて思いながら1人地蔵。もはや何しに来たんだと思いだした頃、やっと手が入ります。

UTGで配られたのはAQc。オープンしたらBTNとBBがコールして3人。

何か絡めと思っていると、それまで我慢したご褒美とばかりにフロップがAdAsQdとかいうチートボード。うん、めっちゃ絡んだw

とはいえいくらなんでも強すぎ。チェック。

BTNもチェックし、ターンは9d。

どっちかフラッシュ引いてないかなーと思いつつ再びのチェック。と、BTNが打ち出す。さらにBBコール。

キタ──── !(死語)なんて思いながらスロープレイコール。

リバーはJc。一応ストレートも見えるボード。

と、なんとBBドンクベット。流石にレイズ返しますわな。アグレッサーだったBTNがあっさり降りて、BBどうするのかと思いきやまさかの3bet。

うまい、うますぎる。(某県のローカルCM風)

若干ティルト気味の空気を醸し出しつつのスナップ4ベット。呼応したのか相手から5ベットオールイン要求。

はい、ありがとうございます。こちらがカバーされてたものの一気にダブルアップ。

そしてこれがJOPT初ポット。嬉しさのあまりライングループに報告。

当時はポット取れた安心感とその大きさに嬉々としていたのですが、後から見返して愕然としたのがその時間。

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13:02。

着卓してからオープンするまでなんと1時間30分。最後にBB守ってからも軽く1時間以上経ってる件。

…我ながらちょっと硬すぎ。てかハンド来なすぎw

とにもかくにも無事ポットも取れ、さらにダブルアップということもありようやく緊張がほぐれます。

テーブル内でもタイトなイメージをこれでもかと植え付けていたこともあり、オープンしてAが落ちれば当たりましたか、ローボードで打ったらプレミアですか、とほぼ苦労することなくポットを獲得。

そんなこんなでチビチビ増やし、6万点くらい持ったところでテーブルブレイク。時刻は19:30。

アベ7万点、ブラインド1500-2500とだんだんきつくなる頃合い。

もうちょい増やして、ここまで来たらDAY2行きたいな…なんて欲を出しながら移動先のテーブルに着くと。

パッと見アベ15万点。さらにさっきまでと比べ、みんなアグレッションが段違いに高い。テーブル内ショートは巻き込まれると一気に致命傷になりかねない状況。

(あ、これあかんやつや) 

いつもの東中野でアグレッション暴力を受ける光景(笑)がフラッシュバックするも、幸運だったのが自分の右隣がテーブル内チップリだったこと。

先に3BET入れてくれる(無駄なスタック使わない)、逆に周りからはチプリと無理してぶつかりたくないからスティール少ない、など、プリフロだけとは言えコバンザメのように恩恵を受ける展開。助かる。

爆発することはなかったものの、またもチビチビと増やし結局105,000点でなんとかDAY1通過。

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(DAY1通過者のスタック一覧。実はこの切り抜き枠だけでFT進出者が3人。ちょっと上には翌日死闘を繰り広げるあの方の名前も。)

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(残ったとはいえ既にアベは18万点以上。)

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(さらに翌日のブラインドは2000-4000から。つまり既に25bbしかない。振り返ればDAY1の終わりからずーっと30bb切ってた気がする。)

DAY2。

1日遊べれば、と思って参加したら幸運にもDAY2進出できることに。

「もう1日遊べるドン!」なんて声を脳内から聞きつつ、今日も今日とてまずは竹芝桟橋へ。

また行くの?と思われるかもですが、ここは自分にとってそれだけ思い入れのある場所。

また、昨日ここ来て通過できたので今日もいいことありますように、という験担ぎも兼ねていたり。

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(この日は一階の降船口側。より海が近い方)

さて、今日は昨日とは違い11時に座ってないとオキバケスタート。25bbしかないのにオキバケなんかしてたらたまらん、とちょっと早めに会場へ。

その甲斐あって無事に間に合い、友人とテーブルを確認。自分は赤の7。友人はYの1。

…Yってなんだ?と確認するとなんとフィーチャーテーブルとのこと。

「おおすごいじゃんw」なんて茶々を入れながら思ったことは(自分じゃなくてよかった)。

正直、この時点でFTに残ろうなんて心の片隅にも思っていなかったものの、それでもフィーチャーテーブル座るのは最後の最後まで避けたかった、というのが本音。

何故かって?変に意識するから。

みんなから見られる場所でハンドやアクションまで筒抜けになる(結果的にRFIDは入ってなかったが)なんて、そんな余計な事に意識取られてたらろくなことない。

自分クラス下の席で充分です、と始まる前から謎の安堵w

座ったテーブルみて相手のスタック確認。どうやらテーブルアベはかなり少なめ。露骨に虐められる事はなさそうかな、と再びの安堵。

自分の隣がショートだったこともあり、ちょいちょいプレッシャーかけてたらいい具合に吸収してまたもテーブル移動。

着いた先にいたのがなんと地元の知人。

ポーカーやるって聞いてたけどまさかこんなところで会うとは。これは雌雄を決する時が来たか!※別名:どんぐりの背比べ

だが、向こうは調子イマイチらしく徐々にチップを減らしていく。そして15bbほどになった頃突如向こうがオールイン宣言。

なんで俺のブラインドでやるんだよ…、なんて思いながら見たハンドはなんと2日間で初のプレミアQQ。うん、なんかごめんw

当然のコールに、向こうが開けたカードはJJ。何事も起こらず全弾回収し、飛んだ知人にはちょっと申し訳ないと思いつつ、アベ付近まで復帰。

でもいうてまだ30bbちょっと、全然安心できません。

これに驕らず気を引き締めて…なんて心掛けるのですが、そんな自制心を嘲笑うかのように、ここで今までの我慢がウソのようなハンドラッシュ。そしてさらに都合よいことに、手がぶつかる相手がいる。

AK>AQ、KK>JJ、AA>AK

なんと3ハンドで一気にアベ倍に。

幸いスタックにはかなり余裕ができましたが、とはいえレンジとプレイを変えるつもりは起こりませんでした。

もちろんチップを持ってるなりのプレイをするのが有利なのは百も承知。とは言え、ここまで残っているプレイヤーは皆自分よりはるかに格上。つまりポストのエッジは相手側にあることが殆ど。ならばということで、あくまで今まで通りのプレイに徹します。その方が後悔ないし。

そして気づけばバブルラインも近づいてきている状況。

チップリはまだまだ遥か上ですので、優勝するためにはもっと積み重ねる必要はありますが、こちらは最初から優勝なんて考えてない(苦笑)。

幸い事故らなければバブル抜けるだけの貯金はある。ならば暴れるのはインマネしてからで充分。

…と言うことでまたしても地蔵モード。まぁ普通の人は入るよね、ってハンドすら躊躇なくオリ。

EPのオープンに対しボタンの7ポケ降りた時には、先に飛んでしまった(フィーチャーテーブル座ってた)友人から「それ降りるって何のハンドで入る気なの?」とか言われる始末。

うるさい自分でもわかってるんだほっとけw


そのかわりと言ってはなんですが、2日間降りてる間も同卓してたアクティブプレイヤーのアクションはほぼ見てました。

一つは単純に同卓者のプレイを把握するため。どこに対しどんなボードで打ったのか、チェックしたのか、降りたのか。相手のスタイルがわかるのは早いに越したことはありません。

もう一つは、スマホなど他のインプットに触れるとどうしても集中力が切れるから。片手間でやろうなど100年早い。視線は常にテーブル上に。

…なんか聞こえのいいことを言ってますが、当然デメリットも。切り替えなく常に「オン」状態なのでくたびれることこの上ないです。JOPTという、独特の緊張感がある大会の中だからできたことかもしれません。

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(2日目テーブルでのワンショット。見た目は大真面目ですが右手はチップシャッフル中、左手は握ってます。つまりハンドは持ってないw)

そうこうしているうちにもプレイヤーは徐々に減っていき、まさしくバブルライン特有のひりついた雰囲気が会場の一角を支配し始めます。

もはやその頃になると自分のハンドより、他テーブルの「オールイン」の声の方が気になりだしてしょうがない。

>「オールイン入ってまーす」

(誰かコールしろコールしろコールしろ!)

>「オールインコール!」

(飛べ飛べ飛べ飛べ飛べー!)

ちぇ、ショートが勝ったよ。

>「オールイン!」

(誰かコールしろコー…ってダメだこれサイドイベントじゃん)

文字に起こすと最低ですなwでも多分みんな同じ心境だったはず(と信じたい)。


そんなやりとりをしている中極め付けがこれ。

31位からインマネで、残り35人。そこに聞こえるのはなんと3WAYのオールイン。思わず同じテーブルの他プレイヤー達も席を立つ。

結果的には誰も飛ばず。ちょっとがっかりしながら自席に戻ると、なんか違和感。

同じく戻ったプレイヤー達も同じ違和感に気づく。

(´・ω・)(・ω・`)(・ω・`)…

はい、3人揃ってハンド回収されてました。

ボタン、SB、BB不在でハンド進行wアホかww

教訓:他のテーブルが気になっても、席を離れることなかれ。

そんな大バカっぷりをかましましたが、最後は他テーブルでハイポケ同士のぶつかり合いがあり(この時はハンドフォーハンドで心置きなく離席できたw)、なんとかインマネすることができました。やったー!

フィーチャーテーブル、そしてFTへ。

さて、念願のインマネ。1権利握りしめ、お散歩ついでにと参加した大会でここまで残ることができました。もう自分にとってあとはおまけ。悔いのないようにプレイしするだけ。

…と気が緩んだのがやはりよくなかったのか、ここにきてジリジリスタックを減らしていきます。せっかく入ったKKもフロップであっさりAペロしてターンで降りるなど、見る見る山が小さくなっていくことに。むむ。

それでもなんとか誤魔化しつつで生き残り、気づけば残り2テーブルに。自分のテーブルがブレイクとなり案内されたのが…フィーチャーテーブル。

(ここで来たか…)

タイミング的にもスタック的にも気分的にも非常にイヤな感じ。(どんだけ行きたくないんだw)

なんとなくですが、自分はこのタイミングで飛ぶ気がしていました。まぁここまでくれば本望でしょう。時間も16時を回り、余韻に浸りながら帰るにはいい時間。

そんなことを考えながら配られたUTGのファーストハンドがQQ。あれ、ハンド入るじゃん。

まぁオープンしますよね。と、BTNから結構大きめの3BET。

この方さっきまでずっと一緒にプレイしてた方。つまり自分がめちゃめちゃ硬いのはよくわかってるはず。その上で3BET返すってことは…。

とはいえ流石の自分でも降りる選択肢は無い。でもカバーされてるしリレイズ返すと道中コミット濃厚。降りしろを自分から無くしていいものか…で考えた結果は4BET返さずのコール止め。

フロップは超ドライなローボード。

当然チェックしたのですが、待ってましたとばかり間髪入れずに飛んでくるポットオーバーのオールイン要求。

まぁAKでも同じアクションする方いるかもしれませんが、正直イヤな予感しかしない。自分の第6感、そして会場中から声が聞こえる。

(負けてる。この手は降りろ。そのためのコール止めだったはずだろ)

とはいえボード的には降りる理由がない。理を取るか感性を信じるか…結論はコール。

スナップで相手がショーしてきたハンドはKK。

(ですよねー…あーやっぱり感性合ってた。最後の最後に自分を信じきれなかったわ。ありがとうございました)

ドリンクチケットもらったけど結局余っちゃったな、なんて考えながら身支度を始めるのですが、そこで落ちたターンカードがまさかのQ。

テーブル中から上がる「うわー!」の声。相手は思わず天を仰ぎ、こっちはこっちで呆然。

もちろんこれもポーカー…なのですが、文字通りのバットビート。思わず出た言葉が「ホント申し訳ない」。

「まぁあるあるです」と相手に言ってもらったものの、勝っておいて自分の中ではメンタル崩壊。

フィーチャーテーブルなのにBB放棄、オキバケしてタバコ吸いに行こうかと思ったくらい(おい)。

ダイヤモンドレンジなので入口は勝ってることが殆どだった中、覚えてる中で3回しかない、入口負けてるところから捲った1回がこれ(フリップ除く)。

ツイてたとしかいいようがないですね。

そんなこんなでメンタルはグラグラながら目の前にはアベを大幅に超えたスタック。殆どの相手はカバーしてる。

必死に落ち着こう、落ち着こう…と意識する中、どこからかふつふつと沸き出す悪魔の囁き。

(流石にちょっと切り替えてもいいんじゃね?無理矢理虐めることはしないけけど歯向かうなら知らないよって感じで)

超上から目線。さっきまでの謙虚さはどこいった。

そんな慢心モードのBBの時にBTNからオープンが入る。しかも見ると額がちょい大きめ。

むぅ、と思いながらハンドを確認するとAKd。(はいお帰り下さい)とばかりにスナップで「オールイン」宣言。友達なくすプレイですねw

負けたら向こうは飛び、とはいえそれほど相手もいきなり全弾突っ込むほど浅くはない。ということでスティールして終わりかと思ったのですが、悩んでいた相手から帰ってきた言葉は「コール!」え、コールするの?

出てきたハンドはTT。文字通りのフリップです。

(フリップの様子はマサキングさんの動画も参照下さい。笑)

フロップは2ダイヤのペアボード。フラドロ2オーバーということでちょい不利ながらまだほぼフリップ。

ターンはラグ。

(流石に負けたか)と思いながら落ちたリバーはJ…ながらダイヤ!

テーブル中からの「うわー!」その2。

すみませんまだ上振れてました。

どこからか思わずこぼれた「バカヅキ!」の一言。意図せずそれに自分が返した言葉が「間違いない」。(この辺は謙虚w)

これで1人オープンさせつつテーブルチップリに。

(ほら見ろって、もう逆らわない方がいいよ←かなりドキドキしてたくせに)

でもこれだけスタック持つとこっちのBBに仕掛けられる頻度は減ります。逆にこっちのスティールが決まり出すように。まぁレンジは変えてないのでバリュー取れなくなってきた、とも言えるのですが、状況的にスティール充分でしょう。

そんなやりとりが続いた頃。気づけばFTバブルという状況で、誰もオープンしていない状態の中BTNの自分に入ったのは8ポケ。当然入りますよね。と、BBから突如飛んできた「オールイン」。スタック的には20bb以上、自分のスタック1/4ちょいくらい。ふむ。

正直いうと、コールでもフォールドでもどっちでもよかったんですが、一つ気になることが。

このオールインをした方、バブルライン前から同じテーブルだったのですが、その時からポットオーバーベット、40bbオールインなど、かなりオーバープレイを仕掛けて来ていました。しかもその全てが相手を降ろしていてハンドがわかっていない。

20bb強のオールインということで、アクション的に許容されるハンドの筆頭がAK、AQsですが、この先も戦う可能性がある以上このままハンド不明なのはイマイチですし、BTNオープンさらに大きめの額とはいえBBの3BETに簡単に降りる情報を見せるのもプレイスタイル的に付け込まれる弱みを見せることになりやはりイマイチ。最初に予想したAxならフリップですし、流石にプレミアポケットなら勿体無いから刻んでくるはず。こちらのスタックには余裕があり、勝てば1人飛ばせてドチップリ。

ということで(いい加減「やってる」んじゃないの?ちょっと一回そのハンド見せてみろ)とコール。刹那、相手が嫌な顔をして出してきたハンドはA4o。

とある界隈ではこの世で2番目に弱いと言われているハンド(←ただの主観。マイハンドの方ごめんなさい)。やっぱり「やって」ましたね。

結局Aが落ちることはなく8ポケの勝ち。大会参加時には予想だにしないチップリというおまけ付きでFTに残ることができました。

FT。

FTには残れましたが、時間は既に18時を過ぎています。ブレイクはあれどぶっ通しの集中を続けている中既にDAY2も7時間が経過。昨日から含めると16時間の中極限の緊張状態でプレイしています。流石に心身ともにクッタクタ。

終わるの20時半くらいかなぁなんて勝手に予想し(そしてこの甘い予想は見事に裏切られるのですが)、あと2時間持つのか違う面の不安が出てきます。というか集中切れて飛ぶとか後で後悔しかないから最後まで持ってくれ。

もうプリフロは省エネ(←本来一番考えるべき場面だろ)とばかりにレンジも変更せず、ほぼ参加しないドチップリの誕生。ポジションいい時に後ろ虐めてればいいや。(いいのか)

なんて思ってたのですが、そんな思いを見事に突かれたのか、はたまた上振れ終焉のお知らせか。MPからオープンし、後ろのショートオールインにコールしたらフリップ負け。圧倒的優位がぐらつき始めます。

さらにBTNからAJcにてオープンしたら同じ方から再び、しかも今度はスナップでのオールイン。

…相手の方も先程の方同様、FTのプレイを見ている限りかなりアグレッションが高そうな印象を受けており、メンタルの揺れ付け込まれてる?と一瞬思いますが、とはいえまだまだこちらがカバーしてますし、スタック的にも20bb弱程度を一発入れ。何より先程の方と違い、今まで他のテーブルで一緒にプレイしてた記憶がなく、こっちのプレイスタイルもよくわかっていないはず。付け込むとはいえ負けたら終わりの状況でチップリ相手にそこまでするか?

となるとやはり思い浮かぶド本命はAK、AQs、あとはJJ以上のポケットなどいわゆるプレミア系。

一度削られてるので、これに負けるとこっちも痛くなってくる状況。思わず悶絶。(ここで頭抱える様子がJOPT公式動画に撮られてました。苦笑。↓0:50頃。)

https://m.youtube.com/watch?v=cMxGSbMmEiE

結局降りたのですが、スナップで相手がショーしてきたハンドはやはりというかAK。あぶなー。

なんか徐々に勢いを失いつつあるチップリですが、それとは対象的に、ここから一気に飛び出してきたのがマサキングさん。一気にアグレッションを上げ、それに呼応するようにハンドラッシュ。あれよあれよという間に他のプレイヤーを飛ばしていき、スタックの山を築いていきます。

2シーツオープンを含め結局7位から4位までのチップを全吸収(自分のBBも2度削られるというおまけ付き)。何もせずにメインイベントのメダルを確保させてくれるという大僥倖と引き換えに見せつけられたスタックは、とし150万、2位200万に対しなんとマサキングさん1000万w

もうポストなんかさせてくれるはずもありません。全てのハンドでオールイン要求が飛んできます。下2人はなすすべなく、ひたすらブラインドが削られるだけ。

会場中が思ったでしょう。(これは決まったわ)

はい、自分も思ってました。もはやどっちが2位かを決める争いです。

何のハンドで飛ぼうかなぁ…なんてもはや自虐の心境になった頃。向こうから呪文のように聞こえるオールインに対しハンドを見るとまさかのAA。これでとんでも悔いなしですね。行ってきまーす。

向こうが開いたハンドはJ7s。これでフラッシュ引かれたとしてももうしょうがない…のですが、結果危なげなく抜けダブルアップ。マサキングさんも次負けると痛いのでオールインの呪文は控え始めます。まだ余裕はないですが、3位にはダブルスコアのスタックをつけた自分。ならば2人でショート虐めますか、ということで3位のBB削りに便乗。

そんなことが数回続き。ブラインドヘッズでハンドはA6。エース1枚あれば上々、とオールイン要求するとコールされ開けられたハンドはAQ。やべ、ドミった。

調子乗り過ぎた?と思いますが、フロップのウインドウがなんと6。大会中云々の、負けているところから捲ったハンドの2回目がこれ。そのままターン、リバーと抜けワンシートオープン。

…あれ?ヘッズアップってこと?

最終決戦。

自分が予想していた20時半終了はとうに過ぎ、21時も半分が経っている状況。なのにまだ自分はポーカーをしている、というかできている。この幸運に感謝したいところなのですが、もはや体力はスッカラカン、あとは気力だけの勝負。

ある意味極限状態でゾーンにでも入ったような感覚だったのですが、リアルタイム中継を見ていた方はお気づきの通り、アクション一つ一つがかなり遅くなっていました。

決して意図してたわけじゃなく、純粋に頭動いてなかったんです。とはいえ遅かったのは紛れもない事実。運営の方含め、(早くしろよ)と思っていた全ての方ごめんなさい。汗

本題。

スタックはマサキングさんの800万対自分が450万。カバーされているとはいえ充分やれる状況。

が。

実は、自分ライブでのヘッズアップは全く経験がありません。片や百戦錬磨、ヘッズアップの動画コンテンツまで複数出している相手。経験の差は段違い。

ただ、じゃあ自分にヘッズアップの知見が全くないかといえばそうでもなく。YouTubeでのポーカー動画は海外大会含めかなりの数見ています。WSOP、EPT、WPTをはじめ、ヘッズアップのトーナメントなど繰り返し見てきました(注:寝落ち含むw)。視聴した動画数は軽く100以上。もちろんマサキングさんの動画もしっかりチェックw

さらに言えば、マサキングさんにも相当のプレッシャーはあったはず。自他ともに認めるポーカープロ、スタックは倍近くあり相手はどこの誰かもわからぬ馬の骨。どこからどう見てもマサキングだろ、という周りからの期待。先程のマサキングさん優位な情報も含め、逆に言えばその全てが足枷になりえます。

逆にこっちはいち挑戦者。疲労感は半端ないですがプレッシャーなどあるはずもない。

そして。冗談だと思われるかもしれませんが、この期に及んで自分には優勝しよう、という意識がまるでありませんでした。ただヘッズアップの戦いを振り返って(なんか決勝イマイチだったな)と思われなければそれでいい、と。無欲というよりは、自分の経験の無さ故に思った感覚なのかも知れません。なんとなく決勝っぽい戦いができればそれでいいや、と。

ということで始まったヘッズアップ。当然ながらダイヤモンドはもう終わり。今までのマルチウェイとは根本的にアクション、レンジを変えていきます。自分にとってはヘッズ用ということで特段違和感なかったのですが、正直このギアチェンジがマサキングさんを混乱させたのではないか、と今振り返れば思う点も。

さっきまでバリカタ、いやもはや粉落とし(違)だったはずの相手。ポスト支配すれば勝てると思わせるようなアクションしかしてこなかった相手からの猛プッシュ。

かと思えば今度は延々チェックコール。勝ったと思ってショーダウンしたら向こうから出てきたハンドはナッツ級。正直こっちが何を持っているかマサキングさんは想像がつかなくなっていたのかもしれません。

手前味噌かもしれませんが、プレイ中こちらも(意外とやれてるのではないか)と感じていました。

それを確信したのが次のハンド。最後のフリップでもウイニングハンドでもなく、これが今回の大会で一番印象に残っているハンドです。(リアルタイム中継が始まる前のハンドなので、初見の方も多いのでは。)

珍しくアクションを書いてみます。写真のボードと合わせ、自分が何を持ってたかちょっと推理してみてください。

単位 K:キロ(100K=10万)M:メガ(100万)

アクション b:ベット r:レイズ 3b:3ベット c:コール x:チェック AI:オールイン

100K-200K BB ANTE 200K

スタック とし6M   マサキング 7.5M

BTN/SB(とし)r400K/c

BB(マサキング) 3b 1M

フロップ  ポット2.2M    BB b1M       BTN c

ターン     ポット4.2M     BB b1.5M   BTN c

リバー      ポット7.2M    BB x  BTN b2.5M(AI)

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(チップがある方がフロップ側です。ハンドを推測された方は下の方にスライドして下さい)









皆さんはどんなハンドを想定されましたでしょうか?

9ポケセット?A9の2ペア?まさかのフラッシュ?

(ちなみに応援してくれていた方々の予想は満場一致でなんとAAだったそうです。ダイヤモンドイメージ恐るべしw)



正解は6d5d。つまり6ハイです。

バックドアガットからのダブルベリー、リバーで全てが滑ったブラフオールイン。

そもそも3ベットにコールするべきじゃない、フロップやターンでついていくべきじゃない、という批判は甘んじて受けます。


お互いスタック的には完全なるコミット。

マサキングさんが「コール」と言っていればここでヘッズアップは終わっていました。(マサキングさんのハンドはここでは記載を控えます。少なくとも、自分のハンドよりは圧勝していました)

そして正直、普段のマサキングさんならコールされていた気もします。もしくはターンでオールインされていた可能性も充分にあります。

それでも。ターンで刻み、リバーのオールインにコールと言えない選択をさせたのは単なる偶然ではない、そうとも考えています。

それまでのやりとりで、ナッツなのかブラフなのか全くわからない。何でついてきてるのか。何を考えているのか。

恐らくマサキングさんの中に僅かながら生じていた疑心暗鬼、それが結果的に目に見える形となって現れた、そんなハンドでした。

そして倍以上あったスタックは気付けば逆転。一気にこちらが有利になります。

追い詰められたマサキングさんから発せられたオールイン。スタック的には10bbをとうに切っています。自分がこれに勝てば決着。

その時の自分のハンドは…J4c。

負けているのは百も承知。ならば、素直に降りてショートのままでいてもらった方がやりやすい。ポストやれていると思っているなら尚更。

でも、これ勝てば優勝なんです。恐らく大会中、初めて優勝を意識したのがこのタイミング。

例え勝率25%でも、勝てば優勝。負けても互角に戻るだけ。ならば、このチャンスに乗ってもいいのでは。


人間とは欲深く、そして弱い生き物ですね。

コールして相手から出てきたハンドはKJ。最悪のドミネーションハンド。フロップで4が落ち期待が高まるも、そんな希望が霧消するターンのK。スタックも互角に逆戻りし、流石にやらかしたか、と反省。

ただなんのイタズラか、全く同じシチュエーションがマサキングさんにも起こります。

大きめのポットを失い、自分がオールインした時のマサキングさんのハンドが92oとT8s。こっちが入れた時のスタックはそれぞれ5bbと9bb。

普段ならスナップで降りるはずとは言え、優勝がかかっているとなるとやはり何かが変わるのか。

ひょっとしたらBBアンティも払ってるので確率的にコールが正当化されるのかもしれません。

この辺はヘッズアップだからこそ、そして相手がショートだからこそ、そしてなにより勝てば優勝、という状況こそのジレンマかも知れません。ポーカーって難しいですね。 

結局オールイン2連勝でまたしてもスタックはほぼ互角となり、そうこうするうちに気付けばヘッズアップも2時間以上経過。

65bbあった総スタックも30bbに。お互い10bbちょっとしか持っていないはずなのですがそれでも拮抗を続けています。もはや意地と意地の勝負。

終電も無くなり、(いつまでやるんだ)と会場中が、そして視聴者さんがとっくに思っていた頃入った運命のAQc。

自分の2bbオープンにマサキングさんがコールすると、フロップは2c8c4d。フラドロ2オーバーで安めのCBを打つと、返ってきた単語はオールイン。

流石に降りられません。最後のフリップ勝負となるも、ターンであっさり落ちたのが3枚目のクラブ。

これでほぼ決まり。スタックはマサキングさん100万ちょいに対し自分が1200万。もう次は相手ほぼエニハンでオールインでしょう。事実そうなりました。

さっきのような失敗は、なんて考えるも、覗き見たハンドの1枚目がKでスナップコール。相手のA8に(今度はこっちが負ける番?)なんて一瞬思いますが、フロップでトップヒットにフラドロつきという僥倖で、大会中3回のうちの3回目、そして最後となる入り口負けからの捲りで決着。

最後の最後、ほんのちょっとこちらに運が味方し、永遠に続くような感覚だったヘッズアップ、そしてJOPT20:Tokyoは終わりを告げました。

ああ、終わったのか…。


エピローグ。

決着後もしばらくは放心状態…だったのですが、息もつかせぬままインタビュー、トロフィーの授与とセレモニーは進み。

笑顔でお願いしますなんてオーダーを受けながら(そんな余裕ないわw)写真撮影を済ませ。

最後に事務手続きを済ませて解散。

既に終電はないということで一緒に会場に残ってくれた方がホテルの手配までしてくれ、皆さんのありがたみに改めて感謝しつつとりあえずチェックイン。

ようやく1人になりましたが、まだ呆然としています。優勝した、という実感はまるでなく、勝ったというよりは結果的に負けなかった、そして、何より終わったんだなぁ、というのが正直な感想。

とりあえずくたびれ果てているはずなのでベッドに倒れ込む…のですが、とっくの昔にライフはゼロになっているはずなのに全く寝れない。目を瞑ってもさっきまでやっていたハンドとボードがフラッシュバックのように浮かび上がってきます。やばい、頭のネジ何本か飛んでるかも知れない。

結局朝まで一睡もできず、始発で帰ることに。自宅に着いてようやく落ち着いたのですが、やっぱり寝れない。

…たまたま休日出勤の代休として5/6、5/7を休みにしていた自分。翌日早起きする必要もなくこれはもはやダメだな、とおもむろに、そして開き直るように朝7時から部屋の掃除を始める始末。(なんと近所迷惑な)

仕事休みにしておいてホントよかった。笑

とりあえず体だけでも休めようと布団の中でスマホを見ると。

JOPTのTwitterアカウント(@japanopenpoker)が優勝した自分の写真や決着時の動画などを上げていました。

なんでここに自分がいるんだろう、なんでガッツポーズしているんだろう。

半日前の出来事にもかかわらずここにいるのが自分じゃない、そして遠い昔の出来事だったような不思議な感覚。つくづく大舞台慣れてないですね。

そのまま家でゆったりしていようかとも思ったのですが、なんとなく早い方がいいかと思い報告として東中野3BETへ。

サテライトをやっていたのですが、扉を開けた瞬間皆さんからおめでとうの喝采を浴びました。先にいた方、そして後から見えた方も自分の顔を見るなり祝福してくださいます。本人は未だに青天の霹靂状態で、皆さんの言葉に感謝しつつ、なんかむず痒い不思議な感覚。

でもそれで少し日常に戻ってこれたのか、その日は布団に入るや否や爆睡。考えたら60時間以上起きてたんですね。完徹すら滅多にしたことなかったのに、と我ながら違う意味で感心。

…ただし次の日起きたら時刻はなんと16時。つくづく仕事休みにしておいて(以下略)。


その後しばらくして、郵送をお願いしていたトロフィーと賞状、メダルが揃いました。それをみて、初めて(ああ、勝ったのかもなぁ)なんて感じはじめます。どんだけタイムラグあるのやら。

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(どうせならということで3BETに持っていって撮った記念の一枚。)

ようやく感慨に浸り出す頃合い…かと思ったら、あれよあれよという間に次の大会の告知が耳に入ってくる。え、もう?

ということで調べてみると、まだ大会が終わって1ヶ月ちょっとなのですが、次回大会までももう1ヶ月しかありません。なんと。

周りからちらほら、次回はディフェンディング、連覇だね、なんてお声もいただきますが、優勝インタビューでも申し上げた通り勝ったからと言って驕るつもりは全くありません。

自分より上手い、強いプレイヤーなんて星の数ほどいることは百も承知。次回も挑戦者のつもりで挑みます。大会が始まった瞬間に自分もいち参加者です。(そもそもこの記事書く数日前にようやく権利取った件。危ない。)

ということで同卓した際は宜しくお願いします。また、どうぞお手柔らかに(←ここ重要)。


…ちなみに次回も竹芝桟橋には寄ると思います。仮に見つけてもそっとしておいてくださいw


長文お付き合いいただきありがとうございました。また会場でお会いしましょう!

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(閉会後、応援に残ってくれた方々とのワンショット。みなさん夜遅くまでありがとうございました。)



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