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法務に大切な信頼残高という話

ZOZO法務部の采木です。画像は法務相談Slackアプリ、ほうむくんです。

ファッションEコマース企業の法務部で稼働し、ここ1,2年は特に、法務部員の育成に力を入れています。彼らに仕事を最大限楽しんでもらうには何が大切か、会社により貢献するために必要な成長は何か、などを日々考えています。

最近改めて思うのが、法務部による法務検討や助言の内容を事業部が正確に理解すること難しいということ、ただ、それは実は必須ではないということ、です。法務部目線でいえば、事業部が契約書を読んでくれれば法務部にとっては話が早く、仕事がしやすいです。また法務部の仕事は孤独に書面に向かうことも必要なので、周囲に自分達の頑張りを理解して欲しいという気持ちが常にあります。それでも、彼らにどこまで理解を求めるかは関係性次第だと思います。

結局、事業部の役割は、ビジネスについてジャッジをし、オペレーションを組むことです。その過程で法務部に相談するのは、そのビジネスを進めて良いか(後で困らないか)、今どの位アクセルを踏めるか、を判断するためです。法務検討や助言の内容は彼らにとっては、あくまで判断の一要素です(法令違反になっていたらやり直しになってしまうという点で、重要な要素ではありますが)。法務が聞かれた点にその範囲で正確に回答するのは必須ですが、そこまでは平常業務の範囲内・期待の範囲内です。更にその先のビジネスジャッジや効果的なオペレーションをどう組むかの判断まで一緒に考えられるかが、法務部の付加価値になっていくのだろうと思います。

このように説明するとつい、法務部員もビジネス検討やオペレーションの工夫に関心が行きがちですが、まずは平常業務をきちんと回すことが大切です。私は、日々の仕事の対応を通じて信頼残高を積み上げる、という発想を常に意識しています。聞かれたことに回答するだけでは信頼残高は増えませんが、日々の仕事に誠実に取組み(毎回、契約書や法律を丁寧に検討し)、それぞれの相談者の期待値を少しだけ超える対応(必要性と許容性を考慮した法務見解を伝わりやすい形で伝える)をすれば、信頼残高は少しずつ増えていくと思います。
信頼残高が積み上がれば、事業部も早め・幅広に相談してくれるようになり、明確な感謝を示してもらえる機会が増え、法務部員にとってやりがいに繋がります。

結論としては、毎日の仕事を丁寧にやって行きましょう、です。法務の場合、飛躍的な成長は少ないかもしれませんが、日々の積み重ねが長期的には必ず報われます(ただしマネジメントを行うには、マネジメント思考が追加で必要です)。その日々の積み重ねを続けるための指標として、信頼残高という考え方が使えるのではないかと思って本noteを書いてみました。

ZOZO法務部は、明るく、楽しく、真面目に仕事に取り組む人がきちんと成果を出せる、そんな環境を今後も維持し、磨き込みたいと思っています。


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