OneNoteを利用したジャッジ業務効率化

0.はじめに

 茨城DM交流会のとし(@toshi7m)です。
 今回、茨城ジュニアCSを開催する際に、業務効率化の為のツールとして「OneNote」を試験的に導入してみました。
 他方のCS運営チームの業務効率化に繋がればと思い、どのように運用したのかと実際どうだったのかをまとめます。

1.OneNoteとは

 OneNoteはMicrosoftが提供するソフトウェアで、一言で言えばデジタル版のノートです。使う為にはMicrosoftアカウントを発行する必要があります(無償)。
 紙に書き込むか、パソコンorスマートフォンで入力するかの違いだけで、基本的には授業で使うノートと何ら変わりはありません。
 文字を書いたり、画像を貼り付けたり、本質的に行っていることはWordと全く変わりませんが、OneNoteには特筆すべき利点がいくつかあります。
 今回は掲題にある、ジャッジ業務効率化に的を絞って特徴のご紹介をします。

1.1.ファイル構成

 Wordは、1つ1つのドキュメントが単一のファイルとして扱われます。
 対してOneNoteは、「ノートブック」「セクション」「ページ」の3つのブロックが存在し、これらをまとめて1つのファイルとして扱います。
 ルーズリーフに例えると、とても分かりやすいかと思います。
 紙1枚1枚が「ノート」。
 インデックス(あるいは付箋)が「セクション」。
 それらをまとめて閉じるバインダーが「ノートブック」です。
 Wordでも目次設定を行うことで、ある程度近い状態を作ることはできますが、1度使って頂ければこちらの方が明らかに操作性で勝るということがお分かり頂けるかと思います。

1.2.更新方法とそのタイミング

 OneNoteのファイルが保存される場所は、Microsoftが提供している「Onedrive」というクラウドストレージ(インターネット上に存在するハードディスクのようなもの)に保存されます。あまり機械に強くないという方は、このあたりのお話は無視して頂いても構いません。
 OneNote起動時は、使用端末とクラウドストレージが同期状態となり、ほぼほぼリアルタイムで更新されます(非同期状態でも、再度通信成功したタイミングで更新されます)。
 今回はこの部分を利用して、CSスタッフ間での情報共有ツールとして導入します。

2.導入方法

 CS運営用のMicrosoftアカウントを、1つ発行します。
 CS運営スタッフが各自所持している端末(=スマートフォンやタブレット等)にOneNoteのアプリをインストールし、各自CS運営用アカウントにログインします。
 これで、CS運営スタッフが所持している端末全てがクラウドストレージと同期状態となります。

3.ファイル構成の実例とその運用方法

 当CSで実際に運用した方法を用いて、具体的な使い方について説明を行います。
 茨城ジュニアCSでは、以下の通りにファイル構成を行いました。
 【ノートブック】茨城ジュニアCS
  ∟【セクション】運営スケジュール
   ∟【ノート】メンバー1
   ∟【ノート】メンバー2
   ∟【ノート】メンバー3
   ∟(省略)
   ∟【ノート】メンバー6
  ∟【セクション】参加者管理
   ∟【ノート】プレイヤー1
   ∟【ノート】プレイヤー2
   ∟(省略)
   ∟【ノート】プレイヤー64
  ∟【セクション】テーブル管理(1回戦)
   ∟【ノート】テーブル1
   ∟(省略)
   ∟【ノート】テーブル32
  ∟(省略)
  ∟【セクション】テーブル管理(6回戦)
   ∟【ノート】テーブル1
   ∟(省略)
   ∟【ノート】テーブル32

3.1.運営スケジュール

 各スタッフのスケジュールをまとめたセクションです。

 自分が今どの業務にあたるべきか、また他のスタッフは今の時間どのような業務についているかを、スタッフそれぞれが任意のタイミングで確認できるようにします。

 各項目はチェックリストタイプになっており、こなしたタスクにチェックを付けることで、自分あるいはメンバーの業務がどこまで完了できているかを把握することもできます。今回は個人利用に留めている為、チェックリストとしての運用はしないこととしました。

3.2.参加者管理

 プレイヤー全員の情報をまとめたセクションです。

 プレイヤー個人のノートの中には、与えた警告の記入スペースを設け、そのプレイヤーが今どのような状態かを把握することが可能です。
 今回は、警告記入に関するフォーマットを確定できませんでしたので、この部分に限り運用には至っておりません。
 また、【デッキチェック】の項目を設け、その下にプレイヤーのデッキリストを撮影したものを貼り付けます。
 こちらは、当日のCSにて運用致しました。

3.2.1.運用方法(運営卓)

 参加受付時に受け取ったデッキリストを撮影し、各プレイヤーのノートに貼り付けていきます。デッキチェックを行う際には、デッキシートを運営卓から探し出して確認をする必要がありましたが、それが不要となります。
 デッキリストの提出方法をオンラインにすることでも効率化は可能です。
 ペーパーでの提出があった際には、この方法でまとめると良いかと思います。デッキリストのソートが不要になり、大幅な業務効率化が期待できます。

3.2.2.運用方法(ジャッジ)

 ジャッジ案件によってプレイヤーに与えた警告内容を記入します。記入内容は、リアルタイムでスタッフ全員の端末に反映され、どのプレイヤーが今どのような状態なのかがいつでも分かります。

3.3.テーブル管理

 各対戦卓の情報をまとめたセクションで、予選ラウンドの数だけセクションを用意します。

 対戦卓の状況確認に利用します。

3.3.1.運用方法(運営卓)

 スコアキーパーが勝敗登録を済ませた後、済ませたテーブル番号に紐づくノートを削除します。
 削除されたテーブルのノートはスタッフ全員の端末からも削除され、フロア内を動いているジャッジは、自分の端末から今どのテーブルが試合中なのかをリアルタイムで確認することができ、自分がつくべきポジションを細かく判断することが容易になります。

3.3.2.運用方法(ジャッジ)

 ジャッジがテーブルに与えた延長時間を、与えたテーブル番号に紐づくノートに記入します。
 ジャッジは、試合時間終了時に3.3.1.によって削除されていないテーブル(=まだ試合が終わっていないテーブル)を確認し、ゲームを中断すべき卓を把握することができます。
 タイムキーパーは、試合時間終了時に測るべき延長時間を把握することができます。

4.導入した結果

 運営スケジュール、参加者管理、テーブル管理の3セクションに分けて、結果を記載していきます。

4.1.運営スケジュール

 茨城ジュニアCSをはじめとした、茨城DM交流会が運営するCSでは、前もって全体のタイムテーブルを作成し、それをグループLINE上に展開、展開したドキュメントを各スタッフに熟読して頂く様に徹底しており、個々が今回のCS中に自身あるいは他のメンバーのスケジュールを何度も確認するようなことはありませんでした。
 ただし、当日はイベントの時間が予定よりも後ろにずれましたので、その情報をスケジュールに反映させ、スタッフ全員でその情報を共有することができれば良かったと考えられます。
 この点については、次回以降のCSに取り入れて再試験する予定です。

4.2.参加者管理

 当日運用した部分は、撮影したデッキリストの追加及びそれらを活用したデッキチェックでした。
 デッキリストの撮影に関しては、今回1名のスタッフにデッキリストの撮影から、撮影したプレイヤーのノートに追加するまでをお願いしました。撮影から追加までに要した時間は、プレイヤー1人あたりで長くても15秒とのことでした。
 これは単純計算で1分で4人追加できる計算となり、200人規模のCSにおいて5人のスタッフが並行してこの工程を実行することで、デッキリストの追加作業が10分で完了します。
 ただし、デッキチェックの際にジャッジはデッキリストに直接ペンでメモの書き込みを行う場合があり、タブレットであれば容易だが、スマートフォンだとそれがやりにくいかもしれないとの意見を頂きました。
 運営卓に戻らなくても、その場でデッキリストの確認ができる点に関しては非常に便利だとのことでしたので、何らかの改善策を考えたいと思います。

4.3.テーブル管理

 今回はスコアキーパーが自身の業務とゲームが終了したテーブルのノート削除を並行しておりましたが、マッチングツールへの勝敗登録に時間を要した為に負荷がかかり、急遽ノート削除の作業をタイムキーパーに協力して頂きました。
 通常であればマッチングツールにはTCGマイスターを使用し、バーコード登録の方式を採る為、スコアキーパーの負担も軽くなるので並行することは可能と思われます。以後、再試験する予定です。
 ジャッジからは、対戦テーブルの把握が非常に容易になったとの意見を頂きました。今回は64人規模のCSかつ会場が見渡しの良い場所であった為、目視でもある程度はなんとかなったが、大規模のCSで導入できたらかなり便利だと思うとの意見も頂きました。
 時間終了時の対戦テーブルの把握も容易でしたので、タイムキーパーとしてもこのセクションはかなり重要なポイントであると感じました。

5.おわりに

 今回は、OneNoteを利用したジャッジ業務効率化についてお伝えさせて頂きました。
 CSでは、少しでもムダを省き、当日の仕事をいかにラクにこなせるかを意識すべきだと考えております。
 まだまだ課題点はありますので、それらの解決策を引き続き模索していきたいと思います。
 運営レポートは以上となります。このレポートに関することだけでなく、何か気になることがございましたら、Twitterにて連絡を頂ければと思います。

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