【FX】ドテンで往復ビンタを避ける有効な手法とは?「押し目買い」「戻り売り」の失敗を狙う表と裏の両面作戦

ロングポジションを損切りをした後に即ショートポジションを持つなど、損切り後に即、それまでと反対方向のポジションを持つようなトレードをドテン(途転)と言います。

ドテンは含み損を抱えたらポジションを積み増す「ナンピン」などと同じで、下手な人が使うと危険です。

なぜなら、ドテンというのは負けた分を今すぐ取り返したいという悔しさからくる「場当たり的なドテン」になりがちだからです。

いわば競馬で「メインレースで負けたから最終レースで取り返す!」みたいな心理と似てるんですよね。

こんなダマシの連続や上に行ったり下に行ったりする方向感のないレンジ相場で「買いで損切りされたから売りだ!」などと場当たり的なドテンをすると往復ビンタを食らうことになります。

「損切りしたらドテン」を一度許してしまうと、それが2回、3回とズルズル行って往復ビンタの連続になってしまい、下手をしたらその日だけで全資金を飛ばすことになりかねません。

戦略的ドテンで往復ビンタを避けるルールを決める

ドテンはあらかじめプランを練っておかないと制限が効かなくなってたちまち往復ビンタを食らってしまうことになるので、もしやるなら自制のためにもルールを定めるべきですね。

ドテンで往復ビンタを避けるためにどうすればいいのかというと、例えば私は「ドテンは1回まで」というルールを自らに課しております。

というか、そもそもドテン以前に私は1日のトレードを「初手損切り」でスタートするのをものすごく嫌います。

最初のトレードを損切りでスタートしてしまうと、その損切り分を取り返しつつさらに利幅を取らないとトータル収支プラスで終えられませんからね。

初手損切りをしたくないからこそ最初のトレードは慎重になりますし、だからこそ仮にドテンをするにしても事前のプランとして練っておくという慎重さが生まれます。

とにかく初手損切りで始まるのが嫌な私は、大体の場合最初のトレードはよほど強い根拠でエントリー出来る場面でない限り、一度ダマシにならないかどうかを疑って様子を見ます。

①ダマシを疑って一度は様子見
②ダマシ確定でエントリー

という二段構えでトレードをするということですね。

通常はこれで大体勝てるのですが、ごく稀にダマシのダマシというパターンが発生することもあります。

「上に行って、下に行って、やっぱり上!」

という感じの相場ですね。「ダマシのダマシ」は通常のダマシよりもさらに信用度が増すので、そういった場合には

③”ダマシのダマシ”で損切りドテンエントリー

という”三の矢”を放ちます。

ただ、もしこの三の矢が不発に終わって「ダマシのダマシのダマシ」なんてことになったらもう訳が分からないので、深追いを避けるためにそこで打ち止めにしてもうその日はトレードをやめるようにします。

もうその時点で2回損切りしていますからね。

そういう日にムキになってトレードするより日を改めてもっと分かりやすい相場になる時を待った方が良いです。

これが自分の中で「ドテンは1回まで」という風に決めている理由です。

まずこうやって往復ビンタを避けるためのルールを課しておけば、本来推奨されないドテンも事前にプランを練っておく「戦略的ドテン」として時として非常に効果的な手法となります。

ちなみに私はほとんどしない「ナンピン」も1回までというルールにしています。

ドテンが有効な場面と具体的なエントリー手法

一つ、ドテンが非常に有効な場面と具体的な手法を紹介していきましょう。

さていきなりですが、下記のチャートを見てあなたは次のトレードをどう考えるでしょうか?

強い下降トレンド

こちらはポンドドルの15分足チャートなのですが、まずこの場面は誰が見ても分かるように強い下降トレンドが出ています。

表示されているチャートではおおよそ2日間かけて大きな下降トレンドを作ったわけですね。

なので、日足を基準にトレードするデイトレーダーであれば当然、下降トレンドのフォローである「戻り売り」がこの局面における戦略のセオリーなわけです。

その考えは全く間違っていませんし、現に私自身もこの局面では「買い」はまだ考えずに上がって売りやすい形になったら「戻り売り」をしようと考えておりました。

上がるとしても一度底値を試すような動きが出ることが多いですし、そうなってから初めて「買い」を検討すれば良いだけですからね。

ただ、
・前日と2日前にすでに大きな下降の波は伸びきった感があること
・2日前の下降に比べて前日の下降の値幅が小さくなりつつあること

を加味すると「そろそろ下降トレンドが終焉に近づきつつある」ということを頭に置きながら戻り売りを考えるべき局面と言えます。

このチャートを見た時点から2日前、前日の日足をそれぞれ枠で囲いましたが、明らかに下降トレンドの勢いが弱まりつつありますね。

また、所謂「エリオット波動論」でもすでに3波の最もおいしい部分と5波の最後っ屁のような下降が、下降トレンドが終わりつつあることを示唆しているとも言えます。

このような局面では、ただ戻り売りだけを考えるのではなく

「基本戦略は戻り売りをベースにしつつ下降トレンドの弱まりから反転に警戒」

という風に表と裏の二面性を持ちながらトレードを考える必要があります。

つまり、大まかな環境認識やシナリオ構築の時点ですでに「戦略的ドテン」を考えているということです。

実際にこの局面で私が行ったトレードは、まずはセオリー通りの戻り売りでした。

何だかんだ言って、押し目買いや戻り売りという王道のトレンドフォローには信頼を置いています。
「下降フラッグ」の完成も見えそうなチャートですしね。

しかしこのショートが思ったように伸びず、安値を切り上げてしまったので損切り。

安値切り上げのダブルボトムを作ったので戻り売り失敗と見なしてネックライン抜けのドテンロング。

損切りからドテンロング

このドテンロングは少し伸びてからいったん引かされましたが、その後本格的に伸びていったので損切りした分もカバーすることが出来ました。

このようにトレンドが伸びきった局面では

「セオリー通りのトレンドフォローが不発に終わり逆に伸びる」

ということが結構ありますね。

通常であれば15分足チャートでこの程度の安値切り上げダブルボトムが出たところでロングエントリーするのは心もとないんですが、「戻り売りの失敗」と共に出現したことでその存在が大きくなります。

さらに言うと、このロングが本格的に伸びたのは「ダブルトップの失敗」がトリガーになっていることに気が付くでしょうか。

こちらも戻り売りの失敗でドテン出来るポイントですね。

なので、「安値切り上げ」の早い段階でエントリーしていなかったとしてもダブルトップの両肩を抜けられて完全に失敗したと見なせる高値抜けでのロングでも結構な利益を得られることが出来たはずです。

このように皆がセオリー通りのトレンドフォローをしようとしている時こそ、そのセオリーが崩れた瞬間が逆に大きく伸びるトリガーとなり得るため「ドテン」が成功しやすくなります。

この私が戻り売りを仕掛けて失敗したポイントや、その後のダブルトップを形成したところというのは前日の陰線に対してフィボナッチ50%~61.8%の戻りの位置になり、戻り売りを考える人もそれだけ多かったわけです。

だからそのセオリー通りの売りで入った人の損切り(買い)を巻き込んで上昇していったんですね。

様々な根拠を積み上げた優位性の高いトレードであるほどその逆に行く時も伸びることが多いです。

そして、そのような場面を選んでトレードすることが往復ビンタを避けてドテンを成功しやすくするコツです。

実際この場面ではそのまま普通に下降トレンドが続いた可能性もありますので、戻り売りが成功しても失敗してもどちらでも両面で利益を獲得できる美味しい場面だったのです。

まだトレンドが伸びきっていない、最も美味しいところをいただきたいという場面では多少引かされたとしても損切りはせずむしろポジションを積み増すナンピンの方が有効な場合もあります。

この局面はトレードをする前から下降トレンドの勢いがなくなりつつあるという認識をしており、怪しい動きをしたら逆に行こうという「事前のシナリオ」ありきのドテンですからね。

あるいは、雇用統計のような強い値動きがある指標後にもこの「戻り売り」失敗のエントリーが出来ます。

これは以前、2023年10月1週の相場振り返りの時に紹介したトレードで、この時も「戻り売り」失敗をトリガーにエントリーしています。

結局、長期足の環境認識や事前のシナリオありきなんですけどね。

まあ、こういった押し目買いや戻り売りの失敗の見極めというのはマルチタイムフレーム分析ありきなところがありますし基準が曖昧です。

為替という大きな市場においては、毎回「定石」を鵜呑みにしてそれ一辺倒でやろうとする「お利口さんトレーダー」が常に一定数存在しますので、時にはそれを逆手に取ってやりましょう。

ドテンと両建て手法の違い

ドテンと似た概念に「両建て」というものがあります。

ドテンはポジションを一つに絞り、損切りした後でもう一度逆方向にポジションを持つというものですが「両建て」はあらかじめ買いと売りの両方向に2つのポジションを取り、伸びなかった方を切るというものです。

これはつまり

「どちらかに抜けたらその方向に一気に伸びるであろう場面」

という相場の”分水嶺”を見極めてエントリーする手法ですね。

これはこれで一つの手法としてアリだと思いますが私はこの両建て手法は使いません。

用事があってチャートをずっと監視することが出来ないといった場合に両建てでエントリーしておくというのは良いと思います。

ただ、もし私がそのように「どちらか一方に大きく伸びる相場の分水嶺」にあってチャートを見れないような場合では、IFDOCO(イフダンオーシーオー)注文で上と下のブレイクの両方に逆指値が引っかかるようにして、一方が約定されたらもう一方をキャンセルするような取引の仕方をすると思います。

それに、やはりちゃんとリアルタイムの値動きを観察するに越したことはありません。

両建て手法というのは「どちらか一方を必ず損切りする」ということになりますが、ドテンの場合は「素直に伸びたらそのまま」なので必ずしも損切りするわけではありません。

やはりFXにおいては「後出しジャンケン」が正義ですから、ドテンは両建て手法よりもその点でメリットを享受しやすいと言えますね。

オーバーシュートを狙った利益確定後の追撃ドテン手法

通常「ドテン」と言うと損切り直後に逆方向にポジションを持つやりかたを指しますが、含み益のポジションを利益確定させた後に追撃のドテンエントリーというやり方もあります。

一度利益を確保しておきながらさらなる利益を追い求めるという何とも強欲な手法ではあります。

ただ、一度利益を確保しているということで仮に負けても貯金があるという精神的な余裕があるので、「損切りされたからドテン」という場当たり的なドテンよりはずっと自制が効きます。

また、これはきちんとポイントさえ見極めれば普通に成り立つ手法でもあります。

相場は、トレンドの勢いが強い時というのは強い節目のレジサポラインを一時的にブレイクするオーバーシュートという現象が頻繁に起こります。

しかし行き過ぎた相場は、まるで家に財布を置いて外に出てきてしまった人のように慌てて引き返して反転、結局終値では節目をブレイクできないという”ブレイクアウトダマシ”のパターンもよくあります。

この強いトレンドが発生した後のラインブレイクアウトで飛び乗りエントリー直後に逆行して損切り・・・といういかにもトレード初心者がやりがちな手法でやられてしまう人は常に一定数存在します。

こういった節目でのオーバーシュート反転狙いの追撃ドテンは、彼らの損切りを巻き込んで燃料に出来るようなポイントに狙いを定めればかなり精度の良いトレード手法として確立出来ます。

というか、こういった「定石」の裏をかくトレード手法の中ではこのブレイクアウトダマシが一番簡単で分かりやすいと思いますね。

ブレイクアウトは「何度も止められているラインを越えたら飛び乗る」という至極単純なエントリー方法ですから、初心者はこれが大好きですしそれを逆手に取ったトレードもそれほど難しくありません。

実際、ブレイク狙いというのは何度も失敗します。

そういったブレイク失敗狙いの「カウンター」に焦点を置いたトレード手法というのも以前書いたので良かったら参考にしてみてください。

押し目買いや戻り売りの失敗よりもずっと簡単ですが、このトレードにおける勝率は体感9割くらいです。

相場では「お利口さんトレーダー」が生き残るわけではなく、時に定石を逆手に取って裏をかく「不良トレーダー」の方がしぶとく生き残ります。

表と裏の両面を使いこなすトレーダーになりたいものですね。

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