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【FX】使えるダブルボトム・ダブルトップの見つけ方とトレンド転換の極意【手法】
今回は、反転チャートパターンの定番と言えるダブルボトム・ダブルトップを使ったトレンド転換を狙うエントリーについてお話ししていきたいと思います。
ダブルボトム・ダブルトップはFXを初めたばかりの時にまず学ぶであろう「教科書的なエントリー」の一つですが、実践においては信頼のおけるダブルボトム・ダブルトップの見つけ方や使い方というのはなかなか難しいところがあります。
そもそも、トレンド転換を狙ういわゆる「天底エントリー」というのはFXの手法の中でも難しい部類に入ると思います。
トレンド転換の大まかな流れとしては
1.トレンドの発生
2.トレンドの終焉(レンジに突入)
3.逆方向トレンドの発生(トレンド転換)
という具合になるわけですが必ずしもこうなるとは限らず
3'.再び同じ方向へのトレンド継続
というパターンもあります。
つまり、トレンド転換の見極めに失敗すると
・未だレンジの段階でお手付きエントリー
・結局トレンド継続に巻き込まれる
という二つの失敗が考えられるため、エントリータイミングもしっかりと厳選し、トレンド発生後の調整レンジを脱出したことを確認しなければなりません。
なので、ダブルボトムやダブルトップを使ったトレンド転換狙いの天底エントリーというのは特に慎重にエントリーチャンスを絞る必要が出てきます。
これに比べればすでに分かりやすいトレンドが発生した後の押し目買いや戻り売りでトレンドフォローというのは比較的簡単で、多少エントリータイミングを間違ったとしてもトレンドの大きな波に助けられて勝てるということがよくあります。
なので、極論を言えば「無理なトレンド転換は狙わずに大人しくトレンドフォローだけを狙う」という選択肢もありますが、それだけではエントリーチャンスも限られてきてしまいます。
それに、ダブルボトム・ダブルトップを使ってトレンド転換を狙える場面というのはデイトレード規模でも結構な頻度で表れるのでみすみすチャンスを逃すのももったいないところです。
しかし、ダブルボトムやダブルトップというのは見ようと思えば色々なところに出現するため、どれが信用できるものなのかわからなくなってしまうということが多いですね。
そこで、信用のできるダブルボトムやダブルトップの見つけ方とそれを使ったトレンド転換狙いのエントリー方法について詳しくお話ししていきたいと思います。
大きなトレンド転換の起点になるダブルボトム・ダブルトップの見極め方は「相手の弾切れを待つこと」
そもそもなぜダブルボトムやダブルトップがトレンド転換の起点として機能するのか?あるいは機能しなかったりするのか?
その見極め方を知るには、もっと本質的なダブルボトム・ダブルトップがどのようにして形成されるのかということを知る必要が出てきます。
ダブルボトム・ダブルトップというのは「相手の弾切れを待つ」ということを心がけると有効な使い方が出来ます。
私たちはどうしても自分のトレードプランにのみ頭が行ってしまいがちですが、常に自分と反対の売買を考えている人がいるということを意識しなければなりません。
これは、自分の考えているエントリーと反対のポジションを持つ相手方が「もう弾切れだから戦えない」と逃げる瞬間にエントリーするということです。
例えば、長期的な上昇トレンドの押し目買いにダブルボトムを使うケースで考えてみましょう。
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こんな風に上昇トレンドの後に一時的に下降を作った場合、当然「押し目買い」のシナリオを考えるわけですが、同時に「一時的な下降トレンドに対する戻り売り」を考える人たちもいます。
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つまり、押し目買い勢と戻り売り勢の攻防が始まってレンジになりやすくなり、その攻防の決着がついていない段階でエントリーしてしまうと負けやすくなります。
そして、戻り売り勢にとっても「ここまで引き付けてから売りたい」と考えるような何らかの根拠となるものが存在しているはずです。
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あるいは、移動平均線のような曲線を根拠にしているかもしれませんね。
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そして、思惑通り引き付けたところから戻り売りを仕掛けたとします。
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ここでもしチャートが長い下ヒゲを出したり、思ったように伸びずじわじわと安値を切り上げるような事態になったら戻り売り勢はどう考えるでしょうか?
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「ここまで引き付けて自信のあるエントリーだったのにこれがダメならもう逃げよう!」
と思って一斉に逃げ出すのではないでしょうか。これによって微益撤退・建値撤退・損切りの買い注文が集中して上昇していきます。
これが「相手の弾切れを待つ」ということであり、本質的なダブルトップ・ダブルボトムの考え方となります。
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実践の例を紹介していきましょう。次のドル円15分足チャートをご覧ください。
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左の下降トレンドに対する戻り売りを狙いたい局面ですが、
・機能している1時間SMA21
・フィボナッチ31.8%
という複数の戻り目候補が重なっている場所で高値の切り下げをつつ小さな三尊のような値動きを見せており、これは当然戻り売りを考えるべき局面です。
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ただ、実際にはこの後ある程度下降したものの下ヒゲが出て上昇に転じてしまっています。
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まあこれは経済指標絡みの値動きなのでこんな風に急に反転することはあまりないですが、とりあえず色々根拠の重なる場面での戻り売りだったからこそ、逆に行ってしまえば「もう売りの根拠がない」と売り手が「弾切れ」を起こして反転上昇、結果的にダブルボトムの完成となったわけです。
これが本質的なダブルボトム・ダブルトップによるトレンド転換の見極め方です。
つまり、本格的なトレンド転換の起点となるダブルボトム・ダブルトップを形成するにはある程度の時間が必要ということであり、その理由は「本格的に相手が弾切れになるまでにある程度の時間が必要」だからなのです。
信頼できるダブルボトム・ダブルトップの見つけ方
ダブルボトム・ダブルトップは実際の相場では「教科書通りの形」として出現することはそれほどありません。
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これはドル円15分足チャートですが、このチャートの中にもダブルボトムやダブルトップに見えるような形というのはいくつも確認できると思います。
中にはそれが不発に終わってしまってアテにならないというものもありますが、とりあえず「成功したケース」に絞って見てみることにしましょう。
まず最初に大事なこととして伝えておきたいのは、ダブルボトムやダブルトップといった反転チャートパターンというのは「規模」というものを考えなくてはなりません。
4時間足チャートには4時間足レベルのダブルボトムがあり、1時間足チャートには1時間足レベルのダブルボトムがあり、5分足チャートには5分足チャートレベルのダブルボトムがあります。
まず、一つ例を挙げるなら以下のポイントでのダブルボトムが確認できます。
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このダブルボトム形成から50pipsほど上昇しております。
実は、このチャートの中にはもっと規模の大きなダブルボトムも出現しているのがわかるでしょうか?
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このように先ほどの小さなダブルボトムを内包したさらに規模の大きなダブルボトムも同時に形成されており、このダブルボトム形成を起点に200pips程上昇しております。
恐らく、ダブルボトムやダブルトップの見方がわからないという人はこれをダブルボトムと見ることに違和感を覚えるのではないでしょうか。
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このダブルボトムは15分足チャートで見るとわかりづらいのですが、より大きな時間軸の1時間足チャートで見るとわかりやすくなります。
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この1時間足のダブルボトムの形でもあまりピンと来ないという方はさらに上の4時間足を見てみるとよりわかりやすくなります。
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ここまで来れば「ダブルボトム」という言葉でイメージできる教科書通りの形にかなり近くなったと言えるのではないでしょうか。
下位足でより細かい値動きが確認できるというのはある意味で諸刃の剣でもあり、5分足や15分足ばかり見ていると直近の細かい値動きばかりに気を取られて大きな流れを見失ってしまうということがFX初心者にはありがちです。
このように、下位足の細々した値動きを見てダブルボトムやダブルトップを探すよりもあえてチャートの「解像度」を落とすことでむしろ信頼度の高いダブルボトムやダブルトップを見つけることが出来るようになります。
こういった、ある程度大きな規模のダブルボトムやダブルトップを見つける際には
「左右の山or谷の大きさが同じくらいのものを探すこと」
を意識すると良いでしょう。
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上記のダブルボトムであれば左の谷の形成に約1日半、右の谷の形成に約1日かかっており、規模としては同じくらいと言える範囲内です。
実はダブルボトム・ダブルトップというのはチャートパターンとしての形そのものの綺麗さよりも左右の山or谷の規模を揃えることの方が重要だったりします。
というよりは、規模の大きいものは細かい値動きを追うほど歪な形に見えてくるのでそうならないために1時間足以上のチャートに解像度を落とした方が良いというのが正しい言い方です。
逆に、15分足や5分足でしか確認できないようなダブルボトムやダブルトップを根拠にエントリーしてもあまり信用度が高くないということもわかると思います。
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見ようと思えば色んなところにダブルボトムやダブルトップが確認できますね。
これは小さい規模のダブルボトム・ダブルトップの方が「分かりやすい教科書的な形」が出現しやすいということでもあります。
ただ、実際には仮に丸で囲った部分で全部エントリーしていたとしても勝ったり負けたりの繰り返しでトータルではそこまでプラスにならないはずです。
中にはある程度効果的に伸びているものもありますが、そういったものはここぞというポイントを見つけなければ効果的に使うことはできませんし、それを見極めるよりは規模の大きいものの出現を待つ方が簡単だったりします。
勝ったり負けたりのトレードは精神的に疲れますし、メンタルの安定が大きな比重を占めるトレードにおいてそういった精神面の疲弊はやがて「負けを取り返したい」のような無謀なトレードにつながりがちです。
そういったことを避けるためにも、ある程度大きな時間軸でダブルボトムやダブルトップが形成されるのを待ってここぞという時にエントリーを絞るというやり方の方が精神的な疲労も少なく、また少ない労力で大きな利幅を取るトレードがしやすいです。
実際、1時間レベルのダブルボトムを使った1回のエントリーだけで細々したダブルトップ・ダブルボトムで全部エントリーするよりも余裕でプラスになりますね。
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私個人のトレードスタイルは1日に30~50pips程の値幅を狙っていくデイトレードが基本なのですが、そういった規模のトレードをするにあたってのトレンド転換を狙うのであれば少なくとも1時間足チャートレベルで確認できるようなダブルボトム・ダブルトップを探していくのが良いでしょう。
ダブルボトム・ダブルトップの完成とトレンド転換のタイミングのズレ
1時間足レベルで確認できる規模のダブルボトム・ダブルトップを基準にしていくにあたって
・形が大きいほどその反転チャートパターンで大きく伸びる可能性が高い
・形が大きいほど本格的なトレンド転換が発生するまで時間がかかる
ということを念頭に置く必要があります。
例えば先ほど例に挙げたチャートで言えば15分足レベルで確認できる小さなダブルボトムの方は比較的早く上昇に転じていますがその上昇は本格的なトレンド転換をもたらすほど強いものではありません。
逆に大きな規模のダブルボトムの方はそれとは対照的にネックラインの実体上抜けでダブルボトムが完成した時から日をまたいで約1日かかってから本格的な上昇を始めています。
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正しく
・形が大きいほど大きく伸びる可能性が高い
・形が大きいほど本格的なトレンド転換が発生するまで時間がかかる
ということを如実に表しているチャートですね。
実際、1時間足チャートレベルで確認できるような規模のダブルボトム・ダブルトップというのは
・チャートパターンが完成した時
・本格的なトレンド転換へと変わる時
でタイミングにズレが発生するということが良くあります。
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こんな感じでタイミングにズレが発生することが多いので、ネックラインをブレイクしたからといってすぐにエントリーしてしまうとタイミングが早すぎて「お手付き」となる可能性が高いので注意が必要です。
ただ、これは逆に言うと1時間足レベルでダブルボトムorダブルトップが完成したからといって急いでエントリーする必要はないということでもあり、一呼吸置いてからエントリーでも十分間に合います。
三尊(ヘッドアンドショルダー)について
少し余談になりますが、ダブルボトム・ダブルトップと同じくトレンド転換狙いのチャートパターンとして三尊(ヘッドアンドショルダー)があります。
三尊はダブルボトム・ダブルトップよりもさらに強力なトレンド転換のサインと見ることが出来ます。
三尊が形成される原理から言っても
・V字反転(ダマシ)
・安値の切り上げor高値の切り下げ
という二つの根拠の組み合わせからなるヘッドアンドショルダーの方が根拠として強いというのは当然です。
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さらに言えば、三尊というのはダブルボトムやダブルトップを内包して同時に出現することも多いです。
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こちらはドル円1時間足チャートに出現したダブルボトムですが、もう少し左の部分も含めて三尊の形として見ることも出来ます。
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どちらで解釈したとしてもトレンド転換のサインと見る母数は増えることはあっても減ることはないわけですから、より根拠が強まって信頼できるということになります。
これらの事実から言っても三尊はダブルボトムやダブルトップの純粋な上位互換であると考えて差し支えないでしょう。
三尊は1時間足チャートで確認できる規模のものが出現したら、はっきり言ってその日はそれのみを根拠にトレードすれば良いというレベルで信用できます。
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あるいは15分足チャートなどの下位足で出現しても、それを押し目買いや戻り売りのエントリーサインとして使うことが出来ます。
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上位足でも下位足でも使える万能ツールでダマシもそれほど多くなく、多少形が崩れて斜めになっているものでも普通に使えます。
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つまり三尊というのはそれ単体でも十分信用度が高いので、実はそれほど注意するべき点が少ないということでもあります。
ただしそれほど出現頻度としてはそれほど多いわけではないので、出現したらラッキーくらいに捉えておくのが現実的です。
三尊に比べるとダブルボトムやダブルトップの方が出現頻度としては多いため、日々のトレンド転換狙いのエントリーチャンスをより増やすという意味では三尊の細かいことを突き詰めるよりもダブルボトムやダブルトップの見極め方に注力する方が効率的と考えます。
よって、こちらでは三尊についてはそれほど深く言及しておりません。
ただ三尊はダブルボトム・ダブルトップの上位互換と言って差し支えないものなので、ここで話すダブルボトム・ダブルトップの使い方の話は三尊にも適用することが出来るはずです。
また、「トリブルボトム」や「トリプルトップ」のような形もダブルボトムやダブルトップの上位互換の存在として捉えてもらえば大丈夫です。
上位足・下位足の目線を揃える”二段階認証”の重要性
大きな規模のダブルボトム・ダブルトップは完成とトレンド転換発生でタイミングにズレがあるということをさらに応用させて考えると、これは下位足の値動きを見てより優位性の高いエントリーサインを探す余地があるということでもあります。
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