恐怖とは

自分が小学校の低学年だったある夜
一階で寝るか二階で寝るか心底悩んだ夜があった

一階で寝れば、噴火した火山から溢れ出た溶岩の餌食になり死んでしまうし

二階で寝れば、いきなり始まった戦争の空爆で死んでしまう

今夜は、噴火か戦争のどちらが起こって
命を落とすのだろう

一体どこで寝れば生きて朝を迎えられるのだろう

今考えれば、溶岩が一階に迫って死ぬのであれば、二階にいても死ぬだろうし
空爆で二階だけが焼ける事もないだろう
と分かるのだが、その時の自分は本気で怯えていた。

恐怖の始まりは、知る事だと思う。
それよりずっと幼く火山や戦争を知らない頃の自分であればどこであっても安心して
眠りにつけていたに違いない
でも、本や人からの話で
噴火や戦争で命を落とした人の話を聞いて知ってしまったから
その時の自分は恐怖を覚えた

では、恐怖の終わりはなんだ
それもまた、知ることなのだろう
その時の日本では戦争が起こりえなかった事
家の周囲には活火山がなかった事
それを、知る事でまた安心して眠りにつく事が出来るようになる。

知る事で恐怖を抱き
その原因や対処法を知る事で恐怖が消える


今の自分はどうだろう

溶岩や爆弾のような目に見えて分かる
死の恐怖ではなく、
実態のない、ましてや命の危険など全く感じない何かに怯えて
自ら命を捨ててしまいたくなっている

目に見えない、複雑に絡み合った
この恐怖の正体を暴き、その対象法を知って
この恐怖から解放される日は来るのだろうか

ただいまは、この正体不明の恐怖に怯えながら 待つしかないのだろうか

生きていく為にしている仕事で
張りぼての笑顔を振りまきながら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?