記録的豪雨で〝脱ダム〟窮地/川辺川 中止も12年間代替策なし/八ツ場 単独での治水効果は未検証

【都政新報2020年7月17日号掲載】

 東の八ツ場ダム(群馬県)、西の川辺川ダム(熊本県)と言えば、全国のダム建設反対運動の象徴で、民主党政権下では川辺川ダムの建設が中止されたが、八ツ場ダムは紆余曲折の末、建設された。今月、熊本県南部を襲った記録的豪雨により、球磨川で大規模な河川の氾濫が発生し、川辺川ダム中止の是非に焦点が当たっている。一方、昨年の台風19号で利根川流域では大きな浸水被害がなかったことから、八ツ場ダムの洪水調節機能を再評価する声も出ている。八ツ場ダムは本当に利根川流域を水害から守ったのか。

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 「国、県、流域市町村でダムによらない治水を検討する場を設けてきたが、多額の資金が必要ということもあって12年間できなかったことが非常に悔やまれる」
 3日から4日にかけて熊本県南部の記録的豪雨で球磨川が氾濫。翌5日、蒲島郁夫知事は、報道陣の取材にこう答えた。
 球磨川水系では1966年から国営川辺川ダム計画が進められてきたが、流域市町村が反対。蒲島知事はその意向をくむ形で計画の反対を表明し、民主党政権下に国も中止を決めた。
 蒲島知事は「ダムによらない治水が極限まできているとは思わない」とし、今後もダムに頼らない治水を検討していく考えを改めて語った。
 だが、全国のダム建設問題に取り組む水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表は、「蒲島知事は天草の路木ダム建設は容認しており、『脱ダム』というわけではない。今回の災害で、川辺川ダム建設にかじを切るのでは」と不安視する。

ネットで賞賛「洪水から守った」

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