【連載】東京水道の行方~長期戦略と新会社誕生

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 都水道局が1月に2040年代までの事業運営方針をまとめた「東京水道長期戦略構想2020」素案。25年以降には人口減少に伴う給水事業の収益減と大規模施設の更新などの支出増を見込み、持続可能な事業運営に向けた経営基盤の強化の必要性を示し、将来的な政策連携団体への業務移転を打ち出した。その受け皿になるのが「東京水道サービス(TSS)」と「PUC」の統合による新会社「東京水道株式会社」の設立だ。局と新会社を合わせた「東京水道グループ」が果たすべき役割と課題は何か。4回シリーズで探る。

(1)自主事業/経営基盤強化の屋台骨へ/採算性と事業提案力が鍵《2020年2月28日号掲載》

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 「統合のシナジー効果を発揮して新しい価値の創造や、国内外水道事業体への一層の貢献に取り組んでいきたい」─。2月10日にTSSの社屋で行われた合併契約調印式。4月に発足する新会社「東京水道株式会社」の初代社長候補となる野田数・TSS社長(当時)が意気込んだ。
 都水道局は「東京水道グループ」として経営基盤の強化を図るため、料金徴収などの営業系業務を担ってきたPUCと水道管の漏水調査など技術系業務を担ってきたTSSを統合。国内外で包括的に業務を受託可能な「水道トータルサービス会社」を設立する。

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