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土佐山アカデミーと、言葉vol.05「土佐山遊学」

土佐山アカデミーが大切にしている「言葉」と「価値観」を一つづつ掘り下げ、一冊の本を作っていく新企画です。
東京在住のサポートメンバー髙木健太さんに、第三者視点でレポートしていただいています。

マグロは止まると死んでしまう。呼吸のため、沈まないため。
吉冨さんも同じだ。アイデアを出していないと生きていけないのだ。改めてそう感じた3日間。実は2月の最終週、来期の作戦会議をしに土佐山にお邪魔いたしました。

まだ肌寒さはあるものの日差しは春。道中では梅がほころんでおり、こういう状況下もあって深呼吸のありがたみを全身で感じながら過ごすことができました。

何かを始めたかったら、何かを手放さないといけない。
さすがに日の出から日没までとはいきませんでしたが朝から晩まで膝を突き合わせ、振り返っては現在地を確認。人が来られない間は2人が活用しているおかげもあって、細かいところまで血が通っているような高川商店でこれからを話し出すと、アイデアは湧水のように止まることを知りませんでした。

2人という人員でこれだけの「やりたい」をどうしていくか?

一旦人数のことは考えず優先順位をつけてみようにも、生まれたアイデアは我が子のように可愛いし、思いついたからにはやってみたい。薪ストーブのおかげも相まってその熱は伝わりますが、どれくらいの割合を何に注ぐか?考え始めると訪れる沈黙。パチパチと薪の爆ぜる音だけが響く中、吉冨さんがトイレに立ちました。

「3つ。特にこれはやりたい!ってこと、考えてきてもらえますか?」

吉冨さんとトイレは相性がいい。宿題を投げると、今回も同様に出してきてくれました。

①ナミオハウスの開発
②ゆず収穫
③草刈り

この3つのコンテンツ化、との答えを、スッキリと。

まず、ナミオハウスとは、土佐山のレジェンド和田南海雄さんに「うまく使って山に人を巡る仕組みをつくれ」と託された拠点。今はそれを継ぐ和田卓也さんとあれこれプランを練っている段階です。ゆず収穫、草刈についてはやらなきゃいけないことで、人手が足りないことが課題。だからこそオモシロイものに変換したいということでした。いずれも「土佐山の役に立ちたい」という想いに通づるものであり、「課題を資源と捉える」という土佐山アカデミーの指針に則っています。

ナミオハウスは今までも行政や教育機関の研修などに使われてきた実績があります。フィールドの課題を資源として人を呼びこむこと。それこそが土佐山アカデミーの強みであるスタイル。研修にもできる。ワークショップとも呼べる。大規模なイベントにもなりうるそれらを一体なんと表現したらいいか?

たどり着いた答え、それは「土佐山遊学」でした。

この言葉が出たことと、吉冨さんお手製の瓦そば、下元さんの雑炊が食べられただけでも、行った価値があったと思ってます。
「ねぇ、次何して学ぶ?」と直結しているし、よその土地や国に行って学問すること。という本来の意味をアップデートしている感じもするからです。加えて言えば、他の地域に行くたびに聞かれるという「土佐山アカデミーって何をやってる団体なんですか?」に対するシンプルな答えにもなっているから。

実際、ナミオハウスにも連れて行ってもらいました。吉冨さんは自慢のマイホームのこだわりを紹介するように、この場所でのたくさんの構想を話してくれました。天に伸びた土佐山アカデミーのアイコンとも言える竹ブランコ、山の静寂の中でロープの軋む音だけ聞きながら風を切り眺めた空は高く、心身ともに空気の入れ替えができた気分になりました。

「ハンモック張ったよ」。ごはんができたよ、くらいのノリでの地域の方からのお声がけ。
デッキでコーヒーを飲みながらの資料作成。
特別職員である猫たちにお手伝いいただきつつの打ち合わせ。

全て、遊んでいると言っても過言ではないことから学べることはなんだろう。その変換装置を磨き上げてくれるのがこの土地で、それができて初めて「土佐山遊学ができた」と言えるのではないかと思いました。

ナミオハウスはダッシュ村のような取り組みにしたい。ゆず収穫はバトル形式に?草刈がピクニックみたいにできたら…。

3つに絞っただけでもやることは盛りだくさんの予感。どう考えたって地域の人はもちろん、たくさんの人を巻き込む必要があります。よって、吉冨さんがfacebookで発信している「裏側チャンネル」の名称は「ひとりじゃできんもん」になりました。バタバタと手足を動かすイラストは、肚に大トロ級のアイデアを抱えているはずです。

土佐山の今を感じるにはうってつけのコンテンツです。ぜひチェックして、一緒に企んで、手を差し伸べてほしいと思います。すぐに足を運ぶことはできなくても、遠くないうちに、一緒に手を動かせるように。

ごきげんでおなじみ 髙木健太
土佐山アカデミー東京代表
プランナー/コピーライター/コーチ

日本大学芸術学部卒業後、設計デザイン事務所、飲食業などを経て広告代理店のクリエイティブ・プランナーに。2019年企画屋として独立。身近な人、モノ、コトからごきげんにできるように企画・コミュニケーションの力を使いたいと考えています。「なごやかに、すこやかに」が信条。趣味と生きがいは余興。5歳児の父。

●ごきげんでおなじみ https://gokigen-inc.jp/

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