土佐山アカデミーの定点観測 vol.06 〜10周年、発信!発進!

〜東京在住のサポートメンバー髙木健太さんに、都会から見る土佐山や土佐山アカデミーについて書いてもらっています〜

土佐山アカデミーが、7/1で10周年を迎えた。
なので、おめでとうがわりに、どうか1分、時間をください!「ご挨拶」として、Webサイトのメッセージが更新されたので、ぜひご覧いただきたいのです。
一気に土佐山を感じることができる、3枚の写真と一緒に。

高川の山腹に位置する、通称:ナミオハウスのブランコ。朝焼けをバックに焚き火を囲んでのライブ配信。高川川に足を浸して開催した県庁職員の会議…。改めて、これだ!と発信される「ねぇ、次、何して学ぶ?」の文字を際立たせる写真はどれも、遊んでいるようにしか見えない。

トップページのメッセージ作りのお手伝いさせてもらった際、よく出てきた言葉が「万物が師」ということだった。改めてその言葉を頭に置いて写真を繰り返し眺めていると、その言葉がゆっくりと染み込んでくるように感じる。写っているものすべが学びになっているという、今の土佐山アカデミーを象徴する絵だと思う。

「10周年を機に」。それがここ何ヶ月か、note作成のインタビューも兼ねての定例打ち合わせでの、事務局長・吉冨さんの口癖だった。そうして始まったのが「発信すること」だった。

土佐山アカデミーの裏側チャンネルvol.4! 本日22:00〜 今日のお話は、 ・今日の夕焼け綺麗でしたね ・土佐山アカデミースタッフ ・地域の方からもらった晩御飯 ・solo...

Posted by 吉冨 慎作 on Friday, July 30, 2021

ご存知の方もいらっしゃるだろう、吉冨さんは7月になってからほぼ毎日、Facebookで本日の土佐山!と題して菖蒲洞や小さなゆずの実、草刈りの感想などを投稿している。また、先日は初の単独Facebookライブを実施。ラジオDJさながら、低く落ち着いた声で、でも少し照れながら、今の土佐山を肉声で発信した。

「試しにやってみた」「とりあえず始めてみる」その言葉が印象的だった。

大人になると、イコール経験を積むと、実績があると、知恵がつくと…試したりとりあえず、が減る。やらなくても分かってしまうから、というペンキで、失敗したら恥ずかしい、という勇気のなさを塗り潰してしまう。しかし吉冨さんはやった。やり始めた。何か吹っ切れたかのように。規模が小さい?上等。始めたらもう半分成功、という言葉があるけれど、このスタートで10周年はもう成功と言ってもいいとさえ、私の立場からは思う。

この1ヶ月。オンラインだけでなくオフラインでも「試しにやってみた」があった。それは、吉冨さんの故郷である山口は下関の郷土料理「瓦そば」を振る舞う瓦そばパーティーだ。10周年の大きなテーマである「土佐山への恩返し」の一環として、一枚のチラシから始まった。

瓦そばパーリー案内文

「よくこのチラシで来てくれたもんだ」と吉冨さんは笑っていた。地域の人にも声をかけたい。けれどもご時世から難しい。なのでまずは理事・幹事・正会員の方に発信し、何度かに分けて瓦そばを振る舞った。おきゃく文化のある高知のおんちゃんおばちゃんにとっては当たり前のことだろう。しかし吉冨さんには初めてのことだった。「食は命に関わる。だから僕は人に対して料理はしないんだ」と言っていた(気がする)40過ぎの男性が、夜な夜なホットプレートに向かい、慣れぬ郷土料理を何度も練習していたのかと思うとつい口角が上がるし、依頼していたものの締切が遅れることに腹を立てていた自分が恥ずかしく思えてきた。「本当に良い時間だった」コロナ禍なので密を避け、だからこそ少人数で濃密だったと定例で聞いた。送られてきた写真を見ると、その空気が伝わってきた。

画像2

高川商店の活用も本格化しはじめている。10周年にあたり定義した「オモシロガリスト」の先達たち、資質を持った人、なりたい人たちが集まって、「試しにやってみた」の機運が循環し、満ちてきているのを感じる。

もともと充実していた土佐山のヒト、コトというソフトの価値を、土佐山アカデミーというハードで再定義を試みた10年だったのだと思う。今は、吉冨さん・下元さん二人のチームではあるけれど、土佐山アカデミーらしい関係の作り方を、土佐山という内へ、都市や他地域という外へとしていっているように感じる。それら両輪が揃って、ちょうど新たな発進のタイミングを迎えたのだ、と。

「いつも、僕たちは土佐山に来た人を、地域の誰かのところへ連れていく役割だったけれど、これからは自分たちで両者を迎える場をつくることができるかな」初めて提供する側に回れた気がした、と瓦そばパーティーを経て話す吉冨さん。そろそろ、本格的にワーケーションを迎え入れる、いや迎え入れる、というとお客様扱いっぽくてらしくないので、共に創る人を歓迎する準備、といえば良いだろうか。


最近気になった記事で、『ワーケーション中も仕事で成果を出せる人が「出発前」に決めている5つのこと』というのがあった。
https://japan.cnet.com/article/35173575/

その5つとは、

(1)滞在中「WORK(仕事)」と「VACATION(休暇)」をどんな比率にしたいか
(2)1日のうち何時間くらい「WORK」に当てたいか
(3)「日常のWORK」と「非日常のWORK」をどんな比率でしたいか
(4)「非日常のWORK」はどんな環境があれば、一番捗りそうか
(5)「VACATION」の部分で、いま一番したい体験は何か

であるらしい。

『上の5つの問いを考える際に大切なのは、他でもない「自分がこういうふうに過ごしたいと思った」という点。(中略)「いいワーケーション」をする最大のポイントは、「ワーケーションをする人が、自分のwantに合わせて能動的に選択する」という点です。自分の心と体の状態を無視して、与えられた過ごし方に終始するのではなく、自分が本当に今したいこと(=want)を知り、能動的に探して、自分で選ぶ。』
(以上CNET Japan > 特集 > ビジネスパーソンのためのワーケーション超入門 鈴木円香 より抜粋)


これを読んだ時に、スタッフ・下元さんの、最近の朝習慣を思い出した。自分の解像度を上げるために、毎朝自分を知るためのワーク時間を作って、2ヶ月も続いているという。体の状態と、その理由を気にするようになって、改めてこの場所の良さが分かってきた、と。

画像3

高川商店ではソーラーパネルで作った電気で9-5時で仕事をする試みをしている。wi-fiはポケットwi-fiだし、設備も完備されているとは言いづらいそうだ。でも、だからこそそういうあり方を、よしとする人にぜひ来てほしい、という。「試しにやってみる」状況に身を置くからこそ、自分がしたいことの尻尾をより早く掴むことができるだろうし、理解も鮮やかにできるだろう。それ以上に、wantを知る術はないと思う。「オモシロガル」気持ちさえあれば、土佐山に行く資格はある。

マスクをするようになって、大人数で、とくに離れた人と会いづらくなって1年半近くが過ぎて。以前より、会うことに対する集中力、のようなものが変わった気がする。対面の機会を、その時間を慈しむかのように、味わうように大切に思うようになった。状況が好転しても、この気の持ちようは当分変わらないだろう。

吉冨さんは言う。「世は、アフターコロナに対して反転攻勢をとっていくと思う。でも、土佐山は土佐山で、今のままですごいんだ!と、今なら自信を持って口に出せる」
多くのものが変わったこの10年。そして激変し続けている今。ずっと前から変わらず「学ぶ土壌」がDNAとして受け継がれる土佐山に「オモシロガル」気持ちと対面を味わう気の持ちようを携えて、早く行きたい。ホットプレートもあることだし、もんじゃの練習でもして行こうと思う。

以上

ごきげんでおなじみ 高木健太
土佐山アカデミー東京代表
プランナー/コピーライター/コーチ

日本大学芸術学部卒業後、設計デザイン事務所、飲食業などを経て広告代理店のクリエイティブ・プランナーに。2019年企画屋として独立。身近な人、モノ、コトからごきげんにできるように企画・コミュニケーションの力を使いたいと考えています。「なごやかに、すこやかに」が信条。趣味と生きがいは余興。4歳児の父。

●ごきげんでおなじみ https://gokigen-inc.jp/

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