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土佐山アカデミーの定点観測 改め 土佐山アカデミーと、言葉 vol.02「野良ワーク」

土佐山アカデミーが大切にしている「言葉」と「価値観」を一つづつ掘り下げ、一冊の本を作っていく新企画です。
東京在住のサポートメンバー髙木健太さんに、第三者視点でレポートしていただいています。

「記憶に残る幕の内弁当はない」

秋元康さんが企画について話していたときの言葉です。あれもこれもとなっていくと、結局覚えられるお弁当にならない。

「あの◯◯の」の、「あの」があるか。

秋元さんはそう続けます。あのうなぎ弁当、あの釜飯、あのカレー、あの、秋葉原でいっぱいいるグループ。それらのように「あの」があるか。「あの、オモシロガリストとか言ってたNPO」。そう思い出されたい土佐山アカデミー、事務局長の吉冨さんが法政大学の大学院で授業をした際「オモシロガリスト、ってなんですか?」と興味を引けたとのこと。狙い通りになりました。

この幕の内弁当の法則。特に、名刺の肩書きについても言えると思っています。
吉冨さんの名刺も結構な幕の内っぷりなんですが(笑)、本人もそこを気にしてのこともあるでしょう。こうして一つ一つの言葉を磨き上げて「記憶に残る幕の内弁当」を目指しているのだと思います。

さて、今回アカデミーの辞書に翻訳する言葉の発表です。
それは「ワーケーション」。今、流行りのコトバです。
そして吉冨さんの数ある「おかず」、つまりは肩書きの一つが「ワーケーションプログラムアドバイザー」。
最近その肩書きでの出番も多いらしく、鹿児島は沖永良部島から北海道は礼文島まで、と飛び回っている事務局長。沖永良部島の話では「西郷さんは実は日本で初のワーケーションをした、という考え方もあるんだよ」と興味深いことを教えてくれました。

「どこから拝命して、どんなことしてるんですか」
どう見ても遊んでいるとしか思えない、楽しそうな投稿ばかりをしているものでつい聞いてしまいました。

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すると、越境学習の第一人者である法政大学大学院・石山教授とのご縁でJMAM(日本能率協会マネジメントセンター)から拝命した、とのこと。越境学習とは、「自分の専門領域で、お互いによく知った同僚などと仕事をする“ホーム”から、専門領域も価値観も異なる人たちがいる“アウェイ”に出ることで、刺激を受けやすい状態を「自発的に」つくり出すのが越境学習」
https://hatarakikata.design/herethere/
(JMAMのラーニングワーケーションより)

で、「その土地にしかない学びを生み出す」を目的としたプログラムを日本全国で提供する場の一つとして、土佐山アカデミーが選ばれ、ワーケーションアドバイザーを拝命しているのですね。にも関わらず「もはやワーケーションという言葉もどうかと思ってきた」という投稿をfacebookにする始末。


最近では、場所をホテルに特化した「テルワーク」やらビジネスよりの「ブレジャー(ビジネス+レジャー)」、なんていうのまであるようです。ワークとバケーションの間に、目的、土地、その中での場所…一言では言い切れないバリエーションがあるのでしょう。

アドバイザーとして「その土地にしかない」に出会うたびに、しっくりこない度を増す「ワーケーション」。「アカデミーの辞書では…四国だし、島流しとか?」なんて、定例のオンライン会議でオモシロガッテいましたら、お手洗いから戻った吉冨さんから出ました。


「野良ワーク」


野良。田畑に出てする仕事。野仕事。うんうん、「山感」あるしアカデミーが実践している「日の出から日没まで」の働き方を表せてもいる。野良仕事の先輩方がたくさんいらっしゃる土佐山にはぴったりの言葉ではないか?ちなみに平仮名にして「のら」とは放蕩のこと。ノマドなんかより自由度が高く、地面に近くていい。

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例えば土佐山なら。
コミュニティスペース高川商店で朝からパソコンを開いて、昼ごはん後は田畑を拓くなんていいじゃない。夕方になればPCをOFFにして、薪に火をONする。これは確かにバケーション、という感じじゃない(いい意味で)!もはや、生きる営みそれ自体が「野良ワーク」とも言えるのでは…?そんな妄想をしながら思うことは、名刺に「野良ワークアドバイザー」なんて書いてあったらつい、なんですか?って聞いちゃうな、ということ。印象に残るおかずができたのではと思っています。

「土佐山ならではでありつつも、都市でも使える言葉や概念を作っていきたい」とは、アカデミーのお二人の意気込み。「野良ワーク」という言葉に出会った私も、さっそく上野公園の噴水の横でこれを書いてみました。うん、「ワーケーション」なんかよりずっとハードルが低くていい。土佐山で野良仕事をしながらの「野良ワーク」に想いを馳せながら、都市でも色づく木々に目をやって、PCを閉じたいと思います。
そうだ、日本初のワーケーション先駆者、西郷さんの銅像にも挨拶していこう。

最後まで読んでいいただき、ありがとうございます! いただいたサポートは、中山間地域の課題を「たのしく」「おもしろく」解決するための活動に使わせていただきます! まずは土佐山から、そして高知県から全国、世界へと広げていきます。