10 留学を決めたとき

職場の人との雑談で、共にニュージーランドで過ごした時期があることを知った。私は2009年に、彼女(というのが職場の人)は2010年なので時期もニアピン。留学時代の思い出話や地名や建物など、懐かし話に花が咲いた。

そのとき、ふと思った。「あれ、この留学していた時の話をしているときの自分、会話を楽しんでいる。自分から話したいことが次々に浮かんでくる」。仕事を終えて散歩をしていて、留学当時を思い返しみると、大学二年生の時に「このまま大学三年に上がって就職活動に臨んでも何も語るべきことがない。今のうちになにかやっておこう。」と危機感から何か行動せねばと掻き立てられ選んだのが休学して留学することだった。高校一年生の時に学校の語学研修プログラムでアメリカに3週間滞在した経験があり、久しぶりに海外に行きたいと思ったからである。親に休学して留学すると伝えたときに「意味が分からない」と認めてもらえなかったが、そのまま休学届を提出し、半年間アルバイトに専念し100万円を貯めた。アルバイトの休憩時間を利用して、英語の勉強と留学エージェントへの登録を通じて語学学校の申し込み、ホームステイ先の確保やワーキングホリデービザの申請等を行った。この準備期間中がなんともワクワクして楽しかった。目標に近づいている実感があり、出発まで待ち遠しかった。そしていざ出発の日。朝起きたときには母は仕事で不在だったが、手紙が置かれており、タクシー代と「気を付けてね」というメッセージが添えられていた。嬉しかった。空港で出発便のアナウンスを待っている間に母に電話した。「行ってくるよ。」、「気を付けてね。」短いけれど確かな母のやさしさを感じ、思わず涙があふれた。一人で海外に行くのは初めてだけど、成長して帰ってくると誓った。

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