見出し画像

令和闘魂三銃士の意義とは

G1 CLIMAXを控える新日本プロレスで、何とも言い難い記事が舞い込んできました。

海野翔太選手、成田蓮選手、辻陽太選手の3人を、「令和闘魂三銃士」として命名すると言うもの。
命名のハッキリした意図はわかりませんが、少なくとも言えることは、この3選手を今後、会社が推すということ。
今回はこの件について考えてみたいと思います。

闘魂三銃士

元々、闘魂三銃士の結成とは、80年代後半から90年代初頭にかけて、UWFやSWSへと選手が流出し、選手層が薄くなった新日本において、武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也の3選手を、次代を担う期待の若手として、売り出しにかかったのがきっかけです。
その後、彼らは見事に会社の期待に応え、プロレスファンなら誰もが知る、トップレスラーへと成長していきました。
ただ、闘魂三銃士はチームというよりは、3人をまとめて表すのに用いる、いわば総称といった感じでした。

一方、当時は全日本プロレスにおいても、SWSへと選手が大量に流出したのをきっかけに、闘魂三銃士と同世代の、三沢光晴、川田利明、田上明、小橋建太の4選手が「全日四天王」として頭角を表していました。
そんな時期と重なっていたこともあって、団体内の藤波辰爾、長州力といった上の世代だけでなく、四天王とも比較され続けることで、プロレス界は盛り上がっていきました。

新闘魂三銃士

闘魂三銃士の成功にあやかって、棚橋弘至、柴田勝頼、中邑真輔の3選手に命名されたのが「新闘魂三銃士」です。
当時は新日本が暗黒期と呼ばれた冬の時代。
橋本真也、武藤敬司、長州力ら、トップレスラーの大量流出で、新日本の選手層が極端に薄くなっており、プロレスリング・ノア(NOAH)が、業界の盟主となっていた時期です。
3選手ともチームのように一括りにされることに難色を示していましたが、それでも会社の期待どおり、後に3人とも、立派なトップレスラーに成長しています。
また、彼らにも新日本を盛り上げるべく、全日本の諏訪魔選手やNOAHの丸藤正道選手といった、他団体の同世代の選手との絡みもありました。

令和闘魂三銃士の意義

さて、令和闘魂三銃士です。
過去の三銃士の例と比較してみて感じるのは、今の新日本は溢れんばかりの選手層で、過去の闘魂三銃士の命名に込められたような、会社の命運を若手選手に託した意味合いとは別物だということです。
ここが違和感を感じる部分ではあるのですが、ただ一方で、もうひとつ別の意義は感じます。

令和闘魂三銃士の命名はG1の前です。
G1は個人闘争であり、選手を一括りにする必要はありません。また、辻選手と同期の上村優也選手がまだ海外から帰国しておらず、このタイミングでの命名は、時期尚早な感じも受けてしまいます。
なのに何故この時期なのか?
考えられる理由は1つしか思い浮かびません。
NOAHの清宮海斗選手がG1に参戦するからです。

清宮選手は、オカダ・カズチカ選手との一連の戦いで差は見せつけられたものの、新日本内での評価は高いと感じています。
海野選手、成田選手、辻選手とは同世代ですが、既にGHCヘビー級王座の戴冠歴がありますし、そもそもいきなりオカダ選手と対戦するなんて、評価が低いはずがありません。
そんな清宮選手を相手に、海野選手、成田選手、辻選手がG1で対戦する。
新日本にとっては公式戦の1試合以上の意義を感じているのかもしれません。
清宮選手自身が3選手に興味を示していませんが、対戦を経て生まれてくるものも有ると思います。

また、6.18佐倉大会では、全日本の青柳優馬選手も参戦しました。
青柳選手もまた、3選手と同世代です。
そしてチャンピオンカーニバルの優勝歴もあり、実績も伴った全日本の未来を担う選手です。
清宮選手との対戦をきっかけに、青柳選手との対戦にも発展していけば…
そんな期待感にも繋がればと思います。

選手にとって上を目指すこととは、決して団体内で上がっていくだけではありません。
三銃士とは少し話がそれますが、かつて永田裕志選手も、当時NOAHの秋山準選手と交わることで、そのステータスを上げていきました。

令和闘魂三銃士は所属ユニットが異なり、それぞれ対戦する間柄ですが、世代的に目指すものに共通点はあるはずです。
新日本でのトップはもちろんのこと、他団体の同世代の選手とのライバル関係を経て切磋琢磨し、業界のトップとなって欲しい。
令和闘魂三銃士の命名に、そんな他団体を意識したものがあるとしたら、それはそれで意義のあることなんじゃないかと。

この命名についてはTLでも、何故この時期に?とか、何故この3人が?という意見が散見されました。
自分も当初はそう思ったのですが、「闘魂三銃士」という言葉の意味について、再度、考え直してみました。
今ではこの命名をどう活かすかは、今後の会社や選手次第なのではと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?