星をみるひとを16年間みてるひとより

久方ぶりにTwitter以外で自分の言葉を発信します。

はじめまして、ノヒイ ジョウタと申します。
縁あって、現在はインハウスでモデラー業の傍ら、隔月誌まんだらけ大オクークション目録ZENBUにて【RESTART】というゲームの連載ページをひと枠貰っています。
初投稿となる今回は、先日Twitterの力を借りてまで調査を続けている研究と、その発表の経緯に関してお話します。

「【星をみるひと】の研究」という字面の謎さに反応された方が多いことと思います。実際引用RTで「なんだそれ」とつぶやいていた方もいました。
何でこんなことをしているかを、自分の原点に立ち返りつつ解説します。

【星をみるひと】はホット・ビィというメーカーが1987年10月27日に発売したと言われるSF RPGです。ここ要審議。
ファミコンでは【ドラゴンクエスト】がRPGというジャンルを大きく広め、それ以前からも【ドラゴンスレイヤー】や【ハイドライド】、【夢幻の心臓】などの国産RPGの世界観から、RPG=ファンタジー世界というイメージが定着していた頃に、SF世界を前面に押し出した異色のゲームです。
異色なのは超能力をバトルや謎解きに盛り込んだシステムや、マルチエンディングの採用など多数の意欲的な試みが盛り込まれています。

……と、僕が友人から説明を受けたのが、今からだいたい16年前。当時高校生でした。
当時からクラシックなゲームに興味を強く抱いており、中でもいわゆるクソゲーと呼ばれるゲームに愛着を持っていました。ナムコの【スターウォーズ】は初プレイから8年以上かけてクリアしたり、仲間内で【マインドシーカー】合宿を行い一晩中超能力を養成したりするような、そんな高校生でした。

スターウォーズ

↑当時描いた本邦唯一と思われるナムコ版【スターウォーズ】ファンアート

そんな折に【星をみるひと】なるタイトルを教えられて、その時はふーんそういうのもあるんだねと思いつつ聞き流して、実際にそのタイトルを自力で調べたのはそれより少し後でした。

ある晩ふと先日友人から教わったゲームの事を思い出し、ネットで検索。でるわでるわのクソゲー評論。なんだこれ!? 聞いてたのと全然違う! いや聞いた情報とは合ってるのか!?
その情報の濁流は、高校生には刺激的すぎました。最初の村が見えない、最初のマップで最強技を駆使する敵が出る、入ったところから出ると全然知らない所に飛ばされる、歩く速度はナメクジ、もっこし……日頃よりクソゲーというものを愛好していた身としては、これほど面白い題材はないぞと思い次々と調べ始めます。そしてだんだんと見えてくる全貌。
そこでほかのゲームと決定的に違っていたのは、あふれるほどのマイナス要素を抱えながらも、それらをけなすどころか肯定的に受け止めるファンが一定数いたことです。いや、発売当時に買った人の心境はどうだったのかはわかりませんが、少なくとも後追いのプレイヤーの中には【星をみるひと】の抱えたクソさを補って余りある魅力を見出している方が少なからずいることを知りました。

そして僕にとって決定的な存在に出会います。
【星をみるひと】を有志でリメイクしたwindows用フリーゲーム【STAR GAZER】です↓

早い話が「クソな要素のみを排除した星をみるひと」が遊べるゲームで、ゲームシステムにスクウェアの【SA・GA2秘宝伝説】をインスパイアして採用しているようなアレンジ部分もありますが、世界観やテキスト類は概ね忠実に再現されています。
ゲームシステムもビジュアルも、現代向けにアレンジされた【STAR GAZER】にドはまりした僕は、本作を通じて【星をみるひと】への理解を深め、ほどなくして本家にも手を出すに至りました。

しかし掘り下げていくうちに、ゲーム内容とは直接関係ない方向で謎が増えていきました。
(ある意味)人気作品の宿命なのでしょうか、「シナリオは鴻上尚史が担当した」「いやシナリオは三谷幸喜だった」「ゲームの作りがおかしいのはプログラマーが失踪したから」「会社は計画倒産を図った」etc……しまいには「私は関係者と繋がりがあるんだ」と吹聴する輩まで現れる始末。
嘘と誠の境界線すら曖昧な情報がネットに飛び交い続けて、【星をみるひと】の虚像が膨れ上がっていました。
僕もそうしたデマなのか何だか分からない出典不明の情報に踊らされたこともあり、正直なところ無責任な情報群に苛立ちすら覚えていました。

「本当の事が知りたい」

とても単純な動機ですが、自分が好きなコンテンツに根も葉もない噂が付きまとっていたのが、どうしても我慢なりませんでした。
しかしそんなことを胸に秘めたところで真実に触れられるわけはなく、長い年月……14年ほど悶々と過ごしていたのでした。

最初なので簡潔に書くつもりでしたが、割合長くなってしまいましたので初回記事はここで区切りとさせて頂きます。
次回、本研究に本腰を入れるきっかけとなった出来事をお話したいと思います。

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