星をしるひと

2018年10月27日、【星をみるひと】の誕生日(とこの頃は誰も信じて疑わなかった)に我々の前に姿を現した、同作の関係者。当然僕を含めたファンは震撼しました。
僕たちにとっては伝説であり幻の存在が姿を現したのですから無理はありません。それもとてもフレンドリー!
突然の出来事に、喜びよりも戸惑いが強かったのを覚えています。気になっているあれやこれやを聞きたいけれど、失礼に当たらないか、自分なんかが伺っていいのか……あれこれと考えている間にも、誰も知りえなかった情報が出てきます。

このつぶやきをされたときに、ようやく決意しました。

僕の愛読書【ジョジョの奇妙な冒険】には、「『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!」という格言がありまして、人生の節目には思い立った瞬間に行動できなければならない時が来るものだと思っています。
そしてこのときがその瞬間だったと思いました。

この時僕が持っていた知識は、【サイキックシティ】【カレイドスコープ】【星をみるひと】のプレイ及びクリアー経験、【ザ・ブラックバス】や【バズー!魔法世界】等の主要作品のタイトル、社屋が二つあること、そしてホット・ビィが元々広告代理店だった、という事です。
事前に用意した質問内容の大半は【星をみるひと】絡みのものでしたが、いざお話を伺うと、自分が思っていたよりもはるかにホット・ビィという会社が行っていた業務の範囲が広いことを知り、そちら方面の情報の大半を予習していなかったことを恥じました(予備知識がないと調べようがないところも多数あったんですが……)。
ホット・ビィの前身にあたる広告代理店はファースト・ファーマーズというパソコン関係の広告を一手に引き受けていたことを知ったのもこの時が初めてでした。

当時の話を聞いていく中で、この会社が単なるいちメーカーにとどまらず、当時のコンピュータゲーム業界全体を見渡せる一つの指標として観測できるポテンシャルを秘めている事を学びました。
この時お話を伺ったことを契機に、僕の研究対象は【星をみるひと】からホット・ビィ全体へとシフトしていきます。

そこからは自分のライフワークの一つとしてホット・ビィという存在が定着するようになり、中古ショップに同社のゲーム(特にファミコン以前)がないか、あの雑誌には情報が載っているのではないか、ネットで探すと〇〇と出てくるがもしや××ではないか……という行動と思考のルーチンが確立しました。
各方面からの情報を集め、一つずつ裏を取っていくことを繰り返しているうちに、様々な縁に恵まれ、最終的にまんだらけの目録ZENBUで連載を持つ運びとなりました。ここに至るまではいろんな出来事が重なった結果で、自分だけの問題でないためこの場では説明しきれないのですが、ひとえに運が良かったの一言に尽きます。

こうして本研究は発表の場を得られたとともに、その過程で非常に有力な筋からの協力を賜る運びとなり、とうとう社内用に保管されていた各タイトルの発売表を拝むことが出来ました。
ファミコン以降は様々な媒体で日付まで記録されていましたが、パソコン向けのタイトルはせいぜい発売月が何となく確認できる程度でしか辿れないものばかりでした。おまけに当時はパソコンメーカーごとにOSが違うため、どの機種に移植されたかをたどるのも至難の業です。
そんな中で確実性のある内部資料の情報価値は計り知れないものでした。

これでようやく泥臭く総当たりに近い調査や研究が終わりを告げるんだ……と少しさびしさを感じつつも感慨深さに浸りながら、表に目を通している時に気付いてしまいました。

発売日

発売日、ちがくね?

本当の研究はここからでした。

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