愛を問われた1枚

ORIGINAL LOVE/RAINBOW RACE/1995

神懸かった音楽センス、甘くイカレたハイトーンのvo.、日本人離れした8頭身のルックス、シャイな素顔…'90年代は田島貴男の全てを愛していた。帰依していた。

クールでジャジーなナンバーに得意のパンクを散りばめた2枚組アルバム・デビューを飾ったオリラヴ。2ndアルバムまでその路線は踏襲され、タイアップ等でスマッシュヒットを連発。一躍“お洒落な音楽(渋谷系)”の代名詞となるも、その括りに激しく反発した田島氏は、3rdアルバムで路線を完膚なきまでに変更する。徹底したヴォーカル・レッスンで発声方法を変えたのもこの時期だ。

3rdアルバムはR&B、ソウル系のナンバーがメイン。それまでの研ぎ澄まされたリリックも鳴りを潜めて、分かりやすく優しい世界へ変貌した。この時期に田島氏が好んで紹介していたソウルシンガーや楽曲が今の自分を構成していると言っても過言ではない。

4thでは大幅なメンバーチェンジ(方向性の違いによる脱退💧 音楽的には3rdの精度をより上げた感じ(最早マニアとしか言いようの無い程にw

そして表題の5th…
4thから何となく大陸を南下している気配は感じていたが、このアルバムで一気に中南米入りw
簡単に纏めると、砂漠を走り続けてヒリヒリ喉が乾く…潤いが欲しいと思った時に差し出されるのがキリスト教観バリバリのラヴソング❣️ そして締めはレゲエの神様にインスパイアされた超大作。「嗚呼、私達は篩に掛けられている…」と重く受け止めましたよ、流石にw

田島氏の中ではどんな変化も進化の過程であり、振り返らず突き進む(これはどのアーにも言えることですが…)。そして一周回って原点に戻る。聴き手はそれを受け止めて待てるのかどうかが問われる訳ですが、自分は一応受け止めるけど待たない。更に好きな音を求めて旅に出るw 篩に掛けられたお陰で、そんな自由を手に入れたのかもしれません。

好きだから卒業はしない、でも帰依もない…これが5th(1995年)以降の私の愛の形です。