もうひとりの天才

スピナーズ(フィリップ在籍)最後のアルバムは、フィリップが脱退を決め、トム・ベルもプロデュースを離れて明らかにテイストが変わっているだけでなく、1曲を除いてボビーの声を聴くことが出来ない。激おこなの? ねぇ、ボビー???

そんなボビーがフルでソロを務める1曲に彼の想いが炸裂している…ような気がする。これまでのスピナーズには無いハードなブルースを音域自在にシャウト&シャウトで歌い上げるボビーよ、出だしで「フィリップ!?」と我が耳を疑ったぞよ。
これまでフィリップがボビーに擬態しているのは何度も聴いたけど、逆は初めて…。しかもツインヴォーカルじゃないと来てる。
そして気付いた。これは「お前が抜けても俺が余裕で代わりになれるんじゃ、ヴォケ!!」というボビーからのメッセージだと。
いやいや…ボビーさん、代わりになるどころかこのアルバムで一番のナンバーになってますよ。ワタクシ、鳥肌が立ちました。

一方のフィリップはボビーが殆どボイコット状態であることを知ってか知らずか、ヘンリーとツインを取りながら変わらぬフィリップ節で平常運転。ボビーさん、激おこですよ(耳打ち

2人の間に何があったのか今となっては知る由も無いが、負の感情すらも最高の形で作品に昇華させる男・ボビー・スミスをスピナーズのもうひとりの天才と呼ばざるを得ない。いや…呼ばせていただきます(最敬礼

「愛憎はいつも背中合わせである」by 吐露