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ヨルガオと花火

お久しぶりです。
Toroの歌詞と曲解説Note
3作目はヨルガオと花火です。

ヨルガオと花火
Music&Lyric by Toro


ひまわりの花が君を向く
日焼け止めが乾き出して
あなたもと差し出す手に
見つからない楽園を探し出し

ほら 幸せの鳥も飛ぶ
青い羽が空に散る
ほら 絆創膏 首を隠す
見慣れたはずの君だったのに

教えてよ その笑顔の裏
君のこと変えるのほどの
教えてよ 僕らは
鈴虫が鳴き出す前に
ああ 笑い飛ばせるような
ああ 涙拭かないでくれ

瞼 閉じる 黒塗りの世界
自分でわかっているはずなのに
あてもなく 歩き回ろう
夏の中 花火の下の迷子

ほら エンディング花火上がる
繋げない汗ばむ右手
一駅くらい歩いて帰ろう
風が吹いて 僕らは乾いてく

笑ってよ 報われない恋
これじゃあ線香花火みたいで
風よ吹け 僕らが
激しく燃え上がるように
ああ 終わらせて淡い恋
ああ 煙 引かないでくれ

砂混じりの 風をまつ
砂漠に咲くサボテンが散る
カランコロンと下駄がなる
ヨルガオ探してる この夜に
ああ 

教えてよ 花火が上がる
僕の声はかき消され
ヨルガオがふわり揺れる
髪に挿した簪

教えてよその笑顔の裏
君のことを変えるほどの
あの夏は もうこない
水玉が淡い夜は

ああ あの夜に触れないで
ああ 思い出す事は許して

 この曲はちょっとラテンっぽい雰囲気としっとりという真逆の気持ちで作りました。
元々はVenus(ビーナス)というタイトルでメロディだけだった曲と、全く別の曲を作ろうとして練ったコード進行がピタッとハマったので生まれました。
 楽園であったり青い鳥といった、まじない的な単語を散りばめて、妖しい雰囲気を出そうとしていたのですが、太陽の花 向日葵を歌詞に入れ込んだことで、砂漠の陽射しと日焼け止めがハマりました。
 そのため、おまじないの中にリアルな、特に学生(?)高校生のじれったいカップルの様な描写が欲しく「絆創膏」や「日焼け止めが乾く」「見慣れたはずの君」といった日常を練り込みました。

 サビは、何を伝えたわけでも無いのに少し寂しそうな笑顔が痛かった。
 この辺りからずっと、夏祭りの浴衣の高3の学生カップルイメージです。ただそれだけを言いたかった。
 鈴虫が鳴く=夏が終わるっていうのがありがちですが、僕の中では精一杯です。
 一緒にこうして歩ける時はもう来ないと良い思い出になればと思っていたのに涙が滲んだ夏祭りの終わりかけですね。

 基本的にこの曲は男の子の一人称で進行します

 気まずい雰囲気のまま、彼女をベンチに座らせて飲み物を買いに行った男の子。
 どうしてかなあ…とああでもないこうでも無い。。。なんてウジウジしながら彼女の元へ戻ります。

 そして微妙な雰囲気のまま花火が上がりお祭りは終わり、彼女が言うわけです。
 男の子はチキンですよね。
 
 いっそ終わらせてくれれば、こんな気持ちにならずにすんだのに。祭りの花火の煙が引いたらゲームセットです。終わりたくても終わりたく無い彼。
 
 サボテンの花も枯れる様な気持ちの男の子。
 浴衣の2人、下駄を鳴らしながらゆっくり、彼女は街路樹のヨルガオを見ながら歩く。

 どうして?意気地なしの男の子はそれすら聞けません。後に続く言葉も出て来ません。

 ただ、どうして?だけ言いました。彼の迷いを掻き消して。少しの勇気を台無しにするかのようにフィナーレの花火が上がりました。

 彼女はヨルガオの花をつつきます。そして、彼は今日彼女の顔を初めてじっと見たことに、簪で髪を纏めていたことに気づいたのです。
 どうして、最初に気づけなかったんだろう。彼は、彼女に事ある事に彼女に掘り返され、遊ばれる。
 そんな、とある夏のお話です。

 両片思いっていう砂糖吐きそうでも刹那の輝きを描きたかったっていうのがこの曲に込めた思いでした。

 また、夏が来れば。
 花火は空に。
 夜はざわめきを残して。

イラストと動画は藤七友さんに担当していただきました。
https://twitter.com/FujiNayu22
動画はHanabi.mp3と同じ音源です。
少し前にリメイク音源を製作したので、一緒に掲載致します。

読んでいただきありがとうございました。
次回をお楽しみに。

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