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一筆入魂【0571〜0580】

0571/1000「人間は賞賛をかち得ているときが一番危険なときである。」

ある日の自転車日本1周旅日記より

自転車日本一周旅は宮古島から沖縄本島へ。本島の那覇港からフェリーを乗り継ぎ、鹿児島まで24時間の船旅となった。
船内は旅行者らしき人たちであふれ返っていた。
観光客、学生旅行団体、沖縄での長期仕事を終え本州に向かう人。
そしてまれに自転車旅行者、また大きなバックパックを背負っている旅人。
おそらくヒッチハイクか徒歩旅行者であろう。
どんな人たちがいるか人間観察をする。
1年近く自転車放浪のワイルドな自力旅を続けていると旅の初心者を捕まえ旅のノウハウを教えてやりたくなる。
時間潰しに誰か話し相手のターゲットはいないか品定めをしていた。
するといたいた。
格好の標的が、一人船窓横の椅子に腰かけていた。
旅の初心者と判断するのは、持ち物、身につけている衣服の色あせ具合と色の黒さと体つきである。
自転車旅、徒歩旅、ヒッチハイクにしてもワイルドな旅は太陽が照りつける野外で行われ、自己の肉体を駆使して生活が展開されていく。

目の前に色白学生ふうの貧弱な男が真新しい大きなバックパックを持って座っていた。
暇つぶしに声をかけようとした矢先に向こうから話しかけてきた。

「あのう、色が黒くて、太い足ですね。旅人ですか?」

「ああ、そうだけど、自転車日本1周の最中よ」

Tシャツと短パン姿のぼくは自力旅の先輩として答える。

「うわっ、すごい。僕も自転車なんですよ。日本1周ではなく、縦断です。この先、鹿児島から北海道を目指して走るんです」

学生の春休みを利用して一念発起して旅に至ったという色白君は、興奮気味に語る。

「自転車旅に至った君の思いは実にアツいね。学生はそうでなくては本当はいけない。」

ぼくは旅の先輩として色白君の行動をたたえながら、少しずつ旅の厳しさや体験を自慢げに話していった。

「北海道ってどんなところなんですかね?」

色白君はまだ見ぬ最終目的地が気になるらしい。

「そうだね。北の大地って感じだね。見渡す限り地平線が広がっている場所もある。しかし君、そればかりじゃないよ。海岸線は海風が半端じゃないし、険しく高い山もある。自転車をナメちゃいけないよ。自転車の山越えは醍醐味の一つだね。世界遺産の知床峠なんて、何時間もかけて登って、下りはあっという間だからね」

「マジスゴイッすね。ほとんど日本は周られたんですか?」

「まあね。」
(おお、もっと聞きたまえ。もっとおれを褒めたまえ)

「鹿児島についたらさっそく行きたい場所があるんですよ」

色白君は、情報を是非くださいと言わんばかりの勢いで迫ってくる。

「ほほぉ、それはどこかね。私に答えることができる範囲ならなんでも答えるよ」
(初心者の君には分らないことだらけでしょう。何でも聞きたまえ)

「鹿児島についたらまず、いぶすきに行きたいんですよ」

「君、い?ぶ?す?き?かね?」
(はてそんなところはあっただろうか)

色白君はそこの情報をくださいと懇願している。

「是非いぶすきで温泉に入りたいんですよ」

「ああ、あそこの温泉ね。なかなかいいんじゃないか」
(さっぱりわからないけど、旅の先輩としてここはなんとかしなければならない)

「ぜひ砂に埋もれて温ったまりたいのです。ぜひともどこがいいか教えて下さい」

ぼくは色白君の真剣な質問に対して、???マークが頭を駆け巡った。しかし、なんとか旅の達人としては    この逆境を切り抜けねばならない。

「温泉と砂は関係はないんだよ。

温泉とは地中から湯が湧き出す現象や湯となっている状態だよ。湯に浸かって温まるものだよ」

ぼくは苦し紛れに温泉の基本を話した。

「えっ、たしか指宿温泉は砂蒸し温泉といって砂に埋まって温ったまる温泉ですよね」

色白君は指宿温泉など旅の定番ですよね、あなたそんなこと知らないのといきなり立場は逆転されてしまった気になる。

「そうそう、そうだった。砂の温泉だ。あそこは珍しい特異な温泉だったね」
(旅の達人も先輩もあったもんじゃない)

指宿温泉など知らなかった。
指宿と書いていぶすきと呼ぶのも初めて知った。
自分の無知さを色白君にばれるのが、旅の先輩として許せなかった。だからごまかした。
その後、二人の会話はぎこちなく、かみ合わず、まあ、頑張ってと色白君に声をかけてその場から逃げるように立ち去った。
何事でもそうだけど、慣れというのは怖い。また絶好調の時ほど人は謙虚さを失い、傲慢になる。
ナイチンゲールはこんな言葉を残している。
「人間は賞賛をかち得ているときが一番危険なときである」
順調な時ほど謙虚さと感謝の気持ちを忘れないでいきたい。逆境な時ほど忍耐と勇気を持ち続けたい。
自力旅から学んだ教訓だった。

0572/1000 「老齢は登山と同じである。」

登山の目標は山頂と決まっています。
しかし、人生の面白さはその山頂にはなく、かえって逆境の山の中腹にあります。   
老齢は登山と同じです。登れば登ほど息切れするが視野は益々広くなります。

週末は出来るだけひと気を避けて家族で登山。
兵庫県丹波篠山市と丹波市の境に位置する鬼が架けた橋といわれる「鬼の架け橋」。
次に丹波篠山市が一望できる八上城跡へ。
高度を上げる度に景色は広がっていました。
帰りに篠山城跡の夜桜。

0573/1000「オレたちの遺伝子をなめるな。」

戦争、飢餓、疫病、震災など、厳しい局面を、私たちの先輩たちは乗り越えてきました。

いよいよ「非常事態宣言」が発令されるそうですが、脈々と受け継がれてきた私たちの遺伝子に備わっている日本人力を発揮して国難を退けてやりましょう。

本当のリーダーーは人の上に立つ勝者ではなく、人の役に立つ勇者です

コロナウイルスの感染リスクの高い場所は、病院とスーパー。

0574/1000「鏡は先に笑わない。」

人間関係は鏡のようなものです。
悲しいから泣くのじゃなくて、泣くから悲しくなるという説もあります。
ニコニコすれば、自然に心の中も楽しくなるものです。
by斉藤茂太

0575/1000「回り道をしないと見えない景色がある。」

新しいことを始める時はまず、リセット。
「非常事態宣言」期間は、会社や肩書きに頼らない、これからの乱世を生き抜く自分という人間の土台を、つまずき、寄り道、回り道をして新しい自分だけの景色を探す時間です。

0576/1000「どんな人にも3つの密が宿っている。」

換気の悪い「密」閉空間。
多数が集まる「密」集場所。
間近で会話する「密」接場面。
日頃の生活の中で3つの「密」が重ならないように工夫しましょう。
ご承知のコロナ感染拡大防止対策の「3密」です。

しかし、それ以上に大切な「三密」があります。
心が不安定になりがちな自粛期間にこそ、気をつけたい「三密」です。
それは、真言宗の弘法大師が伝えてきた密教の教えの中にある「三密加持」です。
自転車日本一周旅で回った四国88カ所霊場。
お遍路で知った安定した生活を送るための3つの秘密です。

1)身密=行動
2)口密=言葉
3)意密=意識

この三密の統一化を図ると人生が安定します。
3つがバラバラにならずに出来るだけ一つにしていくのです。

口では「大丈夫」と語っても、パニック症状に駆られて衝動買いをしてしまう。
密閉・密集・密接の正しい行動を守っているのに、恐怖に満ちた意識やイメージばかりが先行する。
明るい未来を思い描いているのに、ついついネガティブなことばかり
口にしてしまう。

多くの人はこの3つがバラバラになってしまいがちです。

そうならないために役立つのが「一筆入魂」のススメです。
前向きになる名言を、自分の手で一筆入魂するという「行動」。
前向き名言を復唱するという「言葉」。
その前向き名言を少し意識して過ごすという「イメージ」。
この3つをするだけで、1日が安定して幸せに過ごせます。
こんな時だからこそ、行動と言葉と意識を一つにしましょう。

0577/1000「人の取り柄を育てよう。自分の取り柄を捧げよう。」

どんなものにも良さがあります。
どんな人にも良さがあります。
良さは人それぞれ。
皆違う良さがたくさん隠れています。
ものの取り柄を引き出そう。
人の取り柄を育てよう。
自分の取り柄を育てよう。

0578/1000「人と人との距離感を縮めてくれるのが笑いである。」

・・・ある日の自転車日本一周旅より・・・

「猛毒ハブ接近中」

沖縄県八重山諸島の一つである小浜島に転がり込んで数ヶ月。
十数人の青年たちと「小浜島ファーム」でサトウキビ畑でアルバイトに精を出した。
畑作業の合間には、さまざまなイベントがあり、キビガリ隊は積極的に参加をした。
隣島の黒島では「黒島うし祭り」が開催された。人の数より牛の方が多い島として有名な黒島の一大イベントだ。
祭りは牛との綱引き、牧草ロール投げコンテスト、ロール転がしリレー。すべて牛にちなんだものばかりだった。驚きはイベント終盤のラッキープレゼント。受付したカードを主催者が抽選する。
見事ビンゴした人にはなんと、牛一頭プレゼントなのだった。
小浜島の小中学生との親睦と交流を図る一環として企画された小浜島一周駅伝大会。ファームからも出場した。周囲19キロほどの小浜島を1区から14区までタスキをつなぐ。軽トラックに乗り込んで野次とも応援とも罵声とも言えない励ましを走者に浴びせる。タスキをつなぐ度に仲間の絆は強くなった楽しい駅伝となった。
ソフトボール大会。島のリゾートホテルや、中学生、キビガリ隊、島の青年会などが、チームを組んで戦った。スポーツを通じてさまざまな連中と仲良くなった。
サトウキビ刈りの休日は、これらのイベントに参加をしたので、休みはほとんどなかった。

キビ刈り作業は、順調に進んで、島のサトウキビ畑は、どんどん姿を消していった。キビ刈り隊は、鼻息荒くドンドンドンドン片っ端から島中の畑を刈り上げようと気持は充実していた。
そんな矢先あるキビ刈り隊員がこっそりつぶやいた。

「畑がなくなっていくということは、少なくなっていく畑にハブは逃げ込むんだよね」

別の隊員は、

「ハブは日陰を好むから、畑に逃げ込むのは必然だろうな」

ハブでもヒグマでも何でも相手するよというならず者たちが、こぶしをポキポキ鳴らしながら臆病者を鼻であしらう。

「おい、君たち冗談を言うんじゃないよ。もし咬まれでもしたら大変なことになるじゃないか」

臆病グループ代表の僕は、思わず標準語で反論をした。
しかし、ならず者が言うことは当たり前のことなのだ。
畑を刈れば刈るほど、猛毒ハブ出現率が高くなる。少なくなった畑に猛毒ハブは逃げ込み、こちらをじっと観察し確実に様子をうかがっているのだ。彼らの聖域に進入しようものなら、なりふり構わずガブっとくるに違いない。
サトウキビの茎とハブの模様は瓜二つで、キビの太さといい、その色合いといい、キビは複雑に絡み合っているから、こちらのキビを触るとあちらのキビが動いたりするその様はハブそっくりなのだった。
 
翌日、事件は起きた。
僕は、畑の最前線でガシガシとキビを刈っていた。
刈り続けるという作業を長時間継続すると、ある種のトランス状態に入る。
無意識に体が動き、ガシガシと片っ端からあるものすべてを破壊してやろうという大きな気持ちになり、気分がよくなってくる状態になるのだ。「ランナーズハイ」という現象と同じだ。マラソンやジョギングなどをしていて最初はしんどく苦しいが、走っているうちにだんだんと気分がよくなるみたいなものだ。
人間の脳は痛みやストレスを感じると、脳下垂体から一種の麻薬成分である「エンドルフィン」という物質を作る。この物質によって、人間の感じる痛みやストレスをやわらげてくれる作用が働くのだ。
まさにそのような状態でサトウキビ畑の最前線で斧を振り回してしたのだ。
サトウキビの茎を左手で持って力いっぱい茎の根元を狙って斧を振りかざす。この繰り返しを続けていた時だ。
左手でキビの茎を力強く握った次の瞬間、ボクはギョッとした。

「キェッーーッ」

声にならない声を出す。
コンニャクのような生温かいヌルッとしたキビを握ったのだ。
しかもそのキビは、ドクドクと何かが波を打っている。そのような生温かい感触を覚えたのだ。キビではない何かをつかんだ。まさに最も恐れていた野生の猛毒ハブをこの手で握ってしまったのだ。
極悪非道冷酷冷徹三角顔から鋭く光る眼光に睨まれた瞬間、半分腰を抜かし、仲間の助けを呼んだ。

「キェッーーッ、誰か来てくれ。ハブぎゃー」

数メートル離れた場所でキビを刈っていたならず者を呼んだ。
咬まれたら大変なことになるので、斧でしっかりと頭を押さえ、ならず者の到着を待った。長い。5秒足らずでならず者はやってきたが、僕には数十秒にも感じられた。
ならず者は、「ヒッヒッヒッ、」と愚か者を見下しながら、ガツンと一発ハブの首元に斧を入れてくれた。
すばやく愚か者は、即死したハブを持ち上げ、半分腰を抜かしながら、英雄気分で記念の一枚をパチリとカメラにおさめたのだ。
その夜の飲み会で大げさな武勇伝と笑い話が、愚か者から語られたのは言うまでもないだろう。

0579/1000「何かを決めて実行する三断力。」

何かを決めて実行するには、3つの「断」を意識しましょう。

①「判断力」
 何が、どれが、どこが重要なのか見極めます。
②「決断力」
 覚悟を決める勇気。
③「断行力」
 困難や苦難、反対、批判を押し切って実行する覚悟。

新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、海外の諸例や現状を把握し、
たくさんの選択肢から最適化を見極める「判断力」。
方向性が見出せたら覚悟と勇気を持って決める「決断力」。
様々な意見ややり方がある中、安定するまで、ある程度結果が出るまでやり切る「断行力」。

「断」とは、切ることでもあります。
新しく生まれ変わるには、古い体質に別れを告げなければなりません。
何かを手に入れるためには、まず何かを手放さなければなりません。
これまでの価値観を手放して、決定事項には、足並みをそろえて、今は従うことが肝要です。

0580/1000「思い通りにならないのが人生」

悩み、苦しみ、苦悩、煩悩とは、何かを自分の思い通りにしようとした瞬間に生まれるのです。
だから、諦めることです。

「諦めるというのは投げ出すことではない。
 現実を見すえること。
 期待感や不安などに目を曇らせることなく、
 事実を真正面から受けとめること。」
 by五木寛之

「一切皆苦」と仏教は教えます。
全ての物事は自分の思い通りにならないのだから、執着心を手放し、現実を見すえてみよう。

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