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一日一首2022

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なんとなく毎日を歌に。私小説ならぬ徒然の歌。
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2022年7月の記事一覧

一日を三日がかりで生きていく 記憶つぎはぎ半返し縫い

にこやかに賽の河原の積み石でだるま落としをフルスイングで

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どうせなら開き直って落ち込んで逆さになって空でも見よう

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時間との戦い、それは流される僕と、あらがう僕の馴れ合い

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ささやかな雑言ひとつ井戸に投げ 声出し渋るこだま虐める

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聴いているふりが後から効いてくる 今更何も聞き返せずに

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孵らぬと知りつつ抱く卵からここは駄目だと欠伸が漏れる

近頃の来世の夢はF5キー 替えの効かない役立たず君

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永遠に枯れず埃もつかぬまま 静かに褪せる思い出の花

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閉じた戸の内と外とで引き合って開かぬと嘆き立ち去る二人

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無いものと知りつつ探す横顔の白々しくも真面目な瞳

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イマジナリー相合傘を差し掛けて一人笑顔で肩濡らしつつ

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しゃがみこみ無心に蟻を潰す子の背中の羽根は蟻色をして

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嫌そうな顔じゃなくって、吐くぐらい嫌な顔しなよ。ちゃんと演じて