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一日一首2022

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なんとなく毎日を歌に。私小説ならぬ徒然の歌。
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2022年4月の記事一覧

空色が日毎に深く暮れていくブルースターのブーケを投げる

1

折れ曲がり錆びの浮かんだ鉄板も構えれば盾 笑え、戦え

ロマンスを捨てた我が家の女王は朝日の前に寝てしまう日々

2

もろもろと溶けるつま先押し込めたヒールを夜の海に浸して

1

明日もまた「あしたがある」と言うのでしょ 今日は今しか過ごせないのに

2

どこからが家族か むしろどこまでを許容できれば家族になるか

2

エアコンが主音、モニタが第5音、そっとsus4、ほどく溜め息

大根の拍子木切りを敷き詰めた椀底、バッドエンドの香り

ふるさとの空と王権神授説 神の不在を確かめもせず

片言をつないで繋ぐなだらかな縁に小さく指でハートを

3

細やかに金継ぎをした両脚で川べりに立ちしがらみになる

2

すれ違うたびに知らない君と会う 私が君を見忘れたのか

1

灰色の髪を解いて縄をなう逃げて戻らぬ時間を思う

2

花々と同じなだけの心なら十日で褪せて朽ちてお終い