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一日一首2021

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単調な毎日を短調な三十一文字に切り詰める、2021年のまとめ。
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2021年2月の記事一覧

あをによし習ったことは忘れても先生の声覚えています

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逃げ込んで馴染む間もなくまた逃げる 旅に居着いた振りをしている

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忘れてたぐらいの記念日ですから今日振り替えで祝っときましょ

2

大嵐 離れ小島は部屋の隅 椰子の実ひとつ流れ着かない

湿原の花になりたい 春風の声がするまで沈んでいたい

親切に本気を茶化す人は切る 本気を強いる人も切ります

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思い出の匂いを詰めた空箱を集めています。開封厳禁

朝日より痛みが先に起き上がる そっとあやして二度寝に誘う

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ここにある光じゃてんで足りなくて 君の笑顔で照らしてほしい

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尖らせた口の先っちょ五ミリほどモゴモゴさせて愛の挨拶

前向きに進んじゃいるが下り坂 一足飛びに加速していく

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今やもう推しもオサレもせぬ三十路 毎日生きるだけで楽しい

五年前鏡を全部捨てたのは鬼の顔しか映らないから

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頰肉を笑顔の位置でロックして眉間を伸ばす、無害の具象