コードブルー 〜ドクターヘリ、全違場療行科(ぜんちばりょうこうか)〜

俺は苗場浩一、ドクターヘリの全違場療行科の新人ドクターだ。普通のドクターヘリは一秒でも早く患者の所へ飛んで行く。そのためのドクターヘリだからだ。でも俺たちは違う。要請を受けた後ヘリコプターに乗って‘‘全然違う所へ飛んで行く‘‘。例えば「東京都大田区〇〇町2-5-16に救急です!」と要請がある。俺たちはすぐにドクターヘリに乗り込み、全然違う所へ飛んで行く。和歌山県とかに飛んで行く。で、全然違う場所に降りたらボーっとする。タバコとか吸ってヘリのパイロットとかと談笑する。マッサージし合いとかする。30分くらいだらだらしたらまたドクターヘリに乗って帰る。それが俺たち、全違場療行科(ぜんちばりょうこうか)だ。なぜそんな事をするのか。「そういう事もあるぞ」という事を一般人に教えるためだ。全然違う所へ飛んで行く事もあるぞ。という事を覚えて貰い、緊張感を産んで人類本来の潜在的なエネルギーを呼び起こそうという事らしい。ドクターヘリは一回飛ぶのに40万かかる。それを誰が払うのか。患者だ。診てもないのだから患者でも無いのだが、最初に救急へ電話した人へ請求するのだ。なぜそんな事をするのか。「そういう事もあるぞ」という事を一般人に教えるためだ。


ためなのだ。。。



(海の上をドクターヘリが飛んで行く映像)



コードブルー 〜ドクターヘリ、全違場療行科(ぜんちばりょうこうか)〜


提供 ドラクエモンスターズのしんりゅうと同じ配合でしかこの世に誕生しないはずのおばさん
   「コーラ冥利に尽きる」というのが口癖の人
   ガーゼの会社(匿名)


フィンフィンフィン ガコッ!

(ドクターヘリから降りてくる苗場浩一)

高松雪「おつかれさま!大丈夫だったの?」

苗場「おう そっちも」

こいつは同期で同い年の高松雪。誕生日が俺より速いからってお姉さんぶってなにかとおせっかいをかけてくる。

高松雪「ねえ!このあと一緒にランチでもどう?」

苗場「パス。寝る。」

高松雪「んもう!」

仮眠室に入りアイマスクをつける

プルルルルル!!!!!

プルルルルル!!!!!


チッ!仮眠も出来やしない

電話を取ろうとする苗場。しかし高松雪が一足先に受話器を取ってしまった。

苗場「おい」

高松雪「もしもしこちらドクターヘリ!(苗場にベー!みたいな顔)」

苗場「チッ」

救急「救急一名いけますでしょうか!?」

俺らは表向きはドクターヘリとだけ言っている。だから初見の人や痛い目みたけど忘れてもっかいかけてきた人、もしくはちゃんと‘‘全違場療行科‘‘だと思ってかけてくる人が主にここにかけてくる。
全違場療行科だと思ってかけてくる人とは、もうストレスが限界の人とかだ。もう知らない。どうでも良い。誰かこの世をめちゃくちゃにしてくれっていう救急の人がかけてくる。結構いる。

高松雪「行けます。状態は?」

救急「患者はビル解体作業員28歳男性。作業中に足場が崩れて落下。足の骨が折れていてショック状態、内臓もいくつか損傷していると思われます!」

高松雪「了解しました。今向かいます。ピッ。(電話を切る)私だけで行ってくる!貸しイチだからね!」

苗場「勝手にしろ。」

ドクターヘリに向かう高松雪

高松雪がドクターヘリに乗りこむとヘリはすぐさま垂直に飛んでそのまま上へ上へ上がった。どこまでも上へ上がるドクターヘリ。ヘリの中で上を向いて天井を見て真剣な顔つきでいる高松雪。やがてヘリでも行けない高度までいくと寒さで機体が凍ってそのままきりもみ状に自分の病院に落下した。

高松雪「キャアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」

ドカー――――ーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ドクターヘリは大破。パイロットと高松雪は直前で脱出した。ドクターヘリの大破分、病院の破損分。なによりパイロット、高松雪両名の精神的ショックに対する慰謝料を患者に請求した。患者は違う病院で治療中。いつでも死と隣り合わせ。それが俺たちの職場、ドクターヘリ、全違場療行科(ぜんちばりょうこうか)だ。俺は今回の事で彼女の大切さを知り、告白をした。


彼女は泣きながら頷いてくれた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


‘‘おい何をしてる‘‘

俺と高松はすぐに姿勢を正した。ここの救急医長の後藤先生だ。

後藤「救急だ。爆発事故があったらしい。すぐに行くぞ。」

苗場「ハッ。。でも。。」

後藤「なんだ。」

高松雪「良いんですか…?」

後藤「当たり前だろ。患者へいる所に行く。それがドクターヘリの仕事だ。」

後藤先生はここ‘‘全違場療行科(ぜんちばりょうこうか)‘‘で唯一、‘‘ちゃんと患者の所へ行こうとする‘‘。上にたてついていて自分のやり方で患者を救っている。

俺と高松雪と後藤先生はドクターヘリに乗って爆発現場へ向かった。

ババババババババババ


苗場「おい」

高松雪「なによ」

苗場「いいのかな?患者の所に行って。。」

高松雪「知らないわよ。バレたら終わりでしょ。」

苗場「ちッ…」

後藤先生「ウッ………ウウゥゥゥ…」

バタッ…


苗場「先生!!!!!!!???」

高松雪「先生!!!!!!!!!!!!」

先生の脈拍、呼吸、瞳孔をチェックする。

苗場「‘‘虚血性肛門減衰頭部複数開花症(きょけつせいこうもんとうぶふくすうかいかしょう)‘‘だ………!」

高松雪「大変!!リタフレンが無い!!このままだとどんどん肛門が閉じていって30分後には肛門が完全消失、その後頭部に複数の肛門が‘‘
‘‘咲いて‘‘しまう!!!!!!どうする!?」

苗場「まだウチの病院が近い…一度戻って後藤先生の緊急手術だ。」

高松雪「そうね。パイロット!進路変更!パリへ向かって!!パリのエッフェル塔!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

パリのエッフェル塔へ向かうドクターヘリ

ストレッチャーに寝そべる後藤先生。

後藤先生「やめろ…病院に戻れ…」

ストレッチャーごと後藤先生を飛行中のヘリから投げ捨てる高松雪。クーラーボックスのポカリがまだちゃんと冷えてるかをチェックする俺。後藤先生を投げ捨てたあと俺の隣に座って頭を肩に乗せる高松雪。俺はそっと高松の頭を肩に引き寄せた。俺たちは全違場療行科(ぜんちばりょうこうか)だ。全然違う場所に向かわなきゃいけない。それが俺たちの仕事なんだ。

俺「なあ、全然違う場所に着いたら渡そうと思ったんだけど…」

パカッ

僕は高松に指輪をプレゼントした。

彼女は泣きながら頷いてくれた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やがてパリのエッフェル塔が見えてきた。しかしヘリの中でセックスをしていたらヘリの芯が揺れてしまいパリのエッフェル塔にヘリの後ろの部分が衝突してしまった。ぐるんぐるん回りながら地面に衝突して爆発するドクターヘリ。直前で俺たちは脱出した。音を立てて崩れ落ちるエッフェル塔。ヘリの修理費、エッフェル塔の修理費、何よりパイロット含めた俺たちの精神的ショックからくる慰謝料、その全てを後藤先生に請求した。数日後、後藤先生はなぜか南極で死んで発見された。カチコチになって。死因は膝の餓死らしい。俺は膝の餓死というものを初めて聞いた。俺たちは仕方ないので後藤先生の家族に金額を請求した。

請求したんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




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