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「卒アル新法」施行後初の適用 都内高校でアルバムの配布差し止め

今月18日に卒業証書授与式が執り行われた都立飾窓高校で卒業アルバムが配布されなかった問題で、学校側が会見を開き、教員からの差し止め請求に応じてアルバムの配布を取りやめたと明らかにした。「卒アル新法」に基づく差し止め請求が実際に行われた、施行後初の事例。

「卒アル新法」に基づく申し立てにより、都立飾窓高校では今年度の卒業アルバムの配布は中止となった。

配布差し止めを申し立てたのは、飾窓高校で3年生のクラス担任を務める男性教員。請求の理由に関して高校が行った聞き取りに対し、教員は「生徒から相談を受けたため」としているが、その生徒の個人名などは秘匿しているという。

会見を受け、飾窓高校の卒業生は「事情を聞いてもショック。配らないと決めていたのなら、先に教えてほしかった」と学校側の対応を批判した。

卒アル新法に詳しい佐伯敬子弁護士は、「条文上はアルバムに写っている者なら性別年齢問わず対象になるとはいえ、教員が請求を行ったと聞いたときは驚いた」としたうえで、「表立って言い出せない生徒の代わりに教員が矢面に立って請求を行うというのは美談ではあるが、法制度を恣意的に歪めるリスクもはらんでいる」と指摘した。

卒業アルバム等関連被害防止・救済法は、卒業アルバムが原因の個人情報流出被害(『過去を知られない権利』の侵害)を防ぐため、昨年10月に施行された。学校法人やアルバム作成の依頼を受けた企業などに、写真撮影の場所や時間を撮影日から3ヶ月前までに通知すること、また撮影後も6ヶ月間は公表しないことが義務付けられている。また撮影側に拒否権や配布差し止めの申し立てを可能にする。(郡司遊介)

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