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春の甲申園で珍事 音階アレルギーの投手に"ファ"の多い曲を聞かせる 高野委、相手校吹奏楽部の投球妨害を認定

4日に行われた第76回全国春季高校野球トーナメントの初戦、初出場となる渦実学園の吹奏楽部による応援が物議を醸している。

4日、宝永大付属と渦実学園の試合で、渦実学園吹奏楽部が行った演奏が問題となった

前年度優勝の宝永大付属との対戦。3回まではともに無失点の好投。しかし4回、突如として制球を乱す宝永のエース福山伸吾投手に対し、渦実学園の打線が爆発。一挙に5点を先制した。宝永の中井監督は、4回終了を待たず投手を2年の河原樹選手と交代。立ち上がりこそ渦実学園の野中純外野手の適時打で1点を追加されるが、以降は的を絞らせないピッチングで後続打者を打ち取った。

その後、河原投手は守備陣にも支えられ11回まで完投。宝永は5回、7回に3点を返し、同点でもつれ込んだ延長11回裏、徳田尚弘二塁手の一発で逆転勝ちを決めた。

試合後、宝永の中井監督は報道陣にエース福山投手の不調の理由を明かした。「これまで公表していなかったが、福山には音階アレルギーがあって、"ファ"の音を繰り返し聞くとじんましんが出る。渦実学園吹奏楽部の演奏していた曲に"ファ"が多用されていた」。中井監督はさらに「これまでの試合でここまでの症状が出たことはない。もし意図的なものだとすれば、非常に遺憾だ」と怒りをにじませた。

このインタビューに、渦実学園の柏木監督はすぐさま反論。「吹奏楽部が何を演奏するかを決めるのは、あくまで吹奏楽部だ」としたうえで「福山投手が音階アレルギーだったことなど知る由がないし、演奏された『天高く』も一般に良く知られる楽曲で、歌詞の内容は"スポーツの応援"という趣旨に沿っている。ひどい言いがかりだ」と真っ向から否定した。

問題を受け、日ノ本高校野球委員会は翌日会見を開いた。「故意でないとしても、福山伸吾選手の投球を妨げる演奏があったのは事実であり、投球妨害に該当する。しかし、福山伸吾選手の音階アレルギーが公表されていなかったことを勘案し、渦実学園に具体的な処分を下すことは適当ではない」。

渦中の福山投手は、宝永大付属高校を通して自筆のコメントを発表。「耳栓をすれば防げるのに、そうしていなかった。僕の責任です」と謝罪した。

2回戦に進出した宝永大付属は15日、船盛商業と対戦する。(新田守)

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