かばん6月号「特集 短歌とBL」について

※2020年8月21日に記事の内容を一部修正いたしました。

◽︎はじめに

この記事は歌誌かばん6月号の特集「短歌とBL」について、特集をお読みになった方の【歌誌かばんの特集「短歌とBL」において短歌誌『共有結晶』についての記述が少ないのではないか」】との旨のツイートを発端とする、関係者のツイートのやりとりを受けて書くものです。

やりとりの詳細はこちらでは書きません。この記事を読んでいる方はおそらく関係者のツイートを目にしているだろうと思いますし、Twitterで流れを辿ることは可能だと思うからです。
また、関連するやりとりが膨大で網羅することが難しく、私がまとめることによりなんらかの偏りや別の文脈が生じることも避けたいと思います。
この記事を読んだ方は必要に応じてTwitterで流れを辿っていただくようにお願いいたします。

私は編集と特集の両方に関わっているので、今回の特集について責任を有しているためこの記事を書いています。
誤解いただきたくないのは、かばんの会の会員には上下も無く、先生も指導者もおらず、原則として会員は自己責任で活動しています。そのため、私が記事を書くのは、特集を担当した責任によってであって、「かばんの会の偉い役職名の人が出てきた」と思われるのは完全に明確に違います。
副編集長ではなく副編集人という名称であることからも分かるように、副編集人は一つの係を指し示す言葉であり、例えるならば学校の日直のようなものだ、と私は理解しています。任期は一年で、選挙や多数決で決まるものでもありません。チーフ、サブチーフについても同様です。あれは地位を示す言葉ではなく、文責を有する人間を示す表記だと私は考えています。(これはあくまでも私の捉え方ですが、かばん会員の多くは同じような捉え方ではないかと推測しています)。
また、「かばん会員を代表してかばん会員の総意をお伝えします」という主旨でもありません。繰り返し書きますが、かばんの会は各々が自己責任で活動しています。いろいろな人が各々の責任で自由に出入りしています。各々で真摯に短歌に向き合っている場であるという印象を私は持っています。「会員の総意」という言葉を先に描きましたが、総意という言葉を使うことすら多くの会員は嫌がるでしょうし、かばん会員にまとまった意見なんて存在しないです、おそらく。
長々と書いてしまったのですが、私の記事を「かばんの会の意見」や「かばんの会の今後の方針」と誤解されることがあると、それは事実とは違うしあまりにも不本意なので書かせていただきました。
このあたりのことで、根拠が必要でしたら歌人集団かばんの会のホームページで公開しているQ&Aと入会案内を参照していただければと思います。


ここから自分が担当した特集において、説明した方が良い事項が生じたため、自分の責任のうえで私に説明できる範囲のことを書きます。誰に要求されたわけでもなく私が自ら出てきて、自己責任でこの文章を書きます。

特集内容についてTwitterやその他の場所で議論が起こるのは基本的には健全な状態であり、担当した人間が介入することで議論が停滞してしまうことや、感想や批評を書くことがしづらくなってしまうことは望ましくないと思っています。
この記事も歌誌かばんの「短歌とBL」についての言及を止めるためのものではありません。

高村七子さんのTwitterでの発言も高村さんの自己責任でされており、かばん会員や特集を作成したメンバーの総意としての発言では一切無いことを添えておきます。

また、この記事は誰かの発言に対しての反論を目的をしたものではなく、一連の流れを見ていた方(かばんの会員、非会員に関わらず)向けの情報の開示と私の考えを述べることを目的としています。

◽︎かばん6月号 特集「短歌とBL」についての私の認識

・これは私見ですが、歌誌かばんは「かばん会員向けの会報誌」であると理解しています。

・ですので特集も「基本的にはかばん会員で作るかばん会員向けの記事」になります。これは歌誌かばんはかばん会員だけが読めばいい、とか会員以外は読むなという意味はまったく含んでいません。(かばんの会員以外の方にも手に取っていただけるのは私は嬉しく思います。)想定する読者がかばん会員なので、その読者向けに書くことが自ずと多くなるというということです。これも私見です。

・歌誌かばんは会員の元へ送られます。そのため、送られてきた会報誌を開いたら興味のあるなしに関わらず特集「短歌とBL」が載っている、という方が多くいるだろうと予想しました。「短歌とBL」について知らない、興味がない方も読むだろうと考えました。

・私が特集「短歌とBL」にサブチーフとして加わることが決まったとき、すでに特集内容の大凡は決まっていました。もう一人のサブチーフである壬生キヨムさんもすでに就任されていたと思います。そのため特集内容は会議などでチーフ・サブチーフの三人で話し合って決めたものではないです。
ただ、私から見て、特集内容に不備や問題があれば、私も壬生さんも高村さんも問題提起はできるような体制だったと思います。

・想定していた読者は先に書いた通りで、この特集で「短歌とBL」に初めて触れる方もいるだろうと私は考えました。また、いくつかの制約(ページ数や予算など)もありました。自分たちの責任の範囲で特集を作成する必要がありました。
歴史や定義を学術的に記載することや、「短歌とBL」を網羅することはおそらく不可能なため「今現在、どんな風にBLやBL短歌が読まれているか、どのようなBL短歌が詠まれているか、の事例をいくつか載せる」あたりが今回の特集にできる範囲だろうと思っていました。会員の方が興味を持てば、特集の第二弾が組まれることもあるかもしれないし、BL短歌を作ったり、調べたりする方も出るだろうと思っていました。これは私が個人的に思っていたことです。

・私は以上のような認識で特集に関わっていました。

・「歌誌かばんの特集「短歌とBL」において『共有結晶』についての記述が少ないのではないか」という主旨の発言が生じるような記事となった要因のひとつとして私の上記のような認識があるのではないか、と自分では考えています。

◽︎記載内容について

・発端となったツイートから、離れたところまで話題が届いているように見受けられ、「歌誌かばんが共有結晶の存在自体を無かったことにした」と捉える方も出てくる可能性もあると推測します。それについては否定したく、以下を記しておきます。

・特集のサブチーフとして、共有結晶に参加していた壬生キヨムさんも加わっています。
・特集ページのひとつであるBL短歌を読む歌会には同じく共有結晶に参加していた黒澤蜜さんがリモートで参加しています。
(これはおふたりが参加していたので共有結晶のお墨付きをもらったというような意味ではなく、不当に斥けたりはしていない、という意味で書いています)

・記事の執筆者や、対談、BL短歌を読む会の参加者の方にはほぼ自由に執筆および発言をして頂いており、対談者の小佐野彈さんの発言の中にも共有結晶について触れている部分があります。

◽︎対応について

・発端となったツイート関連するツイートを拝読し、特集がきっかけとなり関係した方にネガティブな感情を起こさせてしまったことを知り、申し訳なく思っています。

・私が今後、なんらかの媒体で「短歌とBL」および「BL短歌」についての企画に携わることが生じた際には、今日までの歴史を学んだうえで書くことと書かないことを慎重に精査します。
ただ、今後仮に歌誌かばんの特集が組まれることがあったとしたら、最初に記載したかばんの会の性質上、「同じようなことは二度と起きないという発言は私には出来ない」というのが正直なところです。私もいつまでかばん会員でいるか分からないのもあります。短歌に対してもいつまで関わるかもわかりません。
歌誌かばんの特集に携わる人間が使用する申し送りの資料には記録を残します。

・特集に関わった人間(チーフ、サブチーフ、校正協力者)(仮に特集チームとしておきます)で集まりTwitterでなされた発言について特集チームで原因究明などの対応をすることは、現状では、私の方では考えていません。
発言が明確に歌誌かばんの編集部や特集チームに宛てたものではなく、個人の感想ツイートや個人間でのツイートの応酬であると思われるからです。
基本的には、歌誌かばんに記載された内容については、誰でも自由に批評や批判や感想を話し、議論するのが健全な状態だと思います。それを特集チームや編集部が探して、チームや部として対応するというのは過剰反応であるし、自由な発言を妨げることにも繋がりかねないと私は考えています。もちろん、記載内容の明らかな誤りを指摘するものなどについては検証して訂正記事を出す等の対応が必要と思います。

・私からお話できることはこのあたりです。
特集について何かありましたら歌誌かばんの巻末に記載の編集部までメールしていただくと、もう少し進展した形のご対応になるかもしれません。(これは進展した形でのご対応になる可能性があるという意味であり、進展した形でのご対応をお約束するものではありません。また、私が現在編集部にもいるため紛らわしいのですが、ここにこれを記載した意図は、ご意見やご指摘を送りたいと思った方に向けて歌誌かばんにも記載されている窓口へのアクセス方法を示すことです。)

・繰り返しになりますが、この記事は特集を担当した者の責任として、自己責任で書いているものです。
また、高村さんは高村さんで自己責任で関係の方とやりとりをされています。

・長文をお読みいただきありがとうございました。

中山とりこ

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