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しあわせな場所をつくりたくて、笑顔でもがいている

ずいぶん、春っぽくなってきた。
私がひとりで暮らす木造の部屋には、広い窓と、庭と、小さな縁側がある。この暖かさで、庭にはたんぽぽの葉が芽をだしはじめ、冬の間放置していた植木鉢に、パセリの葉が再度芽をだす。植物はたくましいなぁ。
昨日ずいぶん深夜まで遊んだので、今日は遅く起きて、時間はすっかり昼。庭を眺めながらぼうっとひなたぼっこをしながら、
「あー私はだれか気の合うひととおしゃべりだけなんだなー」とぼんやりおもった。「あのね…今日ね」と、わたしはきままなおしゃべりをしたいだけなのだ。なのになんでそれがこんなにも難しいのかな?という不思議な気持ちと、長い間いつもいっしょにいる。

恋を探すきもちと、絵を描くきもちは、とても似ている。
日常の中でのささいな愛おしい気づきや、職場の同僚とわらったこと。世の中でみつけた素晴らしいこと。そんなことを共有して、ただ知ってほしいという気持ちがある。
相手より感性がすごいとかすぐれているとか思われたいわけではない。単純に肩をならべてお互いを知り合いたい。「あのね…」という話を日常的にすること。それが叶わないと悟った時に、わたしはその恋を手放してきた。
おしゃべりができないと、心が寂しい。それによって、絵もかけなくなる。自分が自分らしくいられなくなる、それは非常事態なのである。

ぼおっと庭を眺めていたら、結論がでた。
わたしtoricoは、おおらか。まじめ。ひとが好き。その私の良いところにきづいてくれるひとと出会ったら、わたしはしっかりとその相手を愛せるのだろうなと思う。
わたしの特徴を、自分自身でとても気に入っていることにきづく。それが嬉しいので、大切に生きたいなと思う。

それが、ひなたぼっこ中に話した、わたし自身との会話。

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昨年年末から今年2月にかけて、嵐みたいなめくるめくスピードで、変な恋愛をした。そして、逃げるように別れた。婚活サイトで出会った長身の彼に、びっくりするような嘘をつかれていて、ひととして信じられないと感じた。
Xmas前から好きだよ・大切にするねと100万回言われて、魔法にかかったように好きになったが、彼は実は結婚していたのだ。
離婚成立を待って、彼とはじめて寝たときに、本能的に「この男は優しくないし大切にしてくれない」と悟った。
「あー情に流されちゃっただけだったな、彼のこと私、何も知らなかったのだ」と、朝彼のアパートから、カーテンをあけて朝日の中で思った。
その私の後ろ姿を観て彼は、近づき、私のお尻を触り、胸を触りだすから、「ちょっともう勘弁してください」と跳ね除けた。
付き合いはじめてからの違和感と、感じる課題を彼にはなしたところ、彼から返ってきた返信は2つのことばだった。
「気づけなくてごめん」「婚活がんばってください」

「婚活」って、なんて冷たい、夢のないことばなんだろうと思う。
あなたが、私を見つけたのに。
一度は結婚をイメージしたふたりなのに。そんなひとことでまたお互いの「活動」に戻るのだ、わたしたち二人は。

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長い間、好きだった男友達Kが、婚約を間近に破局した。私とタイミング同じく、恋が終わった彼から、「傷心飲みにつきかいなはれ」と呼び出される。
そんな彼は、精神が幼い彼女のわがままにとことん付き合い、けれど別れたので、いまはすっきりとした顔をしていた。紳士的に最後まで向き合った彼の話を聞くと、私の話がくだらなく思えた。
「わかるわ。ひととの関わりの中で、好きになりたいよなあ」と彼は言ってくれる。
酔いもまわり、「私にはどんなひとが合うと思う?」とKに聞いてみたら、
「美術やものづくりに関心があるひとがええな」
「toricoちゃんから色んな話ができるひとがええんやない」
「話したり笑ったりできるひとかな」
と彼は言う。それはとっても正解、と思う。それができなかったから、彼と別れたのだ。だから正解。

では、そんなKはどんな女性が好きかと問うと
「ちゃんとしなくてはいけない時は、ぴしっとできる人がいい」
「料理ができる人がいい。」
「よく笑う人がいい。」
と言うので「わたしそれぜんぶ当てはまるよ〜^^」と酔っ払いながら立候補をしてしまう。馬鹿だなぁ。そんなこと、酔ってないと言えない。
それを聞いた友人Mに、Kはモテるんだから(無理だよ)。と笑顔で一蹴されてしまう。とほほ。

Kはとてもモテる、素敵な人。だけどわたしは、彼を前にすると緊張する。
奇跡的に趣味を同じくしたこのひととは、友情関係のままでいた方が良いのだ。それはどこかでわかっているのだけど、世の中ってうまくいかないなぁと思う。

そんな対比の結果、本日昼の気づきと繋がるのであった。

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大切な友人Kのおかげで、ひとが好きなことにわたしは気づいてしまったので。
いまは、ひととの関わりの中で、恋愛も家族も、いっしょになってたのしくなれば良いのにと思っている。
そのしあわせな場所をわたしはつくりたくて、笑顔でもがいている。
だからこの前向きな作業を、「婚活」ということばでまとめてしまうのは、いかがなものかと思う。
なんか良いことばないかなー