出産で里帰りしたら親が大病でアイドルに助けられた話(過去記事)

この記事は過去記事

を移転したものです。
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里帰り出産をしようと実家に帰ってきたら、なぜか自営業をしている父親の体調がすこぶる悪かった。
急いで病院に連れて行くと、(詳細は伏せるが)かなり状態が悪いようだった。
父親に聞くと誰にも相談できず、時間だけがすぎてしまっていたようだった。

そうしてこの度、我が家は臨月間近の自分と、体調が悪すぎて寝込んでいる父親、父親の代わりに自営業を取り仕切るため家にほぼ居ない母親という、かなり過酷なラインナップとなった。
私は父親が死んでしまうかもしれないという不安と、満足に家族の力になれない自分へのもどかしさと、仕事で多忙な母親への心配とで、メンタルがぐちゃぐちゃになった。

そして、ぐちゃぐちゃになったメンタルが赤ちゃんに触らないか不安で余計にぐちゃぐちゃになった。
そんな気が遠くなるような状況で、ふと帰省前に見ていた「PRODUCE101 JAPAN THE GIRLS」というアイドルのオーディション番組を思い出した。あんなタイミングでなぜ思い出したかはよく覚えていないが、結構没入感のある演出の番組であったし、少しでも現実を紛らわせたいと思ったのだと思う。

久しぶりに視聴した。
帰省前は、そもそも知っている元アイドルグループの子が出てるからという理由だけで見ていたので、正直顔と名前が一致する子の方が少なかった。
が、辛いことを忘れるためにみた番組で、運命の出会いがあった。
練習生によるパフォーマンス「美人」である。
「誰にも言えなかった苦しい」
「がんばり続けた私は光る」
「明日の景色見えぬ世界 光るはずと信じてる」
「すべて懸けてめいっぱい」
「もう少しでとどくはず 夢のままじゃ終わらない」

大仰かもしれないが、こんな歌詞に、その時絶望でぐちゃぐちゃになっていた自分へ雷が落ちた。
運命の歌詞だと思った。

そして、その歌詞を考えたのは、たった1人の練習生「清水恵子」だった。

清水恵子は番組の序盤で、なんだか面白いけどヘンテコなキャラクターで、良くも悪くもアイドルっぽくない、という感じの子だった。
スキルがあったので目立っていたが、ほんの少し、いや結構浮いている、最近流行りのお人形さんのようなアイドルというよりは、とっても人間味あるタイプの子という印象だった。
なので、「この子はきっと、知名度は得るけど、最終的なグループデビューまではいかないんだろうな」と漠然と思っていた。
しかし、そんな清水恵子が書いた歌詞は、これまでのイメージと真逆だった。

「おもろ枠?それで落ちる枠?ぺちゃくちゃ語ってれば?その美学。私はその時間でスキルを磨く。がんばり続けた私は光る。」

変わったキャラクターも、それによってどう見られているかもすべてわかったうえだった。
わかったうえで苦しんでいた。
それでも自分らしく前に進みたい、ここでアイドルデビューしたいんだということを、歌詞で、声で、ダンスで、表情で、抉るほど伝えてきた。
鬼気迫るパフォーマンスに、私は気がついたら涙が止まらなかった。
自分の不安な状況と重ね合わせながら、それでも目の前の17歳の女の子が懸命に戦って、泣いて、それでも最後には笑顔を見せてくれることに、なぜかとても救われた。
自分よりいくつも歳下の子がこんなに人生を賭けてぶつかってきているのに、自分が頑張れないはずがないと勇気がわいた。
恵子ちゃんのように、もうちょっと頑張ってみようかなと思えた。

あの日から、私は勇気を出して親族に協力を得るように交渉したり、自分なりにできる家事はしたりと、なんとか家族の不具合を解消できた。
そして、また、すっかり清水恵子のファンになって、家事や病院の合間に細々と毎日清水恵子ちゃんへ投票を続けていた。
ちょっと変わったキャラクターも段々と愛おしいものだと気がついて、恵子ちゃんを見るたびに笑顔をもらっていた。

あの(私にとっての)運命の日からも恵子ちゃんには色々なことがあった。
新たなパフォーマンス対決があったり、練習生で運動会をしたり、韓国でおしゃれメイクをされたりしていた。(かわいかった。)
恵子ちゃんの周りはいつも笑顔で溢れていて、「ああ、本当に太陽みたいな子だな。」と思った。
そしていつしかファイナル選出に進む20名を決める順位発表式になっていた。
祈る気持ちで見ていたが、無事、清水恵子は11位で呼ばれた。
私は安堵の気持ちでいっぱいになった。

でも、あんなにおちゃめで、いつもニコニコしている恵子ちゃんは、泣き崩れた。
「まさか自分が呼ばれると思わなくて」と言った。
そこで初めて気がついた。
この子は太陽みたいな子だけど、みんなにしっかりお日様が当たっているか気にかけているんだ。
みんなに光を当てすぎて、時々自分が太陽なことがわからなくなってしまうような、繊細な子なんだ、と感じた。
そして、清水恵子はこんなに魅力的なんだということを、今までもっとアピールできてなくてごめん、と思った。

番組は12月16日の最終回に向けて、最終投票を募っている。
もしよければ、どうか残り数日、清水恵子への投票をお願いします。
私はまだ恵子ちゃんに愛と恩返しを渡せていないから。

実は、私の方も、運命か否か父親の手術が12月16日に決まった。
手術の予定時間的になんとか投票だけはできるが、リアタイ視聴はできないと思う。
なので、私の代わりにリアタイで清水恵子に投票して、見届けてほしい。
父親の手術の付き添いから帰ってきた私に、恵子ちゃんのデビューのニュースを知らせてほしい。
私もこんな事情でなかなか外には出られないけど、スマホで合間の応援、投票を頑張るから。

そろそろ出産の方の予定日も近いけど、陣痛がきたら恵子ちゃんの名言、「焦りは禁物、急がば回れだよ」と自分に言い聞かせて頑張りたいと思います。

※身バレ防止のため、プライベート情報には一部にフェイクを入れています。こんな嘘みたいな話、信じられないと思うので、信じられない人はよくできた作り話だと思っていただければ大丈夫です。

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