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「余命10年」を鑑賞して

 何度も泣いた。『死が近い』という現実を意識させられる場面は節々に描かれていた。けれど、多分私が泣いたのは死んでしまう悲しさのせいじゃないと思う。
 やり場のない思いを抱えて苦しんでいる姿や、真摯に相手を思う気持ち、自分の一部になってるくらい大切な人のそばに居られなくなる悲しさ、悔しさ、やるせなさ。そういうものにこの映画を通して触れた時、何度も涙が溢れた。

 「時間」というものを改めて認識する、とても良い機会になったと思う。私たちが、普段働いたり大切な人たちと過ごしたりできるのは、時間があるからこそなんだ。時間がなければ、私たちは何も成すことができない。
 自分に時間が残されているうちに、心に浮かぶことは躊躇わず実行しなければならないと思った。残り時間が0分になってからでは何もかもが手遅れで、さらに言えば手遅れであることにすら気づく間も無く死んでいくんだ。


 今回観て思った。生きてもっと長くそばにいたいと願わずにはいられない相手と出会えたなら、ほんのひと時でも共に過ごすことができたのなら、それは間違いなく幸福な人生なんだなって。たとえ側から見れば平凡な人生だとしてもね。「幸せ」の形は人それぞれだけれど、一つの確かな「幸せ」の形を、彼女の一生を通して見せてもらった気がする。

 人生があと10年だろうと50年だろうと、この一生を精一杯生き抜くことには変わりないんだ。

 ”生きてるうちに、絶対に幸せになってやる”

 たくさん泣いたけど、でもそんなふうに自分の人生に宣戦布告したくなるような映画だった。

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