FKQ2SS 澄み渡る空 part3

※キャロライナ視点part1から順にお読み下さい。リンクはこちらから。

※この記事は「Fate/Killer Queen II」に登場するキャラクター、
余四朗とキャロライナに関する視点交換式のショートストーリーです。
上記村のネタバレを含みますのでご注意ください。

 ◆◆◆

「あたしを救えるのはヨシローだけだもん……!
 助けて。あたしを助けてよ」

幾つも幾つも、嘘に嘘を重ねたのに、それでもまだ。
きゃろるの心の中に、わしは居たままじゃった。
てっきりとっくに、おんしの心はわしから離れているものかと。
一人で勝手に思い込んでいただけあって、
泣き崩れながらそう訴えかけるおんしの姿は、
想像しちょらんかったものじゃった。

 ◆◆◆

そうして、初めてきゃろるに会ったときの、あの目を思い出した。
過去も今も、そして未来も。
明るい空を知らん輩が持っている、諦観に満ちたあの目のことじゃ。
このまま帰れたとしても、きゃろるには『先に見える光』がないまま、
虚ろに生きていくだけになってしまうだけなのかも知らん。

ほいなら、今のわしに出来ることは。
きゃろるに『先に見える光』を与えること、なんじゃろう。
好いた女子をこうして誘うのは、わしには初めてのことじゃきに。
気の利いた、恰好ええ台詞は浮かばんが。

「のう、きゃろる。
 こういうときの、恰好ええ誘い文句が分からんき。
 真っ直ぐ伝わるよう、はっきりと云うことにするがじゃ」

そこまで云って、一息吐いて。
少しばかりある緊張も、向こうに伝わっちょるかも知らんが。
それでもできるだけはっきりと、言葉を続けた。

 ◆◆◆

※キャロライナ視点part4へと続きます。リンクはこちらから。

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