FKQ2SS 澄み渡る空 part4

※キャロライナ視点part1から順にお読み下さい。リンクはこちらから。

※この記事は「Fate/Killer Queen II」に登場するキャラクター、
余四朗とキャロライナに関する視点交換式のショートストーリーです。
上記村のネタバレを含みますのでご注意ください。

 ◆◆◆

わしはもう少しで、死ぬ。
どうやっても抗えないことじゃろう。
そんなわしから、きゃろるを助けられること。
それは『先に見える光』の目印を付けることじゃと思うた。

返って来た言葉を聞いて、微かだが確かに、
きゃろるの泣きはらした目の諦観の色が、少し変わった気がした。
無理に作ったような笑顔で、口調だけはいつも通りに尋ねられる。

「あ、昨日の話覚えてる?
 ヨシローのお願いを聞く代わりに、そのカタナが欲しいの!

 ヨシローとの思い出にしようと思ったんだけどね、
 生まれた子供に渡したいなって。
 ……いい考えじゃない? 絶対強い子になるもん」

その言葉を聞いて、きっともう。
きゃろるは大丈夫じゃと、そう思えた。

つい先ほどまでの、何もかもに絶望していた姿でなく。
生きて帰って、それからのこと。
そのことを考えてくれているのを、ほんに嬉しゅう思う。

 ◆◆◆

その後に囁かれた言葉に少し、赤面したのも見られちょったじゃろうが。
こんな状況でも、そんなことを云えるくらいに持ち直したおんしは、
強かな人間じゃな、と思う。
そういうところにも、惹かれたのかも知れんの。

そっと接吻を交わしたあと、ずいぶんと軽いきゃろるの身体を抱き抱えて。
さてどこの家を借りゆうがか、などと考えていながら、
ふいに呟かれた一言。

「会った時からずっと、あたしはヨシローのものなんだけどなあ」

その言葉を聞いて、ようやく気が付く。
きゃろるはわしに、一つも嘘を吐かなかった。
おんしはずっと、わしと生きるために、奔走してくれちょった。
わしからきゃろるを疑ったときでも、きゃろるはわしを信じちょうた。

罪の意識を取り払ってみれば、わしのほうも。
ずっと、きゃろるのために動いちょうたことも、また事実で。
それは自分の心のままにやってきたこと。
今、改めて。言葉にしよう。
録音機能にも残らないような囁き声で、言葉を返す。

「そいつはわしも同じじゃき。
 ――きゃろる。わしはおんしを、愛しちょるよ」

 ◆◆◆

※キャロライナ視点part5へと続きます。リンクはこちらから。

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