「頑張った」

私は1人で公園のベンチに座っている。
太陽に目がやられないよう気にしながら少し上を見ながらボーっとしている。
あぁ、ボーっとしてるなー私、と、思いながらボーっとしてる。

近くで小学生くらいの姉妹らしき子供たちが走っていた。
お母さんらしき人が頑張れ!と、まあまあ大きな声で二人に伝えていた。

あっ、思い出しちゃった。
高校最後のバレーボールの試合。
あんなに「頑張った」のに負けた。練習も「頑張った」つもりではあった。
でもあとあと気づいてしまった。
歩けなくなるほど「頑張った」か?試合相手より「頑張った」か?
私は頑張ってはいないんだ。「頑張った」つもり。頑張ることすら私はできないんだと痛感した。
あーあ、もっと頑張りたかったなぁ。

こんな微笑ましい光景を見ながら、嫌なことを思い出しちゃったなぁ。

と、その時、10分遅れてやってきた彼氏のダイキがやっときた。

「よー!わり!遅れた、、、ん?やっぱ機嫌悪い?」

私はやっぱり今機嫌悪く見えるのか。そうか。別にダイキが少し遅れたことなど怒ってはいない。
むしろ、自分の不甲斐なさを思い出して悲しんでいたところだったのに。

「べつにー、ダイキさぁ、頑張ってる人ってすごいよね」

すかさずダイキは、

「ん?頑張ってる人はすごいとはおもうけど、みんな何かしら頑張ってんだよ。「頑張った」!なんて胸張ることねーよ、もっと頑張れたのになーって、反省したり後悔したり、次はもっと頑張りたい!って思える人の方が俺はすごいとおもうけどな!」

ほんと、ダイキは、たまにすごいことを言うよ。
ほんと、ダイキのそういう所好き。
ありがとう。少しすくわれた。

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