雨中のかしわ記念、雨を切り裂く衰え知らずの剛脚
かしわ記念当日までの約1週間、1日1回は「船橋市 天気」とGoogleで検索していた。私自身が雨に濡れたくないからという理由ではない。悲願の初タイトルを目指すタガノビューティーが力のいるダートで走ることができるか否か気になっていたからである。曇り→雨→晴れ→曇りと天気予報は目まぐるしく変わり、その度に一喜一憂。そうして迎えたレース当日は…
どしゃぶりの雨だった。
競馬場に到着したのは開門10分前の13時であったが、すでに強い雨。その雨脚は次第に強くなり、ダートコースには水が浮いてきていた。そして1Rから9Rまでスタンドで観ていたが、とにかく逃げ・先行馬が止まらない。「こりゃ厳しいな…」と思いながらもレインコートを身に纏い、パドックへと向かった。ふりしきる雨の影響か、10Rの出走馬が本馬場に向かった後そのままパドックでかしわ記念出走馬を待つ人は人数制限を設けていた昨年よりも少ない。雨に打たれながらタガノビューティーを静かに待つ。
19時30分を迎えようかというところでかしわ記念出走馬がパドックに姿を現した。タガノビューティーは最初こそ二人びきだったが、2周目には一人引きに。パドックでまず目についたのが馬体の張り。フェブラリーSと遜色なく映った。いつもよりチャカつくことがなかったのがどう転ぶか気がかりではあったが、踏み込みには力強さがあり、力は出せる仕上がりだとみた。
パドック終了後はすぐさま本馬場へ。発走時刻が近づくにつれ、雨中の決戦を見届けようと多くの観客がスタンドの外へ出てきていた。当初予定されていた市立船橋高校による生ファンファーレは残念ながら雨天中止となってしまったが、ファンファーレ終了後には大歓声が巻き起こる。ゲート入りもスムーズに進み、枠入り完了。第36回かしわ記念のゲートが開いた。
タガノビューティーはスタートで大きく出遅れることもなく、中団やや後方の内でレースを進める。3、4コーナーにかけて内からポジションを押し上げ、4角4番手で最後の直線へ。ロスなく運んだタガノビューティーは自慢の差し脚を伸ばしていき、キングズソード、フェブラリーSで後塵を拝したペプチドナイルを交わして2番手へ浮上。しかし、懸命に逃げるシャマルとの差はなかなかつまらない。16度目の重賞挑戦となった2024年かしわ記念は2年連続の2着で幕を下ろした。
このレースでタガノビューティーがマークした上がり3ハロンは38.4。最後方待機のキャッスルトップが39.0、シャマルが39.1、ペプチドナイルとキングズソードが39.4だというのだからその剛脚は衰え知らずだ。
7歳を迎えてもなお、第一線で活躍するタガノビューティー。次走はさきたま杯が予定されている。レモンポップ、イグナイターら南部杯で先着を許した強敵も出走予定であり、コース形態からも厳しい競馬が予想される。しかし、初タイトルへの道が閉ざされたわけではない。今度は浦和競馬場で古豪・タガノビューティーに声援を送りたい。
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