【寓話】僕はハンバーグとプリンしか食べません。
あるところに一人の男の子がいた。
その男の子は大の食わず嫌いで小さい頃からハンバーグやプリンのようなものしか食べなかった。
それで両親や先生などいろんな人が彼にそれ以外のものも食べるように勧めた。
「どうしてあなたはハンバーグとプリンしか食べないの。ほかのものも食べたほうがよいわよ。」
しかし、彼は頑として聞きいれなかった。
それどころか、そういった大人たちの助言をうるさく思った彼は自分が一生ハンバーグとプリンだけを食べていられる暮らしを手に入れることを心に固く誓った。
その後、彼は一所懸命勉強し、一流大学に入り、一流企業に入り、その後も一所懸命に頑張って安定した収入と生活を得ることに成功した。
それから毎日彼は思う存分ハンバーグとプリンを食べて暮らしていた。
また、栄養のバランスが偏らないように材料の使い方などにも工夫をしていた。
さて、その後、彼はある女性と交際を始め、やがて結婚をした。
ところが、二人が一緒に暮らし始めると、奥さんが彼にかつての両親と同じことを言い始めた。
「どうしてあなたはハンバーグとプリンしか食べないの。ほかのものも食べたほうがよいわよ。」
すると、彼は怒鳴り散らして言った。
「そんなの僕の勝手だろう。僕は今日まで一所懸命頑張ってきて、一流大学に入り、一流企業に入り、自分で生計を立てて暮らしているんだ。他人にとやかく言われる筋合いはないよ。栄養のバランスだって考えているし、健康状態だって問題ないんだ。」
すると、奥さんは言った。
「でも、やっぱりヘンなものはヘンだわ。」
その後、夫婦は離婚し、彼は別の女性と再婚したが、やはり同じことの繰り返しだった。
人間は誰しも、弱さ、性格の悪さ、偏食などがあるものだが、それに対する対処方法は大きく分けて2種類ある。
1.それらを克服するために一所懸命頑張る生き方。
2.それらをそのままの状態で世間に認知させるために一所懸命頑張る生き方。
後者のやり方で成功した人は気の毒だ。
その人自身が望んだとおり、永遠にそれらから逃れられなくなるのだから。
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