【日韓】僕の同胞はどこにいる?

昔から疑問だったことの一つに、自分と同じ立場の人はどのぐらいいるのかということがありました。
自分と同じ立場というのは、自分と同世代で、日韓ハーフで、日本国籍の人。つまり、国籍法が父系血統主義の時代に日本人の父親と韓国人の母親の間に生まれた人ですが。

どうして、そのことに疑問をもったのかというと、昔、僕は自分のような日韓ハーフは、世代にもよりますが、在日の同世代の人よりずっと多いのではないかと思っていたのです。
ところが、冷静に考えてみると、自分のような日韓ハーフで日本国籍の人って、全然見かけないんですよね。身近にもそういう人はいないし、テレビでも、雑誌でも、そういう立場の著名人や言論人を全然見かけないのです。もっとはっきりといえば、僕は自分の兄以外に同じ立場の人を見たことがないのです。

で、数年前に、気になって調べていて、面白いデータを見つけました。

福岡安則さんという人が書いた「在日韓国・朝鮮人」という本のP67に出ている「日本の行政に届出のあった韓国・朝鮮人の婚姻」という表です。
この表には、1960年から1991年までの韓国・朝鮮人(在日とは限らない)の婚姻数が5年単位で出ているのですが、これによると、私の両親が結婚した1965年当時、日本人と韓国・朝鮮人の婚姻数が極めて少なかったことが分かります。

1965年だけ上げると、以下のようになります。
 A.夫婦ともに韓国・朝鮮人:3861組(64.7%)
 B.夫が韓国・朝鮮人・妻が日本人:1128組(19.8%)
 C.夫が日本人・妻が韓国・朝鮮人:843組(14.8%)

うちの場合、Cに当たりますね。
比率的には、A:B:C=13:4:3というところでしょうか。ですから、それらのカップルの間に生まれてきた子供の数も大体同比率なのではないかと思います。で、その子供の国籍を考える場合、肝心なのは、当時の国籍法は父系血統主義によって決められていたので、AとBの間に生まれた子供は韓国・朝鮮人、Cの間に生まれた子供が日本国籍になるということです。

つまり、僕の両親と同じ年に結婚したカップルの間に生まれた子供の、韓国・朝鮮人対日本国籍の比率は、17:3。全体から見れば、20分の3ということになります。

で、現在の日本国民が1億3千万人なのに対して、在日韓国・朝鮮人が65万人で、日本国民:在日韓国・朝鮮人=200:1ですから、僕が生まれた年の比率も大体同じ比率で考えれば(両者の比率は現在とそれほど違わず、当時の韓国・朝鮮人がほとんど在日であると仮定して)、日本国在住者全体から見れば、大体、日本国在住者全体:僕と同じ立場の人=4000:3と言ったところでしょうか。パーセントで言うと、0.075%ですね。つまり、同世代に限って言えば、僕のような立場の人間は、10万人中75人しかいないということになりますね。これはかなり少ない数です。1000人に1人もいないことになります。中学・高校の全生徒中、1人いるかどうかというところでしょう。

考えてみれば、それだけ、私の両親の世代において、日本人と在日韓国・朝鮮人が結婚するということが珍しかったということですね。これは当たり前かもしれません。何しろ、1945年から1965年までの20年間、日本と韓国の間には国交がなかったのですから。ついでに言えば、日中の国交が回復するのは、さらに7年後の’72年。つまり、当時、日本は台湾(中華民国)以外の東アジアの国々と国交がなかったんですよね。

ところで、今日、朝日新聞の記事でこんなのがありました。
「戌年生まれは975万人 70年生まれが最多」

この記事によれば、’70年に生まれた人は190万人だそうです。僕が生まれたのが’71年で、さらにその2年後の出生数が最多でしたから、大体、僕の生まれた年の出生数は200万人弱と言ったところでしょうか。ですから、同い年に生まれた人で、僕と同じ立場の人は大体1500人ぐらいでしょうか。1500人と言ったら、だいたい僕が卒業した高校の全校生徒数です。

日本全国にこれだけしかいないのだから、僕は今日までの人生(特に同学年の人を中心に付き合っていた学生時代)において、自分と同じ立場の人に出会わなかったのも不思議ではないですね。逆にいえば、少なくとも、1500人はいるわけだから、これからの人生において、いつか出会えるといいですね。

ところで、下は、同じく、今日の朝日新聞の記事ですが。
「国際結婚は15組に1組 昨年まとめ」

「昨年の日本人(日本国籍者)の結婚のうち15組に1組が国際結婚で、全体の6.6%まで増えたことがわかった。結婚総数が横ばいを続ける中、来日外国人の定着化などに伴って、10年前の1.5倍、過去最多の4万8414組の国際カップルが誕生。国内では外国人女性と結ばれる日本人男性が増えた一方、海外で届けを出すカップルは逆の組み合わせが目立つ。東京女子医大の李節子助教授が、厚労省の人口動態統計報告と、報告書に掲載されない海外分を分析してまとめた。

04年に国内で届けられた日本人の婚姻総数は72万417組。国際結婚は3万9511組で、8割近くは夫日本人、妻外国人の組み合わせだ。

一方、海外の日本領事館などに届けられた1万842組のうち、一方が外国人のカップルは8903組。うち85%が妻日本人、夫外国人のケースだった。

国際結婚をした日本人男性計3万2209人が選んだ相手は、中国人が38%、フィリピン26%、韓国・朝鮮18%と続く。日本人女性1万6205人の夫は、米国人24%、韓国・朝鮮17%、中国10%などだった。 」
うーむ。今日の日本人の結婚のうち、15組に1組が国際結婚って、すごい比率ですね。昔では考えられないことですが。そういえば、この間、朝鮮日報でも似たような記事が出ていました。韓国でも国際結婚はかなり増えているようです。
で、国際結婚をした日本人男性が3万2209人で、そのうち、韓国・朝鮮人女性との結婚が18%ということは、日本人男性と韓国・朝鮮人女性の結婚は5798組ぐらいということになりますね。僕の両親の年が、843組なので、7倍近くに増えたことになりますね。時代は変わりましたね。

これから生まれてくる日韓ハーフの子供たちが日本人や韓国・朝鮮人の子供たちと仲良く暮らせる時代が来るといいですね。で、出来れば、自分と同じ立場の友達も出来ると心強いでしょうね。

「私には夢がある。今は小さな私の四人の子供たちが、いつの日か肌の色ではなく内なる人格で評価される国に住めるようになるという夢が。」(M・L・キング)

(別のブログからの再掲載)

補足:これは元々15年ぐらい前にmixiに書いたもの

https://ameblo.jp/toraji-com/entry-10038017489.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?