【随筆】親心というもの

私の母は私が中学生になった頃から朝日生命で保険のおばちゃんをやっていた。当時は知らなかったのだけど、その頃から私の名前で生命保険をかけてくれていた。亡くなる前には父親に引き続き支払うように頼んでから亡くなった。父も律儀に支払ってくれていたらしい。
幸いなことに私自身が今まで大病をしたことがなく、保険を受け取ったことがなかった。
しかし、今回初めて2週間入院して、入院費用をどうしようかと困り果てていたら、父が生命保険会社に問い合わせてくれて、母がかけてくれていた私の生命保険で全額賄えそうであるらしいことがわかった。
母は悲惨な生い立ちで、十分な教育を受けられなかった人だったけれども、こういうところはしっかりした人で、私は何度も母親に助けられた。
亡くなってなお助けてもらえるとは思わなかった。
母の親心を思い出して、泣いてしまった。
私にはもったいない、有難いお母さんだった。

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