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2アウト 3-2のフルカウントでランナーがスタートを切る理由 2021/6/29 今日のワンプレー

「さあ、2アウトフルカウントになりました。ランナーは自動的にスタートを切ります。」

野球ファンのあなたなら、テレビやラジオでこのような実況をお聞きになられたご経験がお有りだろう。ではなぜ、2アウトフルカウントならランナーは自動的にスタートを切るのであろう?

毎試合何度か見られる場面であり、今日も8回裏にその場面は訪れた。2アウト1塁打者糸井、カウントはもちろんフルカウントである。1塁ランナーの梅野は投球と同時にスタートを切ったものの、打者糸井は三振でそのままチェンジとなった。


まず知っておいていただきたいのは、2アウトフルカウントとなった場合、すべてのランナーがスタートを切って良いわけではない。スタートを切っても良いのはフォースアウトのランナーのみである。

フォースアウトのランナーとは
・1塁ランナー
・1・2塁の時の両ランナー
・満塁の時の全ランナー
である。

では、なぜ2アウトフルカウントでフォースアウトのランナーは自動でスタートを切るのであろう。それは以下の理由による。

・ファウルになった場合
→プレイが止まるため元の塁に戻ればよい
・ストライク(空振・見逃いずれも)
→三振になってチェンジになる(本日のケース)
・ボール
→四球となって押出され安全に次の塁に進める。死球の場合も同様。
・打者がゴロを打った場合
→少しでも前に進んでおくことでフォースアウトになる確率を下げる
・打者がフライもしくはライナーを打った場合
→野手がダイレクトで捕球すれば3アウトチェンジになる。かつ2アウトなのでタッチアップも無い
・打球がヒットやエラーなどどんな形であれインプレーとなった場合
→スタートを切っているため通常よりも先の塁まで進める確率が高くなる

つまり、フォースアウトのランナーにとって2アウトフルカウントという状況は、何が起こってもリスクが無い場面なのである。

逆に投手の投球に合わせてスタートを切りできる限り先の塁に進んでおくことで、打球がフェアになったとき大きなメリットが生まれるのである。


ちなみに以下の場面は2アウト満塁フルカウントから打者が放った外野フライを外野手が落球し、スタートを切っていたすべてのランナーがホームインしたケースである。


逆にフォースアウトではないランナーが2アウトフルカウントではなぜ自動でスタートを切ってはいけないのか。上に書いたそれぞれのケースにあてはめて見てみよう。

・ファウル
→プレイが止まるので安全(タイム中に帰塁して次のプレーに備える)
・ストライク
→三振スリーアウトなので安全(プレーとランナーの位置は無関係)
・ボール
→打者は四球で出塁できるが、ランナーはインプレー内である。スタートを切っていた場合、通常の盗塁の場合と同様に捕手から先の塁に送球されタッチされればアウトになる。

・ゴロの場合
→タッチプレイになるので元の塁に戻ることもできる。フォースプレイよりは先に進んでおくメリットは低い。
・フライもしくはライナーの場合
→スリーアウトなので安全(プレーとランナーの位置は無関係)

つまり打者が四球を選んだ場合、そのスタートは単なる盗塁チャレンジとなる。盗塁同様のリスクが発生するわけだ。

理解がむずかしければ考えるだけでゾッとするようなこのような場面を想像してほしい。

2アウト3塁。カウント3-2から打者が四球を選んだ矢先に本塁へ突入してきた3塁ランナーが捕手にタッチされアウトになる場面を。

満塁なら押出しでフォースプレーのランナーがホームインし得点となる。だが、フォースプレーではないランナーが同じことをすると、単なるホームスチールチャレンジでチャンスの芽を自ら摘むこととなる。いかに無謀であるかがおわかり頂けるのではないだろうか。



久々に勝利で終えた本日の試合。再浮上の足がかりとしてほしいところだ。
ヤ 0 1 0 1 0 0 0 1 0 3
神 0 5 0 0 0 0 0 0 X 5
【ヤクルト】 ●田口(4勝5敗) 大下 星
【阪神】 ○青柳(7勝2敗) 岩崎 Sスアレス(23セーブ)
[本塁打] 村上23号(ヤ) 山田20号(ヤ)

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