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佐藤輝明が初めて見せた自分のスタイルを崩したバッティングがタイガースの逆転サヨナラを呼んだ。 2021/7/12 今日のワンプレー

9回2アウト。3点ビハインド。ここから1番近本・2番糸原・3番マルテ・4番大山の4連続タイムリーヒットで劇的な逆転サヨナラ勝利を飾った。

この試合もここまで精細を欠いていた4番大山であったが、積極的な初球攻撃で試合を決めたサヨナラタイムリーは見事であった。しかし私は奇跡の逆転劇開演直後、代打佐藤のバッティングに注目したい。

佐藤輝明はご存知のとおり、開幕直後からその新人離れした豪快なスイングでホームランを量産。本日7/12時点で20本の柵越えを重ねチーム内ホームラン王であり、セ・リーグのホームランランキングでも4位にその名を連ねている。

彼のスイングはすべてホームランを狙っているかのようなフルスイング。その対価として三振数も両リーグダントツトップを誇って(?)いる。しかし多くのファンや評論家は「今年は全部ホームラン狙いのスイングで三振が増えるのは仕方がない。それよりも豪快に自分のスイングをしてほしい」と評している。

佐藤自身もそのスタイルを変えることなく、毎試合ライトスタンドへホームランを放つべくフルスイングを続けてきた。

しかし、スタメンから離れ代打で登場した今日の打席。彼は初めてそのスタイルを捨てた。

佐藤輝明が打席に立ったのは0-3で負けている状態での9回裏2アウト1塁。あと1アウトでゲームセットという場面である。初球アウトローの低めストライクを見逃し。2球目アウトローやや低めボール気味の球をいつものフルスイングで空振り。あっというまに0-2と追い込まれた。万事休すである。

ここで多くのタイガースファンは彼の「豪快な空振り三振」が頭をよぎったのではないだろうか。そしてここで彼が大方の予想どおり三振で終わったとしても、現地で観戦したファンは「佐藤のスイングが見れたからよかった。」と自身に言い聞かせながら家路についたのではなかろうか。

しかし、佐藤はこの打席で今シーズン見せたことのないバッティングを披露した。

0-2、追い込まれた直後に相手投手が佐藤に空振りさせるために投じた3球目は、2球目とほぼおなじアウトローへのフォークボール。2球目は大きく空振りしたこの球であったが一転、佐藤は左方向に軽打した。いつものフルスイングではなかった。

大幅にセカンドベース寄りに守備位置を変えていたショートの左を、あざ笑うかのように打球はセンターへ抜けた。この一打が次打者近本のタイムリーを呼び歓喜へとつながることになる。

言うまでもなく、佐藤の最大の魅力は豪快なスイングから生まれる特大ホームランである。我々ファンも佐藤の打席ではいつもそれを求めており、彼自身もフルスイングへのこだわりがあるはずだ。そのこだわりやプライドを捨ててまで繋ぎに徹した9回裏2アウト2ストライクから佐藤が見せたバッティングに、私は大いに称賛の意を送りたい。

さらに彼なら今後も変わらず、我々の期待に応えるようなフルスイングを見せ続けてくれることだろう。


De   0 0 1 0 0 0 2 0 0   3
阪 神 0 0 0 0 0 0 0 0 4X 4
【DeNA】 大貫 エスコバー 山崎 ●三嶋(1勝4敗)
【阪神】 青柳 藤浪 ○及川(2勝1敗)


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