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チーム内の意思統一が生んだ「もうひとつ先の塁」 2021/6/19 今日のワンプレー

1-1の同点で迎えた2回裏の攻撃、1アウトランナー無しからの打者梅野の打球は決して良いあたりとは言えない三遊間へのゴロであった。

三塁手の岡本は打球を追うもグラブの先を掠め、それにより打球の角度がややショート寄りに変わった。同じく打球を追っていたショート坂本は角度が変わった打球に対応できず、ボールは坂本の背後をゆっくりと抜けてレフト前へと転がった。通常ならレフトへのシングルヒットで1アウト1塁となる、よくあるプレーである。

しかしこの時レフトを守るウィーラーは、弱い打球を見てサードかショートが捕球すると判断したのであろう。ショートの坂本の背後を打球が抜けるまでほぼ定位置でその様子を見ており、外野へ抜けたのを見て初めて打球を追い始めた。

レフトの動きを見た打者走者梅野は、1塁を回ったところでいったんスピードを落としながらも再加速。そのままセカンドベースを陥れた。


もうひとつ。順序は逆になるが試合開始早々に1点を先制されたそのあと、1回裏の攻撃を振り返ってみたい。

ノーアウト1・2塁、打者マルテ。カウント1-1からストレートを弾き返したものの、打球はレフト定位置からセンターよりやや浅めのフライ。この時セカンドランナーの近本とファーストランナーの中野は、浅いフライにも関わらずタッチアップのために帰塁した。

レフトが捕球後、それぞれのランナーは次の塁に向けてスタートを切り、見事"ダブルタッチアップ"を成功させ、後続の4番大山による同点タイムリーを生んだ。

この2つのプレー。ここのところよく矢野監督が口にする「積極走塁」を踏まえ、常に次の塁を目指すという姿勢が顕在化したものだ。だが、それだけだはなく、この試合(もしくはこの対巨人3連戦)に関しての、チーム内で統一された方針があったに違いない。

序盤の早い段階で見られた両プレーであるが、この2つのプレーの共通点にお気づきであろうか。それはいずれもレフトウィーラーが処理した点である。

レフトがウィーラーの場合、カバーや送球が緩慢になるケースがある。従って他の野手が処理するケースよりもより積極的に次の塁を狙うチャンスが増える。この方針が首脳陣と野手の間で統一した認識として、試合前などに確認をしていたのではないだろうか。でなければ定位置より浅いフライで、それも2人のランナーが迷わずにタッチアップを選択はできないはずだ。


ちなみにだが、ウィーラー選手は自身が攻撃をしている場面では平凡なゴロでもいつも全力で1塁に走っている。この試合でもウィーラー選手の全力疾走がダブルプレーを防ぐシーンがあった。

一方、タイガースのマルテ選手は攻守に活躍を見せているが、ここのところ走塁に覇気を感じることはできない。平凡な内野ゴロでは打った瞬間から諦めたように1塁へのジョギングが始まる。

足を故障している可能性もあるのではないかと見ているが、それにしても今のプレー状況では他の選手の士気に影響するのではないだろうか。


巨 人 1 0 0 1 0 1 0 2 1 6
阪 神 1 0 0 0 0 1 0 0 0 2
【巨人】 ○戸郷(7勝3敗) 中川 ビエイラ
【阪神】 ●伊藤将(4勝4敗) 藤浪 エドワーズ
[本塁打] 大城6号(巨) 坂本8号(巨) 佐藤輝17号(神) 丸5号(巨)

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