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7回表 ランナー泣かせのダブルプレー 2021/6/20 今日のワンプレー

7回の表。1点差でリードしている巨人はさらに得点を重ねるべく、1アウト1・2塁のチャンスを作る。なんとしても得点につなげたい巨人であったが、代打石川の打球はセンターフライ。飛び出した2塁ランナーは帰塁できずダブルプレーとなりタイガースはこの回、無失点でピンチを切り抜けた。

一見、セカンドランナーの判断ミスのように見えるこのプレーであるが、実はランナーにとって極めて難しい判断を要するプレーであった。

外野にフライが上がった時、確実に捕球されると判断できるのか、もしくは確実にフェアグラウンドにボールが落ちると判断できる打球なのか、早い段階で判明すれば当然ランナーに判断力は必要とされない。ダイレクトで捕球されるならタッチアップ、フェアグラウンドに落ちる打球なら進塁を選択すれば良いのである。

18日の試合後、阪神タイガース佐藤輝明の判断力が秀逸であったことをここに記した。この時の佐藤輝明は、外野手にダイレクトで捕球されようが、捕球されずフェアグラウンドに落ちようが、いずれにしても本塁に到達できるという判断を瞬時に行ったことに私は目を引かれた。

2021/6/18 2回裏 佐藤輝明のベースランニング

話題を本日20日の7回表に戻そう。

巨人の打者石川がバットが折れたような打球音を残し、ボールはセンター前へ弱々しく上がった。阪神のセンター近本は俊足を飛ばし前進、ダイレクトキャッチを試みる。

困ったのは1塁ランナーと2塁ランナーである。

センターは全力で前進しており、ダイレクトで捕球しようがワンバウンドで捕球しようが、グラブに入ったボールを強く内野に送球できる体制なのである。

浅い打球であったのでタッチアップは無い。しかしハーフウェイで待つにしても、
・ダイレクトで捕球されれば安全に帰塁できる位置に
・ワンバウンドで捕球されれば進塁できる位置に

いなければいけない。

あえて言おう。この打球、特に2塁ランナーにとって、ダイレクトなら安全に帰塁でき、ワンバウンドなら進塁できるという2つの条件を満たすベストポジションは無かった。センターは打球を追いながら、結果的にセカンドベース方向に猛ダッシュしているのである。

実際のプレーではセンター近本がダイレクトで捕球したために、ハーフウェイで待機していたセカンドランナーは帰塁できず、センターからセカンドベースへの送球によってアウトになった。

一方、この打球がワンバウンドしていた場合、センター近本は同じくセカンドベースに送球してファーストランナーをフォースアウトにするか、サードベースに送球してセカンドランナーをフォースアウトにしていたであろう。

つまり、単純に判断ミスなのではなく、センターの前に打球が上がった時点でどう転んでも2塁ランナーはアウトになる可能性が極めて高い、ランナー泣かせの打球だったのである。

この場面で結果的に生じたダブルプレーを防ぐためには、ダイレクトで捕球されるとギャンブル的に判断し、セカンドベース上もしくは極めてセカンドベースに近い位置で待機しておくしか無かったのだ。


このプレーで流れを取り戻したかに思われたタイガースであったが、その後追撃することはできずきのうに続いて連敗。我々タイガースファンが本当に喜べるのはまだまだ先のようである。


巨 人 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2
阪 神 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
【巨人】 ○高橋(7勝2敗) 畠 高梨 鍵谷 Sビエイラ(3セーブ)
【阪神】 ●秋山(6勝3敗) 及川 岩崎 馬場
[本塁打] 松原6号(巨) 佐藤輝18号(神)



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