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行旅死亡人、という言葉を聞いたことはありますか?人の死にまつわる話です。

どうも、とらぎつねです。
今回のテーマは行旅死亡人について、です。
聞いたことない方も多いと思いますし、耳慣れない言葉も出てきますので随時解説していきますね。

<行旅死亡人とは何か?>

行旅死亡人とは、簡単に言えば「身元不明の死者」になります。
あえて「死体」ではなく「死者」としたのは、発見の状態によらないからです。
河原で死亡したホームレスの遺体。
独居老人の部屋で見つかった、孤独死した老人らしき腐敗した遺体。
海や川、湖などに浮いていた水死体。
漁師の網に引っかかっていた人間の骨の一部。
道路工事の際に掘り起こされた100年以上前に死亡したと思われる人骨。
公園のトイレで見つかった首吊り死体。
学校の資料室の奥で見つかった人体標本と思われていた頭蓋骨。
廃病院で発見された、ホルマリン漬けにされた多数の胎児の遺体。

これらは全て、行旅死亡人です。

<そんなの、滅多にいないんじゃ?>

確かに現在、多くの人は病院で死にます。
孤独死したとしても、身内の誰かが火葬をして葬儀もするでしょう。
すると死亡届が出され、戸籍上死亡したとされます。
つまり行旅死亡人というのは、こういう手順を踏まれていない死体なんですね。
そんなの、かなり珍しいんじゃないだろうか?
私が最初に抱いた感想もそれでした。

では行旅死亡人についてはどこで知れるのでしょう?
実は現在は誰でも簡単にネットで確認できます。
法律上、行旅死亡人が発見された場合、発見場所の市町村が「官報」に掲載しなければなりません。
官報とは何か?
これまた馴染みのないものですが、政府発行の新聞だと思ってください。
実は政府が法律を作った、改正した、といった場合、この官報に載った日を公布日としているんですね。
つまり官報に載れば、国民に知らせたことになるんです。

この官報、現在はネット上で「インターネット版 官報」というページで読むことが可能です。
直近30日間までなら無料で閲覧できます。
件の行旅死亡人については、「号外」に載っています。
ここで確認してみましょう。

え?いつの官報に載っているのかって?
ほぼ毎日、載っています。
そう、現代においても行旅死亡人は年間300〜400体は官報に掲載されているのです。
これを多いと見るか少ないと見るか、あなたの印象はどうでしたか?

<よくある例>

よくある掲載例としては以下のようなものになります。

行旅死亡人
本籍・住所・氏名不詳、年齢50歳以上(推定)の男性、着衣は黒色ジャンパー、茶色セーター、白色のシャツ、灰色ズボン、黒色ズボン下、紺色ブリーフ、所持品はリュックサック、現金32,771円、煙草
上記の者は、令和○年○月○日○○県○○市○丁目○号○○郵便局から南西約1キロメートルの山林内において一部白骨死体で発見されました。死因等は不詳。
身元不明につき遺体は火葬に付し、遺骨を保管しています。心当たりの方は、○○市厚生課まで申し出てください。
 令和○年○月○日
  ○○県        ○○市長  ○○ ○○


<皆さんに知ってほしいこと>

上記のように、官報には日々行旅死亡人の情報が掲載されています。
しかしこれを実際に見て「心当たりがあります!」と連絡がくる事例が、果たして何件あるのでしょうか。
個人的には官報の存在をまず知らない人が多数いる社会において、載せる意味があるのかと思うくらい少ないと思います。
しかしどこの誰なのかもわからないまま火葬される遺骨というのは、全国どこかで日々出ているのです。
それでは死者がやはりかわいそうではないか・・・とも思いますので、今回こうして記事にしてみました。
多くの人が知ることで、少しでも身元が判明し、引き取られる遺骨が増えればいいなと思います。
官報には事実しか載りませんが、その事実が何かを物語っている時もあると思います。
中には数百万円の現金を持ったまま死亡したもの、これまで自称していた名前の人物ではないと死亡して判明したもの、溺死したものの持ち物に「鉄アレイ」がある、などの特殊な例があります。
彼らは何故、どのようにして死んでいったのでしょうか。

それでは今回はこの辺で。
あなたの住む市町村の情報も、いつか出るかも・・・?

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