見出し画像

格闘好き必読!森恒二「ホーリーランド」は外出自粛中に自宅で読もう。

<お勧めしたい対象者>
中学生男子、高校生男子、格闘技好きな野郎ども

<ホーリーランド一番の魅力!>
リアリティ溢れる格闘描写!そして少年の心の内を丁寧かつ大胆に表現する森先生の語りに痺れさせられる!

<あらすじ>
 激しいいじめにより引きこもり生活を送っていた中学生、神代ユウは高校生になり、クラスに馴染めないながらも不登校からは脱していた。そんな中、夜の繁華街に”ヤンキー狩りボクサー”が現れるという噂が流れる。不良達も一目置く”路上のカリスマ”伊沢マサキもそんな噂を耳にするが、所詮素人だと聞き流す。しかしその正体は主人公、神代ユウであった!ただ、本人は自分がヤンキー狩りボクサーなどと言われているとは知らず、カツアゲされたときにたまたまワンツーでKOしたことが何度かあるだけだった。
 いじめられっ子が何故不良をKOできるのか?
 不良達とのルール無用の喧嘩の果ては、どこに行き着くのか?
 様々なキャラクターの過去、現在、そして未来に向かって、この物語は加速していく・・・。

<どこで読める?>
 コミックス全17巻、古本屋、電子書籍でも読めるみたいです。そしてドラマ化もしている。ここで非常に強くオススメしたいのが正規のコミックスで買うこと。コンビニなどで分厚いまとめられた本も売っているのだが、これは是非ともコミックスで買って欲しい!
 理由としては、コミックスの表紙となっている裏の面に、作者から毎回メッセージが書かれているのだ。このメッセージが深く、熱く、心に突き刺さる。毎回本当に感動しながら読んでいたが、ついに最終巻。ラストのメッセージで最高に感動的な一言が書かれている。これは、17巻ずっと物語を、神代ユウを見てきた人であればあるほど感動すること間違いなし。ネタバレしたければ先に読んでもいいが、こんな感動を味わえる機会を逃すのはもったいない。自分のためにも最後の1ページまで読み終えた後に見て欲しい!
 さらに様々な格闘技がリアルに登場するところも見どころ!ボクシング、フルコンタクト空手、レスリング、柔道、剣道、キックボクシング、拳法、総合格闘技・・・。異種格闘技戦を路上で行うリアル。格闘好きなら読んで後悔なしの聖書。

<ホーリーランドの問題>
 不良と喧嘩がメインの話になるので、女性キャラクターがほぼ出てこない。この漫画に萌えは1ミリもないのでそのつもりで。そして喧嘩シーンがかなりリアルで、実際の格闘技でも使えそうな技がいっぱい出てくる。実際、私も総合格闘技にて使っているものもある。そう、読んだら戦いたくなるのだ。夜の街に繰り出したくなる気持ちを抑える必要があるのだ。

<私が感じた共感について>
 少年時代に抱いた気持ちを、ユウを通して幾度も共感し、一緒に怒り、一緒に泣けた。これを読んだ時、既に私は20代であった。しかし大人になってから読んでも、十分心に突き刺さる。男は、何歳になろうと少年の心を忘れるものではないのだと気付かされた。だから八木は絶対許さないもんね。

 この漫画、作者の価値観や経験からの意見がかなり詳しく説明される場面が多々あります。その中でも私は、主人公のユウが「イケてる」と言われて不機嫌になるシーンのわかりみが深すぎてめっちゃ共感しました。これはどういうことかというと、同級生の女子に「最近の神代君、イケてるねー」と軽い感じで言われます。これまでずっといじめの標的であり、それでも生きるために必死だったユウにとって、「イケてる」というのは「これまで自分をいじめてきたような奴ら側の人間として見られる」という意味合いを含んでいたのではないかと考察しています。
 それを受けユウは「僕は、イケてなんかいない!」と叫んでその場を逃げ出してしまいます。一人になって落ち着いたユウは「言葉を素直に受け取れない自分に問題がある」と気づきながらも、以下のような価値観を捨てられないことも再確認します。


「イケている、という価値観があるということは、イケていない、という価値観も生まれる。僕はそれを、素直に受け止められないんだ。」


 これ、すごくわかります。勝ちがあれば負けがあって。良いがあれば悪いがある。当たり前のことですが、それがすごく嫌だと感じてしまったらどうすればいいのでしょうか。確かに、優劣をつけることは競争心を煽り、能力やサービスの向上、つまり成長に繋がるという面もあります。特に社会人になってからはいかに会社に貢献できたのか、という結果が「いい」「悪い」と判断されるでしょう。「比較」というものは無くならないですね。ちなみに私が一番理解できない概念は「ダサい」「ダサくない」です。これ、誰がどのようにいつ決めるんでしょうか?ファッションリーダー的に見られている人物が言えば決まるんでしょうか?自分がこれまで生きてきて感じたことのない感情なので、何を見たら万人が「ダサい」と思うのかわかりません。言ってる人たちも本当にわかって言っているのか不明です。まぁ、私が変わっていて偏屈なのだろうとは解釈してますが・・・。多分死ぬまでわからないでしょう。知らんけど。

<まとめ>
 これもまったく女性向きではない漫画ですが、息子を持つ母親なんかにはいいかもしれません。所々、女性では理解できない描写もあるかもしれません(同志だから、倒す。とか)が、出来なければしかたないのでそこは読み飛ばしましょう。
 あとの男どもと格闘好きは絶対読め。後悔しないから。そしてもう一回言うけど、最終巻の最後のメッセージはマジで最後の最後に読め。素敵な体験が、君を待っている!
 なお、ホーリーランドを読んで作者の森 恒二先生に興味を持った方!他にも森先生は自殺島、デストロイ&レボリューション、創世のタイガ、無法島と漫画を書いています。どれも面白いので、こちらもチェックしてみてね!今回は以上です!ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?