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「切り絵で世界旅」ファティマ(ファティマ/ポルトガル)ファティマの夜の不思議な体験

 ファティマは、1917年に聖母マリアが出現し奇跡を起こしたとされるカトリックの聖地として知られる。見どころは、常に巡礼の人の波が絶えないバジリカ(聖堂)である。かつては畑しかなかった村が、奇跡が起きた後は、訪れる信徒のために様々な宗教施設、ホテル、レストラン、土産物屋などができ、宗教タウンへと変貌した。
 ここでは聖母出現祭が毎年5月〜10月の12、13日に行われている。私たちが訪れた日は、ちょうど6月13日だった。

 「夜、バジリカで聖母出現祭が行われます。信者が灯火を持って行進する様子も見られますよ」と現地のガイドさんから聞き、夕食後、薄暗くなった夜の9時頃に広場に行くと、聖母マリア像の前で儀式が行われていた。
 マイクに向けて話す人の言葉を聞くと、ポルトガル語だけでなく、ドイツ語の人もいるようだ。そして10時過ぎ、やがて信者たちは10万人を収容できる広場を行進し始めた。先頭の人物は電気で光る巨大な十字架を掲げて歩き、その後ろに信徒たちが灯火を掌に持ちながら続く。キリスト教徒でもない私にとって、何とも不思議な光景である。まるで映画のシーンのようでもあり、中世の世界にタイムスリップしたようでもある。

 それにしてもカトリックの世界は、聖母マリア信仰が盛んであることよ。キリスト教が浸透する前に各地で信仰されていた大地母神との融合がその理由だとも言われている。
 ちなみにメキシコシティのグアダルーペ寺院を訪れたとき、現地ガイドが「マリア様が出現した世界3大奇跡と呼ばれる聖地があります。ここメキシコシティと、ポルトガルのファティマと、フランスのルルドです」と話しながら褐色のマリア像を紹介してくれた。本当だろうか? ガイドが強引に自分のところを3大聖地に入れたのかもしれない。

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