「おまかせコース」について(中編)
前回の投稿の続きです。
5品目(写真1枚目)
「ブロッコリーと発酵ソース」
藤井ファームさんのスティックブロッコリーを下茹でし、花蕾の部分に本葛を付け、フライパンでじっくり焼いたところに炒ったアーモンドプードルとカカオパウダーをかけました。
元々藤井ファームさんのスティックブロッコリーは青臭さもなく美味しいのですが、本葛によりさっくりとした食感がアクセントになり、じっくりとソテすることによって味も濃厚になります。下茹でしているのでパサつき感もありません。
添えてあるのは発酵ソース。牛乳、生クリーム、水、レモン汁を火にかけてから漉して、発酵させたブロッコリーの乳酸発酵水を合わせたものです。ヨーグルトを思わせる風味に発酵の奥深さが加わったソースとなっています。
6品目(写真2枚目)
「ホワイトチョコと冬蜜、キクイモのスープ」
こちらは今シーズン初めて作った新作ですがお食べ下さったほとんどのお客様が驚かれ、「この店のスペシャリテになる!」と大変ご好評頂いている一品です。
ホワイトチョコレートはカカオハンターズのものを使っています。
まず驚くのはそのカカオ感。
ホワイトチョコレートはミルキーさや甘さが目立つものが多いですが、カカオハンターズのホワイトチョコレートはしっかりカカオの風味が生きています。
そしてもう一つの特徴はなんといっても、そのミネラル感。
ホワイトチョコレートだけで味見していただくと、皆様そのあまりの美味しさに驚かれます。
そして、冬蜜。
こちらは石垣島で冬に咲く花から採取された蜂蜜です。もちろん、非加熱。
口に入れた瞬間に強烈な花の香りが鼻腔をくすぐります。
蜂蜜が口の中から消えた瞬間に広がる独特の苦味。
そして地元苦楽園でとれたキクイモ。
キクイモのスープは乳製品を使わずにマグロ節から取った出汁と野菜と鶏ガラからとったブロードで作っています。
牛乳や生クリームは、上記の3つの素材にとって邪魔になってしまう為に使っていません。
個性溢れる3つの食材ですが、間違いなく相性がいいと思い合わせました。
四角いホワイトチョコレートはスープの熱で溶けていますので、よく混ぜてからお召し上がり頂きます。
7品目(写真3枚目)
「鴨の焼きラビオリ 発酵イチゴのソース」
ラビオリはシルクロードを通り遠く中国から伝わったと言われています。
そのことをイメージして、ちょったした遊び心で形を餃子にしてみました。
中はローストした鴨胸肉と骨付きのままコンフィにした鴨もも肉を角切りにしてチーズと卵、それにパン粉を混ぜたものを詰めてあります。
形は餃子ですが作り方はイタリア料理のラビオリそのものです。
ソースは発酵させたイチゴをミキサーにかけたものとバルサミコソースを混ぜて付けて頂きました。
発想は結構安直で、餃子にはお酢と醤油。そこで酸味のあるイチゴと、発酵と熟成を繰り返し作られるバルサミコ酢。色も似てる。
イチゴといえば、シャンパン。ちょっと発酵させて、シュワシュワさせてみよう。
そしてイチゴとバルサミコ酢との相性の良さは言わずもがな。
と、そんな安易な発想です。
でも食材同士を合わせたり、料理と飲み物を合わせたりする時には意外とそんな安直さが大切だったりします。
出身が同じだったり、味や香りの共通項があったり、色が似ていたり。
でもその逆でもまた素材同士仲良くなることもあるので面白いです。
またしても長くなってしまいましたので、中編という形で今回はここまでにさせて頂きます。
次回はデザートまでご紹介させて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします。
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