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エッセイ集

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現在や過去にある想いを言葉にしました。
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2022年3月の記事一覧

一枚の免許証

先日、子供が車の免許を取得したというので近所に練習をしに行ったのだが、やはり子供の運転はとても緊張する。 はっきり言って『怖いし、乗りたくない』というよりも『乗らせたくない』が本音だ。どうしても『事故でも起こして他人に怪我でもさせたら?』と思ってしまう。 それでも、いつまでも自立しないのは困る。助手席に乗り、おぼつかない運転にあれこれ苦言を呈したい気持ちを抑え、集中力を研ぎ澄ませるが、信用されていないと思われても困る。子供にはわからないように周りに気を配る。 道路は慎重

武器と傲慢と

未知の病気が世界を覆い、多数の命が失われたが、それが落ち着けば今度は人が人の命を奪っていく。 もう何十年も前の話になるが、友人と旅行をしているときに「湾岸戦争」が始まった。イラクがクウェートに侵攻し、世界がそれを許さず、アメリカを含む多国籍軍がイラクを攻撃し、クウェートを開放した。 それは物凄く衝撃的だった。見知らぬ土地の旅館のテレビに、リアルタイムで戦争が映し出されていた。砲撃が至るところで起こっている異常な光景。 子供の頃、学校で戦争のことや原爆のことを学び、戦争の

現実逃避とカタツムリ

出不精に拍車がかかり、特に用事がないと外出をしなくなった。ここ最近は実家のゴミ屋敷に顔を出すことも少なくなってしまった。外出は月に数回、たまに映画を観に車を数分走らせるくらいだ。 ときどきそれを心配した仲間が誘ってくれるのだが、約束をしても当日になると行きたくなくなってしまい、自分の中で駄々をこねる。心の中では「出かけたい」思うのだけれど、いざそこを突かれると引っ込んでしまう。 食事を作るのも、食べるのもめんどくさがり、缶ジュースでお菓子を流し込み空腹をごまかす。筋トレも