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ゴミの城

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動画~https://youtu.be/YN4iTq7kIF4  父親が他界、実家に残されたのは子供のように振舞う母親と引きこもりの兄、そして大量に残されたゴミの山だった。 登場…
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#母親

ゴミの城~005~庭やベランダのゴミを処分する

 これまでのお話  父親が他界して一か月、呆れるほどのゴミをちょこちょこと片付けているのだが、ゴミが家の外にも及んでいる。庭や駐車場、家と塀の50㎝程の隙間にさえ物が置かれている。と言うよりも「ゴミが詰め込まれている」が正しいのだろう。  基本、家の中はゴミ袋に入る大きさの物が多いが、外となると事情が変わる。厄介な「燃えないゴミ」それも大きな物が多い。プラスチックの大きなタライやスキーの板に壊れた自転車。それに大きな水槽が何個もある。その他にも酒屋でもないのにビールや酒の

ゴミの城〜012~逃避と笑顔

これまでのお話 日曜日に実家へ行って家の掃除をしていたのだが、先週に引き続き兄が買い物に行く間、留守番をしていた。前回は庭を掃除していて少し目を離した隙に母親に外に出ていかれてしまったので、今回は玄関のチェーンが外れないように鍵をかけておいてから、一階の部屋を掃除していた。 母親を逃さないように。というと人聞きが悪いが、いまの母は一人で外に出ていってしまうと、帰ってこれないという危惧がある。案の定、五分もしないうちに母親が二階から降りてきた。 「お兄ちゃん、買い物に行っ

ゴミの城〜020~母との時間

これまでのお話 実家へ行ったときに、ちょうど母親がトイレへ行く所で二階から兄が介抱しながら一緒に降りてきていた。母は足もおぼつかずトイレへ行くのがやっとで、僕は母と兄に「ただいま」と声をかけて母が階段を降りるのを手伝うと奥の部屋へと向かった。以前から母は一人で排泄もできない。兄が手伝っている。 父親の位牌に線香を上げていると、トイレから僕の名前がする。 「○○来ているんでしょ。……こんな姿、○○には見せられない」と母親の涙声が聞こえてきた。 家、全体が排泄物の匂いがして、