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小説:労働Gメンは突然に

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【労働基準監督官のお仕事小説】 厚生労働省の職員にして、専門職の国家公務員、そして労働法の番人である労働基準監督官――別名、労働Gメン。 23歳の時野は晴れて労働基準監督官となっ…
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労働Gメンは突然に:第4話「労働Gメンのロマンス」

第1話から読む   前話を読む 登場人物本編:第4話「労働Gメンのロマンス」1  夕方5時を過ぎた地下書庫は、静寂に包まれていた。  夏沢は滑り込むように書庫の中に入ると、なるべく音を立てないよう静かにドアを閉めた。  角宇乃労働基準監督署は地上2階、地下1階の3フロアから構成される単独庁舎だ。  来庁者が訪れる事務室は1階にあり、ほとんどの職員は1階にいる。2階は会議室・休憩室・更衣室で、地下は書庫と倉庫だ。  行政機関には膨大な書類が保管されており、書類の置き