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小説:労働Gメンは突然に

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【労働基準監督官のお仕事小説】 厚生労働省の職員にして、専門職の国家公務員、そして労働法の番人である労働基準監督官――別名、労働Gメン。 23歳の時野は晴れて労働基準監督官となっ…
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#労働者派遣法

労働Gメンは突然に:第7話「人材紹介」

第1話から読む   前話を読む 登場人物本編:第7話「人材紹介」1  土曜日の午後――加平はカフェで麗花を待っていた。  麗花が店内に入ってきたのが見えると、加平の漆黒の眼球はその姿に釘付けだ。  麗花はカウンターで注文を終えると、加平のいるテーブルのそばに立った。 「麗花……」  加平は立ち上がって麗花と向き合った。 「加平くん……」  2人が見つめ合っていると――ふたりの世界に突然にょきっと何かが突き出された。 「すみませーん、僕もいますけど」  時野